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【 映画「帰らない日曜日」原作 】
『マザリング・サンデー』 グレアム・スウィフト/著、真野泰/訳
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イギリスのメイドの世界における“マザリング・サンデー”は、江戸時代の丁稚にとっての藪入りのような日だったようです。藪入りは盆と正月の2回ありましたが、マザリング・サンデーは年に一度、メイド達が母親のところに戻ることを許された日。
この物語は、1924年3月のマザリング・サンデーの1日を描いています。使用人達がいなくては家事がまわらなくなるのが、ご主人様達の世界。その日は家で食事をすることができないので、シェリンガム家、ニヴン家、ホブデイ家の夫婦が誘い合い、遠出をして昼食会を開くことになりました。
使用人は母親のところへ帰り、主人達も昼食会へ。となれば3軒の屋敷には誰もいないはずです。しかしその時、シェリンガム家では、1組の男女が一糸まとわぬ姿でたわむれていました。それは、その家の息子のポールと、ニヴン家のメイドであるジェーン。
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『人生、山あり谷あり家族あり』 岸田ひろ実/著
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書評:しまだあや
自分にも誰かにも、優しくなれる
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大切な人の他界、ダウン症や発達障害、下半身麻痺、認知症。周りからは「大変だ」と思われることも多そうなキーワードと共に歩む岸田ひろ実さんとその家族。ひろ実さんは本の中で、こう話す。「当の私たちは『大変だ』と思ったことは一度もありません。うちはダイバーシティ、つまり理想とされるコミュニティ。最高に愉快でハッピーな家族なのです。」[→]全文を読む
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『すごい神話―現代人のための神話学53講―』沖田瑞穂/著
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書評:山本貴光
現代に転生する世界の神話
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例えば、巻頭の「人間はなぜ死ぬようになったのか――インドネシアの「バナナ型」神話」と題されたトピックは、吾峠呼世晴の大ヒット漫画で劇場版アニメも大きな話題を呼んだ『鬼滅の刃』(集英社)の話から始まる。著者は、この漫画に描かれた鬼と人間の争いの横に、インドネシア神話を並べてみせる。バナナと石が「人間はどのようであるべきか」について激しく争う話だ。[→]全文を読む
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『広重ぶるう』梶よう子/著
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書評:縄田一男
広重の気概
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昨年、『吾妻おもかげ』で菱川師宣を描いた梶よう子が、次なる主人公に選んだのが歌川広重であった。その新刊、『広重ぶるう』は彼の生涯を五景に分け、いわば五つの修羅と対峙させた構成が光っている。私達はこの一巻のページを繰るや、我知らず衿を正している自分がいる事に気付かされるであろう。それは本書が、作者と広重との真剣勝負である事がひしひしと伝わってくるからに他ならない。[→]全文を読む
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2022年6月刊行のアリ・スミス『夏』(木原善彦訳)をご購入され、 帯にある応募券を使ってご応募された方のなかから抽選で400名様に、 「四季四部作」を納めることができる特製BOXをプレゼント!
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「日本推理作家協会賞」を平成生まれの作家が初受賞。
私達の日常に潜む小さな“歪み”。あなたは見抜くことができますか?
