
R-18文学賞とは、応募者も選考委員も賞の運営も、すべて女性限定、才気あふれる女性作家を続々と輩出するユニークな文学賞です。今年も選考委員を賛嘆させる、有望な新星が誕生しました。「小説新潮」5月号は、R-18文学賞大特集、そして第17回受賞作を発表します。
夜空に泳ぐチョコレートグラミー
第15回大賞受賞
大きなみたらし団子にかぶりついたら、差し歯がとれた。しかも、二本。私の前歯は、保険適用外のセラミック差し歯なのだ。
[本書より →立ち読みへ]
1ミリの後悔もない、はずがない
第15回読者賞受賞
デビュー作には、小説家がそれまでの人生で感じてきた感情の堆積、顔も見えない読者に向かって伝えたい何か、呼び名すらつけられないけれど、文章を紡ぐのだ、という、噴出し続ける思い、そんなものが濃縮ジュースのように詰まっている。
[窪美澄/行け。勇んで。小さき者よ。 「波」2018年2月号より →全文へ]
主婦病
第12回読者賞受賞
一瞬だけ通いあった気持ち、触れた体温、だれかのなにげない一言や振る舞い。すぐに消え去り忘れられてしまうかもしれないそれらが、私たちを生かす。それが日常であり、ひとの心だ。
[三浦しをん/日常というきらめく星座 「波」2015年4月号より →全文へ]
縁を結うひと
第11回大賞受賞
福は在日の縁談を仕切る日本一の“お見合いおばさん”だ。斡旋料で稼ぐのに、なぜか生活は質素。日々必死に縁を繋ぐ理由とは。
甘いお菓子は食べません
第10回大賞受賞
なんという覚悟で著者は「甘い菓子をもう食べない」と言っているのだろうか。欲深さとそれを恥じる人間の業、その矛盾を受け入れて初めて女性は「女子」から脱することができるのかもしれない。
[山本文緒/脱・女子 「波」2014年4月号より →全文へ]
ふがいない僕は空を見た
第8回大賞受賞
この部屋にいるときは、素のおれでいることは許されず、あんずが用意したたくさんのコスプレ衣装をとっかえひっかえ着せられる。白塗りのメイクも。ときにはカラーコンタクトも。完全装備したおれを、あんずはいつもうるんだような目で見て、デジカメでたくさんの写真を撮った。
[本書より →立ち読みへ]