その軌跡を目撃せよ 開催中のディオール展が評判だ。なるほど、東京都現代美術館の大空間を存分に使った展示は、スペクタクルであると同時に非常によく練られた構成で、展示技術の粋を見せる。特集「クリスチャン・ディオール エレガンスと創造の泉へ」では、会場で撮りおろした写真を使い、ムッシュ ディオールの哲学に迫った。
 
芸術新潮
2023年3月号(定価1,500円)2月25日発売
芸術新潮メールマガジン[2023/02/24] うまく表示されない場合はブラウザでご覧ください
芸術新潮
編集長から
ディオール劇場、
その軌跡を目撃せよ
 開催中のディオール展が評判だ。なるほど、東京都現代美術館の大空間を存分に使った展示は、スペクタクルであると同時に非常によく練られた構成で、展示技術の粋を見せる。特集「クリスチャン・ディオール エレガンスと創造の泉へ」では、会場で撮りおろした写真を使い、ムッシュ ディオールの哲学に迫った。案内役は、今展のキュレーターを務める服飾史家フロランス・ミュラー氏。一方、画家・千住博と服飾史家・中野香織の両氏は、ディオールの後継者たちに焦点をしぼり、創造性の継承をめぐり語り合う。ディオールと狩野派の違いはさてどこに。会場の空間設計を手がけた建築家・重松象平のインタヴューも必読。読んでいると、自分もディオールの服を買わなくてはいけないような気分になってきます(いや、ほんとに)。
 第2特集は、「ルーヴル美術館と“愛”の美術」。辛酸なめ子さんが、碩学・鹿島茂先生から、楽しくも際どいお話をたっぷりと引き出しました。
芸術新潮編集長 高山れおな
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編集部から
最新号PICK UP
 クリスチャン・ディオールが画廊を経営していたこと。しかも「無名の作家を世に送り出すこと」を目的に、駆け出しの頃のダリや、マルセル・デュシャン、マン・レイなどの作品を扱う先見の明があったこと。その後、デザイナーとして自身のメゾンを立ち上げるやいなや世界的な評価を得るも、52歳で急逝し、活動期間はわずか10年だったこと。1953年にはパリのオートクチュール・メゾンとして本邦初のファッション・ショーを開催し、のちにメゾン・ディオールが美智子さまの御成婚祝賀行事のドレスを手がけたこと。
 特集のために勉強すればするほど、クリスチャン・ディオールという希代のデザイナーの哲学、彼の没後を担ったイヴ・サンローランをはじめとする歴代デザイナーの創造性に、いちいち驚かされました。
 そして、開催中の「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展(2023年5月28日まで、東京都現代美術館)の見事なこと。13の展示室それぞれがまるで舞台のような演出で、部屋をめぐり歩くことでメゾン・ディオールというひとつの物語が浮かび上がってきます。
「芸術新潮」3月号では、そんな会場の写真をふんだんに使って、ディオールの世界を紹介しています。
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●目 次


【特集】クリスチャン・ディオール
| Christian Dior | エレガンスと創造の泉へ


巻頭グラフ

Haute couture pieces by Christian Dior
コレクションにこめた夢
ムッシュ ディオールの哲学を見る
解説 フロランス・ミュラー

ラインの狂騒、はじまりはコロールライン/ガーデン――創造の泉/クリスチャン的ジャポニスム/アートと歴史をまとう



II Life of Christian Dior
クリスチャン流、メゾンの扉のひらき方

[略年譜]ギャラリストからクチュリエへ
1905-37 パリのアヴァンギャルドたちと共に
1938-47 デビュー、いきなりモードの覇者に
1947-57 世界戦略と早すぎる死



III Haute couture pieces by six creative directors
六人六色、豊かなる変奏
イヴ・サンローランからマリア・グラツィア・キウリまで
解説 フロランス・ミュラー

6人の後継者たち/メゾンに響くニュールック賛歌/ディオール・ガーデンに種まく人たち/アートとモードの広がる関係/オートクチュールの魂、ここにあり/旅するディオール



