人が読んでいる本が気になる。本の内容もさることながら、その人の個性までもが見えてくるからだ。今月号の特集では、ヤマザキマリ、森村泰昌、寄藤文平、辛酸なめ子などアートの世界で活躍する人たちに、よすがのように読んできた本を選出してもらった。おすすめの本はもちろん、仕事前のウォーミングアップに読む本や自分史上最多再読本などは、創作の源をのぞき見する気分だ。
 
芸術新潮
2021年3月号(定価1,500円)2月25日発売
芸術新潮メールマガジン[2021/02/25] うまく表示されない場合はブラウザでご覧ください
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編集長から
通史だから分かる 実はスゴイ英国絵画

 西洋美術においてイギリスは、イタリアやフランスに比べて出遅れた感があった。理由のひとつは、島国であり、大陸の伝統から切り離されていたこと。もうひとつは16世紀前半の宗教改革だ。偶像崇拝が否定され、大パトロンである教会からの注文がほぼゼロになった。ところが産業革命が始まると、富を得た市民たちからの絵の需要が高まる。19世紀前半にはターナー、コンスタブルという二人の巨匠が活躍。その後は文学を背景としたラファエル前派、続いて、美しければなんでもアリの唯美主義が人気を博す。そして戦後、フランシス・ベーコンとルシアン・フロイドの登場でイギリスのアートシーンは一気に存在感を高め、1984年に創設されたターナー賞が拍車をかける。ピーター・ドイグ、デミアン・ハーストなど数々の才能を発掘したのだ。さらに目下、バンクシーが世界を席巻中。
 いまや欧州随一の美術大国となったイギリス絵画の通史を、日本で初めてお届けしましょう。
芸術新潮編集長 吉田晃子
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編集部より
最新号PICK UP
 私は1988年から89年にかけて、ロンドンに住んでいました。大学を休学して遊学し、1年近く、夜な夜な遊びほうけていました。しかし帰国後はずっとイギリスへ行く機会がなく、2012年、実に20数年ぶりにロンドンを訪れました。
 ロンドンは変わっていました。街が、明るく、きれいになっていたのです。
 中心部Sohoから猥雑さがすっかり消えていたのにも驚きましたが、東部のいわゆる「ドックランズ」と呼ばれる再開発エリアの変貌ぶりは、さらに衝撃でした。治安の悪い地域だったはずが、真新しいビルが建ち並び、テムズ川の周辺はまさかのお洒落スポットへと変身していたのです。[→]全文を読む
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●目 次

【特集】唯美と奇想の王国
決定版 英国絵画史


絵画をめぐるイギリス人の物語

第1部 エリザベス朝からヴィクトリア朝まで

英国絵画史
解説 荒川裕子

  • 1 イギリスで「美術」はなぜ出遅れたのか?
  • 2 風景画が開いたイギリス絵画の新時代
  • 3 ラファエル前派、唯美主義 
    全盛の大英帝国と耽美へ向かうアート

ターナーコンスタブル
ふたりの巨匠を徹底比較
解説 荒川裕子


コンスタブルの真摯な気象研究
文 前橋重二

ビアズリーはイギリス的? 非イギリス的?
文 河村錠一郎

第2部 20世紀から現代まで

英国絵画史
解説 桝田倫広

  • 4 二つの世界大戦とにじみだすイギリスらしさ
  • 5 解体する帝国とスター誕生 ベーコン、フロイド、ホックニー
  • 6 ターナー賞の先鋭化とYBAs大暴れ
  • 7 越境する絵画たち

バンクシーはなぜイギリスに生まれたのか
解説 毛利嘉孝

ミニグラフ
コロナ禍のバンクシー



◆ Art News exhibition ◆

フランシス・ベーコン
挑発する生前未発表ドキュメンツ
文 平泉千枝

◆ Art News farewell ◆

ありがとう、as it is
文 中村好文/森岡督行/菅野康晴

◆ Art News exhibition ◆

永遠のふたり
がまくんかえるくん

誕生秘話

前衛×古典・伝統
これが戦時を生きる道

◆ Art News interview ◆

「人はもがくことで成長する」
ゴヤの生涯に自らを重ねる
今井翼

◆ Review ◆

「絵画の見かた reprise」展/小瀬真由子/冨安由真/シュ・ニン

◆ Global News ◆

  • London「トレイシー・エミン/エドヴァルド・ムンク:魂の孤独」展
  • Paris「オルメカとメキシコ湾岸の文化」展
  • Pompeii「約2000年前の居酒屋発掘」
  • New York「サルマン・トゥール:分かるもんか」展



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

国宝クラス仏をさがせ!〈3〉

Goods & Shop

時と光の美術館〈47〉
クリストフル

◇ 連載 ◇

リ・アルティジャーニ
ルネッサンス画家職人伝〈28〉
ヤマザキマリ とり・みき

海外アートStudy最前線〈63〉
文 前橋重二

国宝クラス仏をさがせ! 解説篇〈3〉
選・解説 瀬谷貴之

図書館を建てる、図書館で暮らす〈10〉
風呂敷は大きめに広げる
文 山本貴光

新連載
イヴ・マチューかく語りき
エコール・ド・パリの誕生を見つめた
「ラパン・アジル物語」〈1〉
伝説の店の夜明け
文 さかもと未明

定形外郵便〈80〉
文 堀江敏幸

あの人と食器棚〈14〉
伊藤まさこ
編集者・ライター
仁平 綾

千住博の往復書簡〈32〉
宛先 西沢立衛様

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈77〉

◇ PICK UP ◇

movie 野崎歓
book 諏訪敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記 小田原のどか〈9〉
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

Interview 山田雅美さん
V&Aが注目する日本の美の奥深さ

アートフェア東京2021
見どころガイド
靖山画廊/繭山龍泉堂/相模屋美術店ほか

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈41〉
観心寺《如意輪観音菩薩坐像》

ART CAFE
Gallery's Plaza
「芸術新潮」最新号 立ち読みへ
芸術新潮 プレゼント
近年再評価の機運が高まる「花鳥画の名手」渡辺省亭わたなべせいてい(1852~1918)の、国内美術館での本格的な回顧展が初めて開催されます。明治11年(1878)のパリ万博への出品を機に日本画家として初めてパリに渡り、江戸の美意識と西洋感覚をあわせ持つ花鳥画を描いた省亭は、国内外で高い評価を得るも、次第に中央画壇から離れ市井の画家であることを貫いたため、没後は知る人ぞ知る存在になりました。 [→]全文を読む
白いカンヴァスを分割する水平垂直のグリッドと、赤・青・黄の原色の平面からなる抽象画「コンポジション」のシリーズで知られる画家、ピート・モンドリアン(1872~1944)。画業初期の自然主義的なハーグ派様式の風景画から、象徴主義や神智学への傾倒を反映した作品、キュビスムの影響を受けて、幾何学的な造形を独自に展開していった作品、そして「新造形主義」理論に基づく「コンポジション」まで、多岐にわたる展開を追います。生国オランダのデン・ハーグ美術館が所蔵するモンドリアン作品50点が来日、その約半数は日本初公開作品となります。[→]全文を読む
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