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「新潮」4月号次号予告
           定価900円

父の肖像
 それまでとは作品世界を一新した「カブキの日」で三
島由紀夫賞に選ばれた小林恭二氏が、さらに大胆に変身
しました。受賞第一作は「父」四〇〇枚。一高・東大を
経て大企業の幹部になった父親を、戦中・戦後は磋趺の
連続で、晩年は緩慢な自殺に等しかったと断じる息子の
非情な眼差しは、確実に肉親の生のかなしみに届いてい
ます。われわれ戦後世代にとって、どこかしら歯がゆく
てならなかった父親像が、ここに見事に造形されました。
 ジャイアント馬場の訃報を、ファンの一人として悲し
く聞きました。鷺沢萠氏「烟る橋」二五〇枚は、友人か
らの恩義を心に留めるプロレスラーを描いた異色作。評
論の短期集中連載(全四回)は四方田犬彦氏「モロッコ
流謫」。何がかくまで激しく筆者をこの地に引きつけた
のか。まずは、第一章「蜃気楼の港」一〇〇枚に、ご注
目を。
 四月臨時増刊「宮本輝」は、本誌と同日の、氏の誕生
日に発売。
■年間講読料一〇八〇〇円(12冊 税・発送費込)