杉本・養老・山下 “影老”たちの競演  このごろ、いや数年前から、頭にこびりついて離れない標語がある。「日々是口実」。最初に目にしたのは、現代美術家・杉本博司が小田原市の郊外に開設したアートサイト・江之浦測候所の茶室「雨聴天」の床に掛かる掛軸だった。もちろん禅語の「日々是好日」のもじりだが、デュシャンピアン(=マルセル・デュシャンの信奉者)としての自己の本質を軽妙的確に捉えつつ、お前もやってみろと誘いかけてくるような気配もある。
 
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2022年1月号(定価1,500円)12月25日発売
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編集長から
杉本・養老・山下 “影老”たちの競演
 このごろ、いや数年前から、頭にこびりついて離れない標語がある。「日々是口実」。最初に目にしたのは、現代美術家・杉本博司が小田原市の郊外に開設したアートサイト・江之浦測候所の茶室「雨聴天うちょうてん」の床に掛かる掛軸だった。もちろん禅語の「日々是好日」のもじりだが、デュシャンピアン(=マルセル・デュシャンの信奉者)としての自己の本質を軽妙的確に捉えつつ、お前もやってみろと誘いかけてくるような気配もある。特集「杉本博司と日本の神々」では、杉本が自ら“遺作”と位置づける江之浦測候所と、そこへの春日社の勧請かんじょうを機とした「春日神霊の旅―杉本博司 常陸から大和へ」展をフィーチャー。3月には小社から『杉本博司自伝 影老日記』(またもやダジャレ)も刊行される予定だ。
 第二特集では、虫愛ずる影老・養老孟司が年下の虫友と虫談義に耽る。初老耽美派を自称する山下裕二による新連載「山下裕二の新・今月の隠し球」もスタート。賑々しい新春号となった。
芸術新潮編集長 高山れおな
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編集部より
最新号PICK UP
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「春日神霊の旅 ―杉本博司 常陸から大和へ」展に出品される春日舎利厨子を調査中の杉本博司
神奈川県山北町の不動尊常実坊にて。
撮影:広瀬達郎(本誌)
春日の神様は行かせてくれない
新春号の巻頭特集は、現代美術作家・杉本博司と神奈川県立金沢文庫のコラボ展「春日神霊の旅―杉本博司 常陸から大和へ」を機としたもの。杉本氏は、古美術コレクターとして多数の“春日物”の名品を所蔵し、小田原市郊外で運営するアートサイト・江之浦測候所には鎮守のお社として春日社を建立。それも社殿を建てただけではなく、2022年3月には奈良の春日大社から御霊分けまでしていただくという。[→]続きを読む
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●目 次


【特集】杉本博司と日本の神々

  • 巻頭グラフ
  • 神体顕現――滝から海へ
  • 鹿島のカミは春日のカミ
  • かくかく鹿々 春日の神とつながるご縁
  • ようこそ、カミ鳴りわたる広間へ
  • 社を造る、像を迎える
  • 威徳寺再訪
    前田青邨・白洲正子旧蔵、十一面観音のふるさとへ

杉本博司エッセイ
私の内なる神々
II
神仏習合の頃
III
春日神との邂逅
IV
題字な話

影老絵日記――杉本博司クロニクル

空前絶後の“遺作”プロジェクト
江之浦測候所は
日々是増殖


江之浦測候所MAP

令和4年、春日のカミが江之浦測候所に降臨する

春日大社宮司
花山院弘匡×杉本博司
日本的霊性をめぐる対話
オブザーバー 瀬谷貴之

“書家”杉本博司を知っていますか?

COLUMN
人は如何にして悟るか、または空中戦と大燈国師

杉本コレクション
神道美術12選

選・解説 瀬谷貴之

展覧会案内



◆ 第2特集 ◆

養老孟司×横山寛多
ムシのいい話


◆ Art News exhibition ◆

ショーメ×日本の伝統美
ものづくりの声を聴く
文 本間恵子

横尾忠則とマルセル・デュシャンの原郷
文 平芳幸浩

◆ Review ◆

  • 篁 牛人/岸 裕真
  • ジョナサン・ハマー/鈴鹿哲生

◆ Global News ◆

  • Paris「異邦人ピカソ」展
  • Berlin「H.R.ギーガー&ミレ・リー」展
  • London「北斎:万物絵本大全図」展
  • New York「越境するシュルレアリスム」展



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

国宝クラス仏をさがせ!〈13〉
高幡不動尊 不動三尊像

Goods & Shop

時と光の美術館〈57〉
ブチェラッティ

◇ 連載 ◇

国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈13〉
選・解説 瀬谷貴之

新連載
山下裕二の
新・今月の隠し球〈1〉
大西茅布(上)

海外アートStudy最前線〈71〉
文 前橋重二

定形外郵便〈90〉
文 堀江敏幸

大人のための印象派講座〈7〉
女性画家として生きることI
モリゾとカサットの場合
文 三浦 篤

画家・中園孔二を追って。〈4〉
絵のマグマ
取材・文 村岡俊也

千住博の往復書簡〈42〉
新春特別編
お相手 酒井邦嘉 様
科学と芸術の接点を探ろう

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈86〉

◇ PICK UP ◇

movie 野崎 歓
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈19〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

歌舞伎座の快人〈3〉
二代目中村獅童 小川陽喜之巻

霊気を彫り出す彫刻家、大森暁生の25年間の軌跡

連載 唯一無二の美〈4〉
女神アスタルテの像 浮彫護符

レンゾ・ピアノに捧げた
キンベル美術館のピクチャーレール

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈46〉
法隆寺 百済観音堂《百済観音像》

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芸術新潮 プレゼント
楳図の芸術性に焦点を当てた展覧会が今春、東京を皮切りにスタート。1990年代の「14歳」以来、実に27年ぶりとなる新作《ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館》が初公開されます。12歳の悟と真鈴の手によって、工業ロボットが意識を持ち、“真悟”と名乗って動き始める――コンピュータ社会の光と影を予見するような物語を80年代に圧巻の緻密さで描いた「わたしは真悟」。新作はその続編であり、同時に時空を超えたパラレル・ビジョン(並行世界)でもあります。[→]全文を読む
先史時代から現代まで5000年以上にわたる世界各国の文化遺産が150万点以上所蔵されているメトロポリタン美術館――通称THE MET(メット)。なかでもヨーロッパ絵画部門は創設以来150年にわたって同館が注力してきた分野で、現在は約2500点を所蔵しています。今回、その中から選りすぐりの名画65点が来日中。大阪展の終了後、東京にもやって来ます。オールドマスター(=18世紀以前に活躍した大家)から印象派まで、巨匠の絵画作品に焦点を絞り、なんと出品作品中46点が日本初公開という豪華な展観となっています。[→]全文を読む
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《杉本博司、好評の既刊》
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《新潮社の話題作》
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『ヌー道 nude―じゅんとなめ子のハダカ芸術入門―
みうらじゅん、辛酸なめ子/著
アートと書いて“いいわけ”と読む!
エロとアートの共犯関係に、あなた自身のワイセツ観も一変する――!?
ロダンから裸のマハまで。土偶から黒田清輝に、街中の銅像まで。斯界のエロフェッショナルとコラムニスト界の巫女が、「芸術だもの」を合言葉に生み出されてきた古今東西のハダカをタネに大談議。二人初の共著。カラー図版多数。
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