明治13年に公布された刑法に、「猥褻」の2文字が載った。記録によれば、草案をつくるにあたり、「風俗ヲ害スル所行」では漠然としているから「猥褻ノ所行」にしようとのやり取りも。そしてこの刑法公布以来、裸体画、文学、春画、ヘアヌード写真などなど、さまざまな作品が「猥褻」のレッテルを貼られた。今月号の特集では、社会のタブーとなったそれらの表現を振り返る。
 
芸術新潮
2020年9月号(定価1,500円)8月25日発売
芸術新潮メールマガジン[2020/08/25] うまく表示されない場合はブラウザでご覧ください
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編集長から
禁断の表現を総ざらい
猥褻とは何か

 明治13年に公布された刑法に、「猥褻」の2文字が載った。記録によれば、草案をつくるにあたり、「風俗ヲ害スル所行」では漠然としているから「猥褻ノ所行」にしようとのやり取りも。そしてこの刑法公布以来、裸体画、文学、春画、ヘアヌード写真などなど、さまざまな作品が「猥褻」のレッテルを貼られた。今月号の特集では、社会のタブーとなったそれらの表現を振り返る。黒田清輝による裸婦画が問題視されたり、朝倉文夫による彫像の男性器が切断されたり。チャタレイ事件や「愛のコリーダ」裁判はご存知の方も少なくないだろう。春画や成人向けマンガをめぐる裁判もあった。関連年表も載せているのだが、ほぼ毎年のようになんらかの騒動が起きている。騒動の渦中の人となった荒木経惟のインタビューや、みうらじゅん×辛酸なめ子の対談もお楽しみに。
 また追悼企画として、今年2月に亡くなった倉田精二の作品を紹介。前衛的なヌード写真の数々に、表現への挑戦が見える。
芸術新潮編集長 吉田晃子
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最新号PICK UP
誰でも知りたがっているくせに
ちょっと聞きにくい
猥褻のすべてについて教えましょう
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イラストレーション:伊野孝行
ここしばらく、猥褻なことばかり考えていました。
いや、正しくは、猥褻の、ことばかりですが。

昨年春、東大を定年退職された木下直之さんの最終講義が「猥褻論」でした。
学生さんに交じって聴講したところ、子供の頃からなにかにつけて気になっていた「猥褻」への興味が、あらためてムクムクと膨らんできたのです。[→]全文を読む
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●目 次

【大特集】猥褻わいせつとは何か

巻頭グラフ
禁じられた名作

introduction
猥褻の誕生
文 木下直之

part1
猥本出版の王・梅原北明と昭和エロ・グロ・ナンセンス
文 足立元

part2
「チャタレイ事件」狂想曲
文 武藤康史

part3
春画研究の闘士ありき 林美一と「国貞裁判」
文 石上阿希

part4
『愛のコリーダ』――猥褻代理戦争
文 樋口尚文

part5
実録! ヘアヌード解禁前夜の攻防
文 宮本和英

part6
21世紀のわいせつガチンコ裁判 コミック篇
文 長岡義幸

part7
春画ルネサンス 無修正解禁から展覧会への道
文 浅野秀剛

爆笑! ハダカ談義 猥褻篇
みうらじゅん×辛酸なめ子

「エロの決め手は“ギャップ”にあり!」

interview
荒木経惟
「写真という“事”自体がワイセツなんだ」

聞き手・文 宮本和英

ニッポン「猥褻」関連年表



◆ Art News memories ◆

追悼
写真家・倉田精二のヌードはこんなに凄かった!
文 タカザワケンジ

◆ Art News project ◆

新宿東口駅前広場に出現!
松山智一のパブリック・アート

◆ Art News report ◆

NY現地レポート
「黒人の命も大切」抗議デモ
アート界も揺れる

文 藤森愛実

◆ 特別読物 ◆

やきものと悪
文 柏木麻里

◆ Review ◆

内藤礼/リー・ベー/東山詩織
池田晃将「和巧絶佳展――令和時代の超工芸」より

◆ Global News ◆

  • London「輝く星たち:サイリーン(1940-1947)の若手画家たちが見たジンバブエ」展
  • Venezia「ピラネージ ローマ バジリコ」展
  • Paris「クリストとジャンヌ=クロード パリ!」展
  • Berlin「ファストファッション ファッションのダークサイド」展



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

御贔屓 御馳走帖〈9〉
選・文 森川裕之

Goods & Shop

時と光の美術館〈41〉
アンデルセン・ジュネーブ

◇ 連載 ◇

リ・アルティジャーニ
ルネッサンス画家職人伝〈26〉
ヤマザキマリ とり・みき

海外アートStudy最前線〈57〉
文 前橋重二

図書館を建てる、図書館で暮らす〈4〉
〈森の図書館〉を設計することになった
文 三井嶺

定形外郵便〈74〉
文 堀江敏幸

あの人と食器棚〈8〉
伊藤まさこ
ギャラリーオーナー
引田かおり
引田ターセン

千住博の往復書簡〈26〉
宛先 森村泰昌様

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈71〉

◇ PICK UP ◇

movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記 小田原のどか〈3〉
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

各ギャラリーイチオシの
旬の作品を誌上購入できる!
GEISHINアートフェア

日本画家、宮北千織の高潔なる「色彩」

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈38〉
東大寺 法華堂
《金剛力士立像 阿形像・吽形像》

Gallery's Plaza
ART CAFE
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芸術新潮 プレゼント
英国王室の歴史を彩ってきた王族たちの肖像約90点が来日し、テューダー朝からウィンザー朝まで、約500年にわたる英国王室のドラマを紹介する展覧会が開催されます。
『怖い絵』の著者・中野京子さん(作家・ドイツ文学者)が展覧会ナビゲーターを務め、肖像画から英国王室の物語を読み解きます。[→]全文を読む
自然界のエネルギーや生命を象徴するものとして、金と銀、黒と白、赤と気(黄)、青と緑を取り合わせた4つの章から、多彩な工芸表現を見ていきます。会場の床を大地(自然)に見立て、そこから湧き上がるエネルギーを表すように展示台をデザインしたという建築家の伊東豊雄氏による会場空間にも注目。[→]全文を読む
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