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波 2007年2月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2007/01/25

発売日 2007/01/25
JANコード 4910068230270
定価 105円(税込)

平野啓一郎『あなたが、いなかった、あなた』
平野啓一郎/『あなたが、いなかった、あなた』刊行に寄せて

真保裕一『最愛』
児玉 清/人の心の底知れぬ闇に挑む

伊坂幸太郎『フィッシュストーリー』
羽田詩津子/周到な伊坂マジックの世界

柴田よしき『所轄刑事・麻生龍太郎』
藤田香織/「内輪ウケ」ではない、誠実な警察小説

榊 邦彦『100万分の1の恋人』(第2回新潮エンターテインメント新人賞受賞作)
吉田伸子/静かで力強いメッセージ

石田 千『ぽっぺん』
坂崎重盛/『ぽっぺん』讃句

柳 美里『8月の果て』〔上・下〕(新潮文庫)
柳 美里/祭と沈黙

猪塚恵美子『字がうまくなる―「字配り」のすすめ―』(新潮新書)
猪塚恵美子/手書きの効用

[『貧困の光景』刊行記念インタビュー]
曽野綾子/海外の貧困を知らない、日本人の不幸

吉田伸夫『宇宙に果てはあるか』(新潮選書)
池内 了/一筋縄でなかった宇宙論の歩み

みつとみ俊郎『41歳からのクラシック』(新潮選書)
萩谷由喜子/人生のゴールが見えた時、人は……

遠藤展子『父・藤沢周平との暮し』
藤田昌司/一人娘が、肉眼で間近にとらえた人間像

福田ますみ『でっちあげ―福岡「殺人教師」事件の真相―』
福田ますみ/クレーマー保護者の恐怖

「新潮45」編集部『凶悪―ある死刑囚の告発―』
宮本太一/「悪」と「悪」のはざ間で……

国分隼人『将軍様の鉄道―北朝鮮鉄道事情―』
原 武史/1号列車と御召列車

新雑誌「yom yom」を読む
松田哲夫/引き算のヒット

コラム
新潮文庫の海外エンタテインメント
とんぼの本編集部通信
「考える人」-子育ては大変ですか?

連載
花村萬月/百万遍 流転旋転 第2回
保阪正康/即位と崩御 第2回
赤川次郎/ドイツ、オーストリア旅物語 第23回
佐野洋子/シズコさん 第14回
安住洋子/日無坂 第2回
大平 健/治療するとカワイクなります。 第7回
宮城谷昌光/古城の風景 第44回 丸子城
日高敏隆/猫の目草-京都洛北のクマゼミたち
木田 元/反哲学入門 第9回
北原亞以子/父の戦地 第5回
山本一力/研ぎ師太吉 第25回

・編集室だより ・新潮社の新刊案内 ・編集長から ・カット:水上多摩江

編集長から

 今月の表紙の筆蹟は、今年一月二十六日に没後十年を迎えた藤沢周平さん。その藤沢さんの思い出を一人娘の遠藤展子さんが綴った『父・藤沢周平との暮し』がこのたび刊行されました。表紙に写っている本は、展子さんが社会人になって最初の誕生日に、藤沢さんがプレゼントした署名本です。その上下巻に書かれた筆蹟の画像を合成したものを掲載しています。
 展子さんは『父・藤沢周平との暮し』のなかで、このように書いています。
〈上巻の見返しには、いつもどおり「展子どの 周平」と書かれていたのですが、下巻を開くとそこには、
「自制心は成長の糧 周平」
 の文字がありました。
 この時、私は十九歳。高校を卒業して、社会に出た最初の誕生日でした。今までのように好き勝手にしていては世間を渡って行けないよ、父がそう言っているように感じました〉
 今年も新潮社の刊行物から、数多くの映画、テレビドラマが誕生します。
 ただいま放送中のテレビドラマは四作品。まずは、山崎豊子『華麗なる一族』(新潮文庫)。出演陣も、木村拓哉、鈴木京香、長谷川京子、北大路欣也といった華麗な顔ぶれです。そして、井上靖生誕一〇〇年記念のNHK大河ドラマ『風林火山』(単行本、新潮文庫)、松本清張『わるいやつら』(新潮文庫)。四作品目は、槇村君子『エラいところに嫁いでしまった!』(単行本)と、粒ぞろいのラインナップ。
 映画化作品も盛りだくさんです。この二十七日公開されるのが、桐野夏生『魂萌え!』(新潮文庫)。谷崎潤一郎「刺青」(新潮文庫・『刺青・秘密』)、夏目漱石「夢十夜」(新潮文庫『文鳥・夢十夜』)、サマセット・モーム『劇場』(新潮文庫)といった、文豪たちの名作も映画化されています。
 これから公開される映画化作品の一部は次の通り。本村洋、本村弥生『天国からのラブレター』(単行本、新潮文庫)、妻夫木聡主演の浅田次郎『憑神』(単行本)、国分太一主演の佐藤多佳子『しゃべれども しゃべれども』(新潮文庫)、大沢たかお、伊東美咲主演の飯島夏樹『天国で君に逢えたら』(単行本、新潮文庫)と、いずれおとらぬベストセラーの作品が勢ぞろいです。映像と原作、両方でお楽しみください。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。