【小説】
城北綺譚
――あるいは、「忘れな草」(新発見遺稿・146枚) 中村真一郎
明治・大正・昭和の三代を、官界と実業界で生きた謹厳な老
人が、死を目前にして小説家に託した回想録。そこには、禁
じられた恋に生涯を捧げたもう一つの意外な顔が綴られてい
た――著者六十年の文業の掉尾を飾る恋物語。
長びく生の黄昏の中で、わが仕事の蓄積について顧る
――『城北綺譚』作後贅言に代えて 中村真一郎
(解説・菅野昭正)
思うゆえに 林京子
“愛”の交換ノオト 岡田睦
虚空 村田喜代子
黄色軍艦(ちいるぐんかん)(200枚) 長堂英吉
琉球処分後の沖縄。かつての「父母」日清は開戦の火蓋を切り、
反日親支の清国党は王朝復興を願って黄色軍艦の到来を待った……。
【写真日記】
チクタク日が暮れて 唐十郎
【対談】
崇高にしておぞましき戦争 ドナルド・キーン
小田実
【新潮】
小さな森の戦場 加賀乙彦
静かな家族 筒井ともみ
ベースボールの恩寵 佐伯泰樹
【評論】
「天井桟敷」の人々
――30年前、同じ劇団にいた仲間達―― 萩原朔美
見張り塔から、ずっと (第四回) 福田和也
【本】
戦場の体験と美の体験 秋谷豊
(『私の戦旅歌とその周辺』伊藤桂一)
詩の生まれるところ 川本三郎
(『夜のある町で』荒川洋治)
夜の雪を踏む 陣野俊史
(『ブエノスアイレス午前零時』藤沢周)
「貧困」の語り方 今江祥智
(『アンジェラの灰』F・マコート著 土屋政雄訳)
3人はアイドル! 四方田犬彦
(『ブニュエル、ロルカ、ダリ――果てしなき謎』A・S・ビダル著 野谷文昭、
網野真木子訳)
【Books in my life】
身内の異性ということ 矢川澄子
【文芸時評】 山口昌男
【世界から】
答えのない質問 ホセ・イエロ
(叶沢敏子訳)
【新連載】
猫だましい 第一回 なぜ猫なのか 河合隼雄
【連載】
東大講義「人間の現在」(第十六回) 立花隆
漱石とその時代 第五部(十五) 江藤淳
仮装 第二十二回 田久保英夫
仁淀川 第十回 宮尾登美子
庭のつるばら 第十回 庄野潤三
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