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編集長から
追悼|総力特集 坂本龍一
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図らずも追悼の2字を冠することとなりましたが、企画をスタートさせたのは昨秋のこと。すでにご病気は重く、どのような可能性もあり得ることは判っていました。しかし、2017年に発表された『async』の、新たな、大いなる達成から受けた感動は忘れ難く、これが誌面にご本人の声を反映させられる最後のチャンスだろうという思いもあって、特集を作らせていただきたい旨を申し入れました。ご体調の問題からインタビューこそ実現しませんでしたが、坂本さんは提案の一つ一つに真摯に向き合って下さいました。特集は「聴く」「見る」「読む」の3部構成。「聴く」では盟友・浅田彰氏がその音楽史的意義と到達点を、「見る」では近年数多く手がけたインスタレーションについて共同制作者である高谷史郎氏が徹底解説。「読む」では小崎哲哉氏の案内で、最後まで社会に向けた発言を続けた坂本さんの言葉に分け入ります。唯一無二の表現者の活動を、しっかりと受け止める総力特集です。
芸術新潮編集長 高山れおな
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坂本さんの特集ができるまで
1950年に創刊し、通巻では880号を超える「芸術新潮」の長い歴史の中で、音楽家をメインの特集で取り上げたのは、たった一度だけでした。2006年5月号の武満徹特集です。ふたり目は坂本龍一さんしかいない、と考えるようになったのは、2017年にリリースされた坂本さんのソロアルバム『async』を聴いてからでした。多様なジャンルを横断しつつ1作ごとに新たなチャレンジを続けてきた坂本さんが、みずから「あまりに好きすぎて、誰にも聴かせたくない」と言うアルバムは、音楽とノイズが入り混じる先鋭的なものでありながら、でもとても心地よい、凄い作品でした。「なんでもできる音楽家」が、ついに「自分にしかできない音楽」にたどり着いたようにも感じられました。[→]続きを読む
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●目 次
【追悼|総力特集】坂本龍一
第1章 坂本龍一を聴く I 到達点
『async』から『12』へ
12のスケッチ
「ポストモダン・ミュージック」から
「音楽そのもの」へ
文 浅田 彰
坂本さんへ、12人からの手紙
(1)けがれなき「もの」としての音 李禹煥
(2)坂本龍一の指 村上 龍
(3)雨音と太陽 カールステン・ニコライ
(4)水の呼吸 宮永愛子
第2章 坂本龍一を聴く II 歩み
12作品を今あらためて聴く
文 佐々木 敦
坂本さんへ、12人からの手紙
(5)なにものかへの回帰 宇佐見りん
(6)即興演奏のパートナー 大友良英
第3章 坂本龍一を見る
高谷史郎責任編集
グラフ インスタレーション・アート
坂本龍一のアートを高谷史郎が徹底解説
論考 配信者という芸術家像のはじまり
――音楽の共有地(コモンズ)を求めて
文 松井 茂
坂本さんへ、12人からの手紙
(7)僕の履歴書みたいな。 田中 泯
(8)世界とつながっている 島袋道浩
(9)忘却の花 アピチャッポン・ウィーラセタクン
(10)霧が好きだった彼のために 中谷芙二子
第4章 坂本龍一を読む
12の言葉
文 小崎哲哉
坂本さんへ、12人からの手紙
(11)一億年前の森の中で 岡崎乾二郎
(12)創造放射者 大竹伸朗
これからの坂本龍一
◆ Art News exhibition ◆
怖くて、優しくて、身近なアート
エドワード・ゴーリー
文 河村錠一郎
末盛千枝子 絵本の仕事と家族の肖像
\連載完結記念!/
江口寿史インタビュー
ジャニーズの美形男子を描いて思ったこと
◆ Review ◆
- 須藤美沙『ACT (Artists Contemporary TOKAS) Vol.5 引き寄せられた気配』展より
- エマ・ウェブスター
- 近藤恵介・冨井大裕/杜昆(ドゥクン)
◆ Regular Features ◆
◇ 巻頭 ◇
国宝クラス仏をさがせ!〈29〉
七寺 阿弥陀三尊及び二天像
Goods & Shop
時と光の美術館〈73〉
ディオール
◇ 連載 ◇
定形外郵便〈106〉
文 堀江敏幸
国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈29〉
選・解説 瀬谷貴之
山下裕二の
新・今月の隠し球〈16〉
