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波 2006年9月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2006/08/25

発売日 2006/08/25
JANコード 4910068230966
定価 105円(税込)

【インタビュー】『風の墓碑銘』刊行にあたって
乃南アサ『風の墓碑銘』
乃南アサ/滝沢人気に著者は関知しませんから

長谷川純子『はずれ姫』
小手鞠るい/あけてびっくり玉手箱

新堂冬樹『底なし沼』
西上心太/借りてはいけない

米澤穂信『ボトルネック』
石井千湖/“ホロ”が取れた“苦い小説”

都築響一『夜露死苦現代詩』
村上春樹/蒐集する目と、説得する言葉

ロン・マクラーティ『奇跡の自転車』
北上次郎/傑作は冒頭の数行でわかる

大槻ケンヂ『リンダリンダラバーソール』(新潮文庫)
大槻ケンヂ/筋肉少女帯再結成は文庫本販売のプロモなのか!?

【新潮クレスト・ブックス8周年記念特集】
座談会〈新潮クレスト・ブックス〉をめぐって
江國香織×豊崎由美×永江 朗/世界の書店にいま並んでいる本のよう

クレスト・ブックス
《書評再録 05年夏〜06年夏》

アンケート
《私の好きなクレスト・ブックス》

アンドレイ・クルコフ『大統領の最後の恋』(新潮クレスト・ブックス)
外岡秀俊/人生の三重奏のように

ヤスミン・クラウザー『サフラン・キッチン』(新潮クレスト・ブックス)
小池昌代/土の匂いのする沈黙に触れて

2006新潮クレスト・ブックス ベスト・セレクション

高橋ユキ・多岐川美伎・長谷川 零・加賀見はる子
『霞っ子クラブ―娘たちの裁判傍聴記―』
霞っ子クラブ/裁判って、こんなにステキなんです!

羽生善治・伊藤毅志・松原 仁『先を読む頭脳』
黒川博行/羽生善治はなぜ勝ち続けるのか

長谷川滋利『超一流じゃなくても「成功」できる』
井上一馬/ベースボールにおけるインテリジェンス

熊谷 徹『ドイツ病に学べ』(新潮選書)
飯田健作/ドイツは優しいのか?

坪内祐三『考える人』
津野海太郎/文学者の「考える」

山田吉彦『海賊の掟』(新潮新書)
山田吉彦/マラッカ海峡に生きる海賊

とんぼの本編集部通信
新潮文庫の海外エンタテインメント コラム

連載
大平 健/治療するとカワイクなります。 第2回
宮城谷昌光/古城の風景 第39回 見付端城
木田 元/反哲学入門 第4回
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 第18回
森 達也/東京番外地 最終回 府中市多磨町四丁目
日高敏隆/猫の目草-待つこと
佐野洋子/シズコさん 第9回
山本一力/研ぎ師太吉 第20回

●編集室だより ●新潮社の新刊案内

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、最新刊『夜露死苦現代詩』が、八月三十一日に刊行される都築響一氏。ヒップホップの歌詞、玉置宏氏の名話芸、寝たきり老人の呟き、暴走族の刺繍文字など、これまで正面から論じられることのなかった言葉の数々が、都築響一氏の手により、現在の日本を映し出す「詩」として甦りました。
 表紙を飾っている「点取占い」もそのひとつ。半世紀以上も前に作られ、いまでも駄菓子屋の軒先にぶら下がっているこの玩具をみたことのある方も多いでしょう。こうした不思議なパワーを秘めた言葉が本書ではいくつも紹介されています。
 本誌好評連載中の宮城谷昌光氏の「古城の風景」を一冊にまとめた『古城の風景 3 一向一揆の城』が刊行されました。好評の既刊『古城の風景 1 菅沼の城 奥平の城』、『古城の風景 2 松平の城』に続く、シリーズ第三作となります。今回は、三河一向一揆、歴戦の城址をめぐります。
 一国を支配するほどの強大な力を誇示し、織田信長をはじめ、戦国の武将たちを苦しめた一向一揆。だが、若き徳川家康は、一向宗徒と戦って、おどろくほどの短期間で勝利をおさめることに成功しました。家康は、いかにしてこの最大の危機を乗り切ったのでしょうか?
 ここでひとつおしらせを。「古城の風景」で訪ね歩いた故地を舞台に、宮城谷氏がはじめて日本戦国時代を描いた、「小説新潮」連載の長編歴史小説『風は山河より』(全五巻)の刊行が、十二月より開始されます。
 小説の舞台を著者自ら歩き巡った歴史紀行「古城の風景」。あらかじめこのシリーズを読んでおけば、この冬一番の話題作『風は山河より』が十倍、いや百倍面白く読めること請け合いです。
 第十八回日本ファンタジーノベル大賞の選考会が去る七月二十五日に開催され、大賞が仁木英之氏の「僕僕先生」に、優秀賞が堀川アサコ氏の「闇鏡」に決定しました。
 単行本はそれぞれ十一月に刊行される予定です。なお、選評など詳しい選考の結果は、現在発売中の「小説新潮」九月号を御覧ください。
 今月号で、森達也氏の「東京番外地」の連載は終了します。ご愛読ありがとうございました。単行本の刊行は十一月の予定です。しばらく、お待ちください。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。