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太田和彦の今夜は家呑み

太田和彦/著

1,100円(税込)

発売日:2009/04/22

書誌情報

読み仮名 オオタカズヒコノコンヤハイエノミ
発行形態 書籍
判型 新書判
頁数 159ページ
ISBN 978-4-10-415806-5
C-CODE 0077
ジャンル 文学・評論
定価 1,100円

小遣い減っても何のその。今宵は我が家で居酒屋気分!

家メシ、家酒が増えてるご時世。だからこそ晩酌のおつまみにはこだわりたい。居酒屋研究家の太田氏いち押しの名店9軒に、うってつけの名肴を教わりました。プロ伝授「簡単」「旨い」おつまみ53品のレシピに加え、著者お手製「超カンタンおつまみ」や家呑み作法(?)のコラムも満載。「ウチでの一杯」が10倍楽しくなること間違いなし。

目次

はじめに

〈笹吟〉
かつおのサラダ
玉ねぎの明太子和え
小柱と三ツ葉の梅肉和え
そら豆と海老の白和え
あさりと菜の花のバター煮
鮪と水菜の酒盗和え
笹身とアスパラのわさび正油和え
鯛茶漬け
SPECIAL 真鯛の道明寺蒸し

〈浅七〉
まぐろづけ
煎り焼き豆腐
煎り出し蒟蒻
煮茄子
葱鮪焼
SPECIAL 焼味噌

〈キッチン・セロ〉
あじの洋風なめろう
しらすとシシトウのニンニク炒め
サーモンマリネ
小ヤリイカのフリット
こんにゃくのゴルゴンゾーラソース
ブロッコリーのアンチョビ炒め
〆め鯖と焼きナスのカルパッチョ
森のキノコソテー
マッシュルームのオイル焼き
菜の花とアンチョビのスパゲッティ
SPECIAL 丸ごとうずらの唐揚・くん卵フリット

〈新八〉
海の幸いっぱいサラダ
竹輪磯辺揚げ
若布と胡瓜酢
長なす焼
江戸前穴子煮おろし
焼きおにぎり茶漬け
SPECIAL あん肝

〈山利喜〉
生野菜の焼みそ添え
かきチーズ焼き
親子厚焼玉子
タラ入り湯豆腐
SPECIAL 煮込み

〈金田〉
ほうれん草白和え
小松菜とあげの煮びたし
カキみぞれ煮
肉どうふ
SPECIAL 胡麻豆腐

〈こなから〉
タコぶつ塩すだち
ルッコラと水菜のサラダ
やりいかゆであげ
ポークのロースうま煮
小柱の卵とじ
釜あげしらす丼
SPECIAL 鯛かぶとの酒蒸し

〈まるしげ夢葉家〉
まぐろ納豆豆腐
ざくざくポテトサラダ
ジャガイモDEカルボナーラ
しらすDEぺペロンチーノ
オクラさっと茹で
油そうめん富田流
SPECIAL 豚足黒糖煮奄美山田流

〈ラ・フォルナーチェ〉
背黒いわしのマリネ
コヤリイカと春野菜の温製サラダ
スカモルツァチーズとトマトソースのオーブン焼き
ルーコラとパルメザンチーズのサラダ
SPECIAL トリッパ煮込み

コラム〈箸やすめ〉
 家呑みの作法
 「浅七」鳥居眞行さんに聞く 酒の肴心得
 「キッチン・セロ」岩倉久恵さんに聞く 家呑みワインのこと
 「神田 新八」佐久間達也さんに聞く 家呑みの日本酒・焼酎のこと
 ビールをおいしく
 日本酒をおいしく
 酒器を愉しむ
 つまみの初級
 酒とつまみの相性
 おすすめ! 市販おつまみ図鑑

〈太田和彦の超カンタンおつまみ〉
鉄火まぐろ/小松菜もみ/羽衣しらす/イカのあっさり塩辛
市松チーズ/ピリ大根/貧乏人のうに/キャンプコンニャク
カブ味噌/江戸浅蜊/焼油揚げ/チーみそ

