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波 2006年10月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2006/09/25

発売日 2006/09/25
JANコード 4910068231062
定価 105円(税込)

【新連載】北原亞以子/父の戦地

三浦しをん『風が強く吹いている』
温水ゆかり/白の希望――誰かとつながる強さ
インタビュー[『四度目の氷河期』刊行記念]
荻原 浩『四度目の氷河期』
荻原 浩/少年の宿題、大人の忘れもの

柴崎友香『その街の今は』
伊藤たかみ/大阪の雑然とした色彩の群れの中に

保坂和志『小説の誕生』刊行記念特別対談
保坂和志『小説の誕生』
茂木健一郎×保坂和志/これは「小説論」か? 「小説」か?

有川 浩『レインツリーの国』
清成幸仁/コミュニケーションに限られた手段はない

姫野カオルコ『コルセット』
姫野カオルコ/裕福な憂鬱という試み

ポール・オースター『ティンブクトゥ』
小澤征良/生物学的に言えば、たまたま彼は……

池波正太郎・津本 陽・直木三十五・五味康祐・綱淵謙錠
『剣聖―乱世に生きた五人の兵法者―』(新潮文庫)
末國善己/剣豪小説は“時代小説の華”

酒井順子『都と京』
入江敦彦/危険なテーマパーク

伊藤洋一『カウンターから日本が見える―板前文化論の冒険―』(新潮新書)
伊藤洋一/カウンターが好き!

G・ガルシア=マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』
立川談四楼/カラッとスッとぼけて

林 壮一『マイノリティーの拳―世界チャンピオンの光と闇―』
後藤正治/青春の仕事

山本譲司『累犯障害者―獄の中の不条理―』
山本譲司/たくさんのクレームが欲しい

西成活裕『渋滞学』(新潮選書)
山根一眞/渋滞でイライラしなくなります

ひろさちや『お念仏とは何か』(新潮選書)
ひろさちや/「悪の自覚」を持てない現代人のために

はじめまして西原理恵子と申します。まんが家です。

小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞決定発表
新潮文庫の海外エンタテインメント
とんぼの本編集部通信
「考える人」-家族が大事 イスラームのふつうの暮らし コラム

連載
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 第19回
宮城谷昌光/古城の風景 第40回 横地城
佐野洋子/シズコさん 第10回
日高敏隆/猫の目草-やっとベトナムを訪れて
大平 健/治療するとカワイクなります。 第3回
木田 元/反哲学入門 第5回
山本一力/研ぎ師太吉 第21回

●編集室だより ●新潮社の新刊案内

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、今月号より連載「父の戦地」の始まった北原亞以子氏。原稿用紙の上に置かれてあるのは、北原氏のお父様が第二次世界大戦中、戦地のビルマ(現ミャンマー)から娘に宛てて送った絵入り葉書です。お父様は都内芝新橋に代々つづく家具職人の家に生まれ、戦局の激化とともに応召。妻のお腹には北原氏の弟になる子どもがいて、その姿を見ることなく、戦地へ送られます。漫画家か挿絵画家に憧れていたとあって、葉書に描かれた、現地の風俗や兵隊さんの日常、目にすることのできない娘の成長を想像した「絵」はどこかユーモラス。また、小学校入学前の娘でも読めるようにと文章はカタカナで、やさしく語りかけるように綴られています。娘宛ての絵入り葉書は八十五通あり、小さな洋菓子の缶に大切にしまわれていました。連載では、お父様の絵入り葉書も写真でご紹介してゆきます。
 また、北原亞以子氏原作のテレビドラマ『慶次郎縁側日記 3』が十月十二日より、NHKで始まります。原作同様、NHKドラマも好評を博し、一昨年、昨年につづいて3クール目。お待ちかねの単行本と文庫の最新作は十月、九月にそれぞれ刊行されます。新連載とともに、ご愛読くださいますようお願い申し上げます。
 第五回小林秀雄賞(主催・新潮文芸振興会)が荒川洋治氏『文芸時評という感想』(四月社刊)に、第五回新潮ドキュメント賞(主催・新潮文芸振興会)が佐藤優氏『自壊する帝国』(新潮社刊)に、それぞれ決定しました。
 小林秀雄賞は、選考対象を日本語によって行われた言語表現作品一般とし、自由な精神と柔軟な知性に基づいて新しい世界像を呈示した作品に授与され、新潮ドキュメント賞は、ジャーナリスティックな視点から現代社会と深く切り結び、その構成・表現において文学的にも良質と認められる作品一篇に授与されるものです。
 ヒマラヤの高峰・ギャチュンカンに挑んだ世界最強のクライマー・山野井夫妻を襲った雪崩による「一瞬の魔」。宙吊りになった妻の頭上で、生きて帰るために夫が迫られた、後戻りできない選択――。昨年九月に刊行された沢木耕太郎氏の十年ぶりの長編『』(新潮社刊)が、第二十八回講談社ノンフィクション賞を受賞しました。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。