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2018年、『名もなき星の哀歌』で第5回新潮ミステリー大賞を受賞しデビューした結城真一郎さん。その後もコンスタントに作品を発表しつづけ、2021年には本作にも収録されている「#拡散希望」(全文無料公開中)で第74回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。二転三転するプロットや伏線回収の巧みさ、YouTuberを題材にした、テーマの現代性等が高く評価され、平成生まれ初の受賞者に。
また、同年には三冊目の長編作品である『救国ゲーム』を刊行し、現在第22回本格ミステリ大賞の候補作に選出、とデビュー以来、スター作家への階段を一足飛びに駆け上ってきました。
そんなミステリ界大注目の結城さんの最新作『#真相をお話しします』を6月30日に刊行します。
■なぜミステリで「現代」を描くのか。ミステリの可能性とは。
本作ではYouTuberやマッチングアプリ、精子提供、リモート飲み、など「現代的なテーマやガジェット」がふんだんに取り込まれています。現代的なテーマにミステリを織り交ぜたかつてない読み味は、まさに新世代ミステリの幕明けを予感させます。今だからこそ、そして、「当事者」のひとりである結城さんの世代だからこそ書けたといえる、批評性に富んだ作品です。
なぜ作品に「現代的要素」を取り入れてみようと思ったのか。結城さんは次のように語ります。
結城:新たな技術や価値観がもたらされる中で生じる「日常の歪み」や「新たな動機」に興味がありました。生活をより豊かにするための技術や道具が世に出てくれば、当然のようにそれを悪用する人もでてきます。新たな価値観が世に浸透すれば、当然のようにそこから「今までの常識では考えられない動機」も生まれます。
例えば、“迷惑系YouTuber”は「視聴回数を稼ぐため」に迷惑行為、下手したら犯罪行為に及びますが、これはほんの十年前では考えられなかった「動機」です。しかし、事実としてそれを楽しみにしている視聴者も居ますし、それが先の「動機」をより切実なものとしている側面もある。また、それらの迷惑行為に対して否定的であるいっぽうで、「でも、それをされたら、人はどういう反応をするのだろう」と怖いもの見たさにも似た興味を覚えてしまう自分が居るのも事実でした。
このもやもやとした割り切れない感情が原体験となり、ならば作品を通じて「すこぶる歪で、従来の常識ではとても考えられないけれど、いまを生きる私たちとどこか地続きのようにも思えてしまう事件・人間模様」を描いてみたいと思ったのです。
そして、「現代」を持ち込むことは、ミステリを“進化”させる可能性も秘めていると言います。
結城:「現代的なテーマ」とミステリについては、親和性が高く、可能性は無限に広がっていると感じます。例えば捜査技術の発展により古典的なトリックの一部が陳腐化してしまったりする例をよく聞きますが、先述の通り、「現代的なテーマ」ひいては「新たな技術や価値観」からは従来ではありえなかった目新しい動機・トリックが産み落とされる余地が多分にあると考え、本作でも自分なりに実践したつもりです。
ただ、執筆の根底には、あくまでエンターテイメントとして、普遍的な人間の心理を描くのだという意識もありました。どれだけ時代が移り変わり、技術が発展しようとも、結局最後に人を突き動かすのは「普遍的な欲求・感情」であろうとも予感もしています。それをいかに自然な形で物語に忍び込ませたのか、ぜひご注目いただければ幸いです。
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第74回 日本推理作家協会賞 短編部門受賞作を収録
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すでに韓国の民主政治は壊れている 従中・離米に走る隣国の「素顔」
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営業担当役員の伊藤幸人です。
日本を取り囲む国際環境は厳しさを増すばかりです。軍備拡張に余念がなく、周辺国との緊張を高める中国、ウクライナに一方的に侵攻したロシア、ミサイル発射実験に血道を上げる北朝鮮と、日本の隣国群はいずれも一癖も二癖もある危険な国々です。
そうした中、本来であれば、アメリカとも同盟関係にある韓国が日米韓の連携を深めて、台頭を続ける中国を牽制する一翼を担うべきところ、5年間政権の座にあった文在寅大統領は北朝鮮との宥和を志向し、経済的には中国への依存度を高め、米韓関係は大きなヒビが入ってしまいました。日韓関係においても徴用工問題や慰安婦問題を始め、不当な反日姿勢を強めるばかりです。
この5月ようやく「対米協調」を謳う保守派の尹錫悦元検事総長が大統領に就任したところですが、果たして韓国はどこへ行くのか? 真っ当な国に戻ることはあるのか?