このお店に教わりました

書評

波 2009年5月号より 居酒屋作家の家呑み作法読本である

山同敦子

厳寒のある日。都内某居酒屋。カウンターで盃を傾ける熟年の男女。男は二十二年に渡って全国の居酒屋を巡り、多くの本に著わす太田和彦氏。連れの女はワタクシ。
太田「タコブツ、茹で加減いいね。甘みが際立つよ。ツイー(って、盃を傾ける風情です=編集部)、燗の温度も好みだなぁ」
山同「ツイー、染みるぅ。あ、そのタコ、半分コですよ。最近、どんなお仕事しているんですか」
太田「家呑みの本を頼まれて、今、シコシコ書いているところなんだ。居酒屋に酒肴を習うっていう内容なんだけど」
山同「おつまみ本、流行りですからねぇ。でも居酒屋に行こうと勧めている張本人が家呑みの本を書くのはしっくり来ないな……。トクトク、ツイッ。お願いしま~す! 『喜久醉』の特純、お燗でもう一本下さ~い」
太田「煮魚も頂戴! ……うん、実は迷ったんだよね。居酒屋で呑む良さは、店に行かなきゃわからないというのが僕の大前提だから。ツイー、このお酒、豊満な熟女をイメージするな」
山同「そうですか? 私は男性に背中からふわっと抱きしめられている感じなんですけど」
(話題は酒→美男・美女談義→旅と転じて、夜は更けて……)
それから数カ月。新潮社出版部から封書が届いた。すわ、書き下ろし原稿の依頼か! と期待したら、太田氏の本の書評を執筆して欲しいとある(内心ちょっぴりがっかり)。そういえば本を書いているという話を聞いたっけ。ゲラを手にとると旨そうな酒肴の写真が並び、涎が出そうになる(汚くてすみません)ものの、例のベストセラーおつまみ本に似ていて、ヤッパリ便乗モノじゃないと独りごつ。だがページをめくるうちに、ぷっと吹き出し、ほほうと感心し、読み終えてしみじみ。ブックデザインや撮影のディレクションも、長年、デザイナーを本業にしてきたご本人によるものだとか。全編太田カラー一色。氏の美意識と遊び心満載の味わい深い本に接し、心して紹介させていただかねばと気持ちを改めた。
主な内容は、氏が行きつけにする店の酒肴のレシピ集である。選ばれている店は新八、浅七、金田、山利喜……など、著作でお馴染みの老舗居酒屋に、洋風の店二軒を加えた九軒。いずれも太田流居酒屋三原則「いい酒、いい人、いい肴」がある飛び切りの店だ。そのお品書きのなかから太田氏がお気に入りの肴を選んでいるので、イカ、タコ、しらすなど氏の好む食材が多く登場する。手順は1、2、3で完結するものばかり。店のアドバイスや実際に作ってみた女性編集者の声も添えられ、イタレリ、ツクセリ。料理初心者も作ってみようという気にさせられるはずだ。また、各店一品ずつ、プロならではの手の込んだ料理も紹介し、店で味わうことを誘う。居酒屋に対する敬愛の心は、ぶれていないのだ。オマケに太田氏が普段、作っている超カンタンおつまみも掲載されている。氏は蛇足と謙遜するが、実はこれが最も使えそう。
以上は、呑兵衛向きの料理書としての使い勝手の良さだが、最大の魅力は各々の料理に添えられたコメントと、随所に挿入されたコラムである。たとえば、浅七の煮茄子について、「その味は『老熟』。横たわるただ一つの茄子に、これほど深い世界があるのかと感銘をうける」と表現し、笹吟のそら豆と海老の白和えは、「臈長けた女盛りの色気がただよう。これにはやはりお燗酒、春のぬる燗がぴったり。こんな肴でお酌されたら男はイチコロ。おねだりするならこの時だ」といった具合。
「家呑みの作法」と題したコラムでは、盆に酒器や皿一枚だけをのせて呑むという型を大事にすることを勧めたり、深夜、燗をつけるために一人台所に立ち、錫チロリをじーっと眺めながら無の境地に入っている氏の様子が描写されている。家呑みでも太田氏は己れのスタイルを崩していないのだ。
この本は酒肴を作るための実用書であるだけではなく、“居酒屋作家”太田氏でしか書けない読み物である。それは氏の書いた数々の居酒屋本が、いい店を知るためのガイドであり、また市井の人々の泣き笑いを描いたスケッチであり、さらに太田和彦というオトコの美学が綴られたエッセイでもあるのと同様だ。最後に一言、カラー写真がふんだんに入って1000円は安い!

(さんどう・あつこ 食と酒のジャーナリスト)

著者プロフィール

太田和彦

オオタ・カズヒコ

1946年生まれ。日本各地の酒場訪ね歩きをライフワークに、多くの著作を著す。『太田和彦の居酒屋味酒覧〈決定版〉精選204』はその代表作。他に『ニッポン居酒屋放浪記』『居酒屋百名山』『東海道居酒屋五十三次』『居酒屋おくのほそ道』『東京・大人の居酒屋』『ひとり飲む、京都』『ひとり旅ひとり酒』『居酒屋を極める』『日本の居酒屋――その県民性』『居酒屋吟月の物語』『東京エレジー』など。

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