鈴木明日香(下)
幻々夢譚〈5〉
絵・文 と金
大人のための印象派講座〈20〉
批評家たちの役割
文 三浦 篤
中野京子
名画に見る悪の系譜〈11〉
スリ
千住博の往復書簡〈58〉
宛先 室瀬和美 様
福井江太郎の
駝鳥がゆく!!〈2〉
訪問先 山口つばさ さん
千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈100〉
◇ PICK UP ◇
movie 野崎 歓
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈34〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報
次号予告
▼芸術新潮特別企画
時と光の美術館
パテック フィリップSPECIAL〈9〉
文字盤の背後にある革新
NFTアートカレッジ〈2〉Adam by GMO
NFTアートが繋ぐ
コミュニケーションを楽しむ
春のアートスポット
バックスキンビールと、
ウクライナの国民的画家。
その組合せに秘められた想い。
美術品の「公明正大」な鑑定評価のために
連載 美に魅せられて/
アジア文化芸術協会〈54〉
興福寺《十大弟子立像》
ART CAFE
GALLERY'S PLAZA
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【1】「ガウディとサグラダ・ファミリア展」
「未完の聖堂」といわれつつも、豊富な拝観料収入やコンピュータの導入により工期が大幅に短縮され、いよいよ完成の瞬間が近づいてきたサグラダ・ファミリア聖堂に焦点を絞り、「歴史」「自然」「幾何学」をキーワードに、ガウディの建築思想や造形原理を読み解く展覧会です。[→]全文を読む
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【2】特別展「古代メキシコ ―マヤ、アステカ、テオティワカン」(東京)
メソアメリカ(メキシコから中央アメリカ北西部にかけての地域)では、紀元前15世紀から3000年以上にわたり、様々な古代文明が花開きました。本展は、テオティワカン(前100~後550年頃)、マヤ(前1200~後1697年頃)、アステカ(後1325~1521年頃)という、なかでも代表的な3つの文明を、メキシコ国立人類学博物館をはじめとするメキシコ国内の主要博物館から選び抜かれた約140件の資料から紐解きます。[→]全文を読む
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今月のおすすめ本
音楽を読み、音楽を見る3冊――
《新刊》
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「あまり気が進まないけれど」と前置きしつつ、日本が誇る世界的音楽家は語り始めた。伝説的な編集者である父の記憶。ピアノとの出会い。幼稚園での初めての作曲。高校での学生運動。YMOの狂騒。『ラストエンペラー』での苦闘と栄光。同時多発テロの衝撃。そして辿りついた新しい音楽――。華やかさと裏腹の激動の半生と、いつも響いていた音楽への想いを自らの言葉で克明に語った初の自伝。(新潮文庫)
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『ポートレイト・イン・ジャズ』和田誠、村上春樹/著
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ボーナス・トラック三篇を加えた増補決定版
和田誠が描くミュージシャンの肖像に、村上春樹がエッセイを添えたジャズ名鑑。ともに十代でジャズに出会い、数多くの名演奏を聴きこんできた二人が選びに選んだのは、マニアを唸らせ、入門者を暖かく迎えるよりすぐりのラインアップ。(新潮文庫)
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『ビートルズへの旅』
リリー・フランキー、福岡耕造/著
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リリー・フランキーと行く、四人の“風景”
ビートルズが死んでも、彼らの音楽は死なない――。4人の生家から、ストロベリー・フィールド、ペニー・レイン、アビイ・ロードまで。リヴァプールとロンドンを130点以上の写真で巡る、“ビートルズへのオマージュ”。(とんぼの本)
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