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今月の表紙の筆蹟は、朝井リョウさん。

波 2021年4月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2021/03/27

発売日 2021/03/27
JANコード 4910068230416
定価 100円(税込)
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【筒井康隆掌篇小説館】
筒井康隆/羆
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第43回
【朝井リョウ『正欲』刊行記念特集】
『正欲』って、何? 読んでみないとわからない衝撃を語る!
西 加奈子/それでもなお、この言葉を
[特別エッセイ]朝井リョウ/『正欲』執筆日記 最終回
【帚木蓬生『沙林 偽りの王国』刊行記念特集】
帚木蓬生/オウム真理教犯罪の闇
縄田一男/おごそかな怒り
五木寛之『こころの散歩』
南陀楼綾繁/「時代の風」を感じるレーダー

青山文平『泳ぐ者』
川出正樹/なぜを見抜く者が帰ってきた!

周木 律『あしたの官僚』
周木 律/「あしたの官僚」たちの物語

岸本 惟『迷子の龍は夜明けを待ちわびる』
岸本 惟/会社員の私がストレスで小説家になった件

十市 社『亜シンメトリー』
長江俊和/一筋縄ではいかない「感情のミステリ」

芸術新潮編集部/編『謎解き 鳥獣戯画』(とんぼの本)
ナカムラクニオ/幻の「鳥獣戯画」を探して

川上和人『鳥類学は、あなたのお役に立てますか?』
養老孟司/役に立たない、わけではない。

大小田さくら子『やまとかたり―古事記をうたう―』
上野 誠/古典は語りのなかで蘇る

【山本芳久『世界は善に満ちている―トマス・アクィナス哲学講義―』(新潮選書)刊行記念】
[対談]山本芳久×若松英輔/「人生のソムリエ」になろう
【早見和真『あの夏の正解』刊行記念特集】
重松 清/最後の夏をなくし、〈新しい言葉〉を求めて。
宮下奈都/球児との対話の先に
[特別マンガ]矢部太郎/宝塚と僕 〜ふたたび〜
[酒で辿る青春記]バッキー井上/京都裏寺ハタチ前 ある回想
【私の好きな新潮文庫】
雪下まゆ/優しい不条理小説
 ヘッセ、高橋健二 訳『車輪の下
 フランツ・カフカ、高橋義孝 訳『変身
 アルトゥール・ショーペンハウアー、橋本文夫 訳『幸福について―人生論―
【今月の新潮文庫】
宮本 輝『野の春―流転の海 第九部―』
重里徹也/老若男女の織り成す壮大な人間模様 宮本輝「流転の海」全九冊について
【コラム】
青木節子『中国が宇宙を支配する日―宇宙安保の現代史―』(新潮新書)
青木節子/21世紀のスプートニク・ショック

[とんぼの本]
とんぼの本編集室だより

三枝昂之・小澤 實/掌のうた
【連載】
ジェーン・スー/マイ・フェア・ダディ! 介護未満の父に娘ができること 第7回
永田和宏/あなたと出会って、それから…… 第16回
南沢奈央 イラスト・黒田硫黄/今日も寄席に行きたくなって 第16回
内田 樹/カミュ論 第6回
二宮敦人/ぼくらは人間修行中 第5回
小松 貴/にっぽん怪虫記 第16回
川本三郎/荷風の昭和 第35回
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、朝井リョウさん。

◎宮藤官九郎さん脚本のドラマ「俺の家の話」が毎週の楽しみ(まだ最終回前)。能楽師人間国宝の父親(西田敏行)が倒れてプロレスラーの長男(長瀬智也)は家へ戻り、介護と相続と藝に向き合います。妻を喪い、子供三人と更に藝養子もいる強力な父は、息子と女性を張合ったりもします。これは『カラマーゾフの兄弟』に影響を受けている、という説がさる方のツイートから広がって、遂に宮藤さんが、『カラ兄』は読んでない、と週刊誌で告白する迄になりました。
◎僕が思っていたのは、「あ、『ゴッドファーザー』だ!」。子供は三男一女で、長女江口のりこさんはコニー級の迫力、ケアマネージャー荒川良々さんはトムなみに気を回し、西田さんはドンの如く弱り、長瀬さんはマイケルのように家業を継ごうとします(尤も『ゴッドファーザー』自体が『カラ兄』に似ているのは有名な話なのですが)。
◎そんな連想は、小林信彦さん『唐獅子株式会社』のせい。「藤山寛美はんが『ゴッドファーザー』を松竹新喜劇に焼き直せると言うてはったそうです」。老舗漬け物屋の主人が中気になる。長男も胸を病む。いよいよ倒産かという時、父に反発してきた次男が医大をやめて、「わてが、この親不孝者が、立派に店を継ぎまっせ!」。「どっと拍手でがな。寛美はん、頭よろしなあ」(略)「けど、どこが『ゴッドファーザー』なんや?」「漬け物屋の親父が主人公でっしゃろ? つまり、け親」。松竹新喜劇になるならドラマにだってなりそうでしょ?
◎この『唐獅子』連作シリーズも、大親分と不死身の哲、ダーク荒巻、原田の三人の乾分という組合せ。『ゴッド〜』や『唐獅子』なら宮藤さんも読んだ(観た)ことがあるかも。
▽次号の刊行は四月二十七日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。