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【向田邦子『完本 寺内貫太郎一家』刊行記念対談】

波 2013年8月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/07/27

発売日 2013/07/27
JANコード 4910068230836
定価 105円(税込)

安岡章太郎『文士の友情―吉行淳之介の事など―』
阿川弘之/安岡の文章

【向田邦子『完本 寺内貫太郎一家』刊行記念対談】
道尾秀介×烏兎沼佳代/向田邦子の小説家デビュー作、完結!?

畠中 恵『たぶんねこ』
ペリー荻野/祝『しゃばけ』1ダース記念 勝手に記者会見

【綿矢りさ『大地のゲーム』刊行記念インタビュー】
綿矢りさ/「世界の割れる音」を聞いた若者たち

北原亞以子『祭りの日―慶次郎縁側日記―』
米村圭伍/淋しい天女

知念実希人『ブラッドライン』
杉江松恋/家族の紐帯を描く医療ミステリー

[桜木紫乃『無垢の領域』刊行記念特集]
【インタビュー】桜木紫乃/人は、愚かでいいんだ
池上冬樹/さまよう男女の心を映し出す艶やかな秀作

山本一力『千両かんばん』
なぎら健壱/武市の看板が見たい!

【島田雅彦『ニッチを探して』刊行記念対談】
宮内悠介×島田雅彦/実体験に基づく21世紀東京版ユリシーズ

ポーラ・マクレイン『ヘミングウェイの妻』
鴻巣友季子/妻目線の『移動祝祭日』

岩合光昭『イタリアの猫』
平松洋子/猫たちとの幸せな契約

鈴木あやの『イルカと泳ぐ』
鈴木あやの/イルカと恋に落ちた

ジェレミー・ドノバン『TEDトーク 世界最高のプレゼン術』
茂木健一郎/TEDという「黒船」に対する傾向と対策

佐藤健太郎『炭素文明論―「元素の王者」が歴史を動かす―』(新潮選書)
村上陽一郎/人類と炭素の関わりを辿る楽しさ

春原 剛『暗闘 尖閣国有化』
神保 謙/日中相互不信のスパイラル

高橋由太『もののけ、ぞろり 東海道どろろん』(新潮文庫)
末國善己/“妖怪”ブームに沸く時代小説界の最強シリーズ

竹内一郎『やっぱり見た目が9割』(新潮新書)
竹内一郎/橋下市長の前髪

[山本周五郎と私]
冲方 丁/「信じる」ことの力

コラム
考える人─日本人と数学
とんぼの本をよむ
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】久間十義/デス・エンジェル 第1回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第41回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第5回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第25回
【短期集中連載エッセイ】海堂 尊/スチャラカ三都物語 第1回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第5回
石原千秋/漱石と日本の近代 第2回
吉田篤弘/ソラシド 第13回
鹿島田真希/少女のための秘密の聖書 第11回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第20回
江 弘毅/有次と庖丁 第9回
津村節子/時のなごり 第23回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は写真家の岩合光昭さん。新刊『イタリアの猫』は『ニッポンの猫』『地中海の猫』に続く猫のいる風景シリーズ第三弾の写真集で、「たとえ1日でもネコを見ない日があると不安になります」と言うほど愛猫家の岩合さんが、七年の歳月をかけてイタリア各地で撮影した約一〇〇枚の猫写真が収録されています。表紙に使わせていただいたのは中部のラツィオ州コッレルンゴという、丘の上にある小さな町で撮られた何とも愛らしい一枚ですが、風光明媚なイタリアの自然、街並、古代遺跡などを背景に時に我が物顔に闊歩し、時に無防備な姿をさらけ出し、時に人懐っこい目を向けてくる猫たちの姿は微笑みを誘い、心を存分に寛がせてくれます。ちなみにサインの下の猫の絵は、岩合さんがサイン会などでも描いて人気を博しているイラストをスタンプにしたものです。
◇本誌発売の直後になりますが、七月二十九日(月)午後七時から、新宿の紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店新宿本店四階)で、島田雅彦さんの講演会が行われます。作家デビュー三〇周年と新作『ニッチを探して』の刊行を記念して、日本の文壇の内情から昭和の作家との交流秘話、そして自らの創作の内幕までを余すところなく語っていただく予定です。全席指定で料金は千五百円、お問い合わせは紀伊國屋ホール(03-3354-0141)へお願いします。
◇本文の対談で『完本 寺内貫太郎一家』をご紹介しましたが、今年三十三回忌を迎える向田邦子さんの作品世界は、今なおいささかも色褪せることがありません。その向田さんの原点ともいうべき日常を、身の回りの愛用品、プライベート写真などで再現する「普段着の向田邦子」展が八月二十一日(水)~二十七日(火)まで、東京の八重洲ブックセンター本店で開催されます。二十四日(土)には、妹の向田和子さんと演出家・鴨下信一さんの対談(午後二時から)も予定されています。詳細はお店(03-3281-1811)にお尋ねください。
◇藤野可織さん「爪と目」が第一四九回芥川賞を受賞しました。来月号で特集を掲載する予定です。また、『ホテルローヤル』で直木賞を射止めた桜木紫乃さんの受賞後第一作『無垢の領域』は、六月号まで小誌連載の「モノトーン」を改題した作品です。お二人に心よりお祝い申し上げます。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。