この疑問にズバリ答えてくれるのが、新潮新書の最新刊『韓国民主政治の自壊』です。著者は国際取材経験が豊富な鈴置高史氏。「デイリー新潮」で大評判の「半島を読む」を連載中の第一人者です。本書は前作『米韓同盟消滅』の続編にあたる作品ですが、歴史的な視点も盛り込み、韓国分析にはさらに深みと鋭さが増しています。日本の新聞、テレビは決して伝えない事実、分析が数多く盛り込まれていて、読まれた方は衝撃を覚えられることでしょう。しかし、本書は決して感情的な嫌韓論ではありません。分析のタッチはいたってクール、インテリジェンスそのものです。
本書の最大の衝撃は、韓国人はもちろんのこと、日本人の多くも「韓国は今も自由で民主主義の国」だと思っているかもしれませんが、すでに実態は違っていますよ、ということを事実に基づき解き明かしていることです。
まず一つには、文在寅前大統領は「民主主義の騎手」を謳って登場しながら、民主政治の基本である「三権分立」を壊してしまったことです。文政権は2021年1月に、政府高官の不正・腐敗を捜査する機関「高位公職者犯罪捜査処」(公捜処)を大統領直属機関として設立しますが、この公捜処は検察や警察から捜査・起訴権の主要部分を奪っただけでなく、裁判官や検事およびその家族に対する捜査・起訴権を与えられています。これにより、検察・司法への睨みが効き、「公捜処が、気が付けば『政権が司法を隷属させる』装置になった」と鈴置氏は分析しています。まさに韓国版「ゲシュタポ(ナチスの秘密警察)」の誕生です。
また、2021年8月には「メディア懲罰法」の法案が国会の司法委員会で強行採決されます。「メディア懲罰法」には「虚偽報道」に対して巨額の懲罰的な罰金を科すという条文が盛り込まれました。しかし「虚偽報道」とは言っても定義は曖昧で、それを認定するのは文化体育観光部という役所に属する「言論委員会」というのですから、すべて政府の思うまま。西側の先進民主主義国で、こんな酷い「メディア懲罰法」を持つ国はなく、さすがに世界中から法案廃棄を求める声が殺到したため、国会の本会議で採決することはなくなりましたが、「言論の自由」を封殺する内容の法案がいつまた浮上するかはわかりません。
文在寅前大統領が退任間際に民主政治の基本を崩すような悪行に及んだのも、ひとえに過去の大統領のような逮捕・投獄から自らは免れようとするためだったと、鈴置氏は喝破します。浅ましいとしか言いようがありません。
しかしこれは、左派である文在寅政権だけの特異現象で、保守派の尹錫悦政権になれば、韓国政治は変わるのでしょうか。
鈴置さんの見立ては、残念ながら、政権が変わっても韓国政治の本質は変わらないというものです。現に尹政権は「韓米同盟を再建する」という公約を掲げながらも、中国への経済依存から脱却しようとしません。中国包囲網である日米豪印四か国の枠組み「Quad」に、アメリカから参加を要請されても加入しようとしないことからも、そのことは明らかです。ロシアのウクライナ侵攻に対する西側諸国の経済制裁にも韓国は積極的とは言えません。目先の自国の利益を考えているからに他なりません。尹錫悦政権は発足したばかりなので、まだ全体評価を下せないところもありますが、決して将来を楽観視できないのは明らかでしょう。
韓国政治がなかなか変われないのは、対外的な危機が訪れた時にも国内の対立勢力同士で抗争に明け暮れた「李氏朝鮮」時代の記憶が国民の中に焼き付いているからだと、鈴置氏は指摘します。実に示唆的な指摘です。
日本の外交、経済、安全保障の将来を考えるのにも、韓国という国の本質を深く知ることは不可欠です。
日本人必読の書として『韓国民主政治の自壊』をお薦めします。
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文在寅にクビにされたその検事総長が新大統領に就任した今、 果たして韓国は変わるのか。朝鮮半島「先読みのプロ」による冷徹な観察。
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