対談
千住 博×中野香織
創造性を継承するということ

インタビュー
舞台から舞台へ
建築家・重松象平が紡ぐ13のストーリー

コラム
1 オートクチュール 美の限界に挑む
2 ディオールが日本にやって来た! その熱狂と影響

再録
杉野芳子「ディオールと語る」

展覧会案内



◆ 第2特集 ◆

ルーヴル美術館と“愛”の美術
解説 鹿島 茂
聞き手 辛酸なめ子

◆ Art News exhibition ◆

まじめに軽やか、つとめて華やか
椿つばき椿山ちんざん、再発見

◆ Review ◆

  • 江口寿史
  • 後藤拓也「アール・ブリュット ゼン&ナウ Vol.2 Echo こだま返る風景」展より
  • ヤン・ゲルストバーガー
  • 上田勇児・梅津庸一



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

国宝クラス仏をさがせ!〈27〉
西大寺 愛染明王坐像

Goods & Shop

時と光の美術館〈71〉
バカラ

◇ 連載 ◇

定形外郵便〈104〉
文 堀江敏幸

短期集中連載 最終回
戸谷成雄
ロダンのいない彫刻史〈3〉
表面と襞について

幻々夢譚〈3〉
絵・文 と金

国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈27〉
選・解説 瀬谷貴之

大人のための印象派講座〈18〉
印象派展の知られざる画家たちI
文 三浦 篤

中野京子
名画に見る悪の系譜〈9〉
エヴァ

ジャニー喜多川が創ったもの〈9〉
文 立川輪太郎

山下裕二の
新・今月の隠し球〈14〉
山口暁子(下)

千住博の往復書簡〈56〉
宛先 畑中昭彦 様

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈98〉

◇ PICK UP ◇

movie 野崎 歓
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈32〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

河北秀也
「いいちこ」デザインを語る

アートフェア東京2023 みどころガイド

世界のトップ・オブ・ポップ!
ロメロ・ブリットのハッピーシャワー

連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈53〉
東大寺大仏の蓮弁毛彫

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【1】「重要文化財の秘密」展
本展では、保護の観点から貸し出しや公開が限定的なそれらの中から、なんと約50件が集まります。発表された当初評価が分かれた「問題作」が、どのような評価の変遷を経て重要文化財に指定されるに至ったのか、近代美術史の秘密に触れられるのも大きな魅力のひとつ。[→]全文を読む
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【2】「ブルターニュの光と風―画家たちを魅了したフランス〈辺境の地〉」展
深緑の海と険しい断崖、そして平原と深い森が広がるフランス北西の地・ブルターニュは、19世紀後半にポスト印象派の巨匠ゴーギャンや、彼を慕うポン=タヴァン派の画家たちが訪れ、総合主義が生まれた地としてよく知られています。[→]全文を読む
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《とんぼの本》
着こなしの美学、染織の魅力――
達人たちをお手本に。
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『向田邦子 おしゃれの流儀』
向田和子/編、かごしま近代文学館/編
向田さんのファッション図鑑
向田さんの20代から50代までの、よそゆきや普段着、勝負服など、残された衣装の中から約200着をポートレートやエッセイとともに紹介。その装い術にも、魅力あふれる独自のスタイルがありました。
『白洲正子のきもの』
白洲正子、牧山桂子、青柳恵介、八木健司/著
要は背のびをしないこと
「人に見せるのでなく、自分がたのしめばよい。きものはその為にあるのです」。小千谷縮や結城紬、紅型、芭蕉布など、遺愛の優品を鑑賞しつつ、晴れ着より普段着を好んだきもの観、ドレスダウン術に学ぶ。
『沖縄染織王国へ』
與那嶺一子/著
太陽の染め海風の織り
鮮やかな紅型、涼やかな芭蕉布や上布、優しい風合の花織……。琉球王国の伝統がはぐくんだ名品90点と、当代染織家5人が創る美しい布を収録し、その特色を丁寧に解説。究極の手仕事の美を、ご堪能あれ!
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