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新潮  一一二六号 1998年11月特大号 平成十年  




【小説】



 ゴールドラッシュ (600枚一挙掲載)         柳美里



   狂暴と頽廃の熱に浮かされた欲望の租界・横浜黄金町。



   不可視の檻に囚われ闇を凝視しつづけてきた焦燥が



   臨界点を突破したその夜、豪奢な邸宅の地下室で、



   十四歳の少年は躊躇うことなく凶器を手に取った……。



   世紀末を赤く染める現代の「罪と罰」。











【第三十回新潮新人賞発表】



 (受賞作)底ぬけ                    青垣進



 (選評) 李恢成 別役実 福田和也







【追悼田村隆一】



 田村隆一追悼         那珂太郎



 田村さんの話術        山本道子



 星野君のシルエット      建畠晢







【評論】



 三人の「死顔」



 ――野間宏・中村真一郎・堀田善衞            小田実







 大名行列と艦砲



 ――吉村昭『生麦事件』を読む             野口武彦







【文芸時評】                      山口昌男







【第六回 萩原朔太郎賞受賞作発表】



 (受賞作)『烏有の人』                財部鳥子



 (選評)那珂太郎 清岡卓行 辻井喬 秋山駿 清水哲男







【本】



 内なる「私」(『啓太の選択』坂上弘)          笠原淳



 ホモ・エレクトリクス(『ライン』村上龍)        巽孝之



 物語による治癒



 (『狼と駈ける女たち』C・P・エステス)       井辻朱美



 視線の「異物」のコラージュ



 (『カフカ、映画に行く』ハンス・ツィシュラー)    稲川方人







【Books in my life】



 飜って考える人                     三木卓







【ロングインタヴュー】



 漂泊と認識     J・M・G・ル・クレジオ



     (聞き手・ジェラール・ド・コルタンズ 訳・望月芳郎)







【新潮】



 はるかな国で会った女性作家たち            加藤幸子



 釣り糸を垂れる                    青来有一



 奇妙な誤解                     小島千加子



 



【写真日記】



 薩摩焼四百年紀行                   立松和平







【世界から】



 創作という秘密        ウーヴェ・コルベ(園田みどり訳)







【連載】



 猫だましい 第二回 牡猫ムル             河合隼雄



 マチスに関する手紙12



 ――ピカソなど――                  遠山一行



 まだら文(ぶみ)(第十三回)



 ――夢二つ                     杉本秀太郎



 東大講義「人間の現在」(第十七回)           立花隆



 仮装 連載 第二十三回               田久保英夫



 仁淀川 連載 第十一回               宮尾登美子



 庭のつるばら 連載 第十一回             庄野潤三