二〇一七年のリニューアル後、七回目となる日本ファンタジーノベル大賞。この秋に行われた選考会では当初、三人の選考委員の推し作品が全く食い違うという展開になりました。けれど「読んだ人の好き嫌いがはっきり分かれるというのは、決して作品として悪くない」と恩田陸さんが記した通り、話し合ううちにそれぞれの小説観や読み筋があらわになり、議論が深まる様子は鳥肌ものでした。
 
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2023年12月号(定価1000円)11月22日発売
小説新潮メールマガジン[2023/11/22]
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編集長から
人と人が語ること、そのスリルと喜び

 二〇一七年のリニューアル後、七回目となる日本ファンタジーノベル大賞。この秋に行われた選考会では当初、三人の選考委員の推し作品が全く食い違うという展開になりました。けれど「読んだ人の好き嫌いがはっきり分かれるというのは、決して作品として悪くない」と恩田陸さんが記した通り、話し合ううちにそれぞれの小説観や読み筋があらわになり、議論が深まる様子は鳥肌ものでした。大賞に決定した宇津木健太郎さん、本当におめでとうございます。
 かように人と人の対話はいつもスリルと喜びにあふれています。本号では三組の豪華対談を掲載。『レーエンデ国物語』の多崎礼さんと『龍ノ国幻想』の三川みりさんは、今この時代に異世界ファンタジーを書く意味を真摯に語ります。加藤シゲアキさんと加納愛子さんの掛け合いからは二人の才のきらめきがあふれだし、角幡唯介さんと河崎秋子さんが自然と人間の境目を探り続ける姿には、翻って自らの暮らしを考えさせられました。

小説新潮編集長 西麻沙子
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■目次
【日本ファンタジーノベル大賞2024決定発表】

◆大賞
宇津木健太郎/猫と罰(抄)
――己はかつて、夏目漱石と暮らしていた――。転生したあの「猫」が語るユーモア漂う物語

◆受賞の言葉

◆選評
恩田 陸 森見登美彦 ヤマザキマリ

◆座談会
前島 賢×北村浩子×編集部/下読み選考委員と考える「日本一懐の深い新人賞」の攻略法

「日本ファンタジーノベル大賞2025」募集要項
【ファンタジー特集 想像力の、その先は】
一條次郎/長いともだち
――ヘビのわたしが山で出会った人間は、まるで風船のよう

◆須藤古都離/ナマケモノの人生
――長い爪で木にぶら下がり、眠りながら思い出した記憶は

藍銅ツバメ/夜に身(しん)を献ぐ
――老婆は妊婦の傍で刃を研ぐ。あの大切な姫を思えばこそ

武石勝義/煙景の彼方
――煙の輪の中に映像が見えた。私も早く彼方へ行きたい

高丘哲次/三十五センチ四方の草原
――チェス盤に宿る深遠な世界。長く目を背けてきたけれど

〈特別対談〉
◆多崎 礼×三川みり/心に響く異世界を創る
――ファンタジーが私たちに授けてくれるものって? 最注目の作家二人が語らう創作の裏側
【『ともぐい』刊行記念対談】
角幡唯介×河崎秋子/熊と人間、その狭間で
――狩猟と牧畜、それぞれの道で命と向き合ってきた二人。彼らを執筆に掻き立てるものとは
【『思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる』刊行記念エッセイ】
スズキナオ/あとがきのあとがき――やっぱり家族がわからない
――一冊の本を書ききったいま、大切なあの人に話を聞くと
【『行儀は悪いが天気は良い』刊行記念対談】
加藤シゲアキ×加納愛子/じぶんの居場所のつくりかた
――演じ手として、書き手として。互いをリスペクトし合う二人の「あの頃」と「これから」
【短編】
西條奈加/白狐、ふたたび 善人長屋
――「盗賊」騒動の背後に、加助の昔なじみの存在が……
【連載第2回】
佐々木譲/遥かな夏
――真紀の祖父は誰なのか? 裕也は過去を振り返り――

◆角幡唯介/地図なき山―日高山脈48日漂泊行―
――目的を持たず、山に入りたい。著者はなぜ漂泊するのか

【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆いしいひさいち/剽窃新潮
岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
川上和人/鳥類学者の半分は、鳥類学ではできてない
◆くどうれいん/くどうのいどう
◆こいしゆうか/くらべて、けみして 校閲部の九重(くじゅう)さん
酒井順子/松本清張の女たち
◆友近/友近道中
◆堀元 見/読むだけでグングン頭が良くなる下ネタ大全
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
【バラエティコラム】
〈わたしの相棒〉背筋
〈もういちど会いたい〉黒田未来雄
〈そのとき(わたしの)歴史が動いた〉九月
【好評連載小説】
伊吹有喜/灯(あか)りの島
◆川越宗一/満腔(まんこう)の熱血
桐野夏生/ダークネス
月村了衛/虚の伽藍
宮城谷昌光/公孫龍
諸田玲子/岩に牡丹
吉川トリコ/裸足でかけてくおかしな妻さん
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助
〈SF・ファンタジー〉北村浩子
〈ノンフィクション〉東えりか
第十一回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告


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「小説新潮」から生まれた本
己は人間のなりをした何ものか――人と獣の理屈なき命の応酬の果てには。
『ともぐい』河崎秋子/著
読者のこころの中のあたたかな記憶を呼び起こす、やさしさ満点エッセイ。
『思い出せない思い出たちが僕らを家族にしてくれる』スズキナオ/著
何にでもなれる気がした「あの頃」を綴った、Aマッソ加納、待望の最新エッセイ集!
『行儀は悪いが天気は良い』加納愛子/著
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