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一一三二号 1999年5月号 平成十一年  




【評伝】



東京駅と三色旗



――辰野金吾・辰野隆(ゆたか)父子(350枚) 出口裕弘



 日本近代建築の泰斗を父に持ち、小林秀雄、三好達治ら錚々たる



門下生を輩出した東大仏文科の名物教授、辰野隆。父子二代の生涯



を辿りつつ、日本にとってのフランスを問いなおす特別読物。



【小説】



雨のち雨?                  岩阪恵子







無限カノン       (120枚)     島田雅彦



『蝶々婦人』は反復される。日米の“あいだ”に生れた子の物語。







【新潮】



ローファント通りの狐             白石かずこ



忍び込む言葉、乗り移る記憶          丸川哲史



舞台「死の棘・1999」を終えて       中島陽典







【写真日記】



裏側の風景                  川上弘美











【評論】



蜘蛛の迷路――フェズ             四方田犬彦



〔短期集中連載「モロッコ流謫(るたく)」第二回〕







ブラームス・左手・ヴァリエーション      新保祐司







祖型の森から神話の変容へ



――『一月物語』を読む            饗庭孝男







【世界の文学】



定めがたい国境へ エベルト・ベニテス=ペソラノ(立花英裕訳)







【Books in my life】



メリメ全集中「グズラ」            塚本邦雄







【本】



人称性の間(あいだ)と間(ま)(『「私」』津島佑子)



小森陽一







「まだら」をとおして本質を(『まだら文』杉本秀太郎)



清水徹







魅惑の随筆(『つるつるの壺』町田康)



岩橋邦枝







作家冥利に尽きる謎本(『ジェイン・エアは幸せになれるか?』



J・サザーランド(青山誠子、朝日千尺、山口弘恵訳))



佐藤亜紀







難攻不落の画家達への肖像画の試み(『ピカソジャコメッティ



ベイコン』ミシェル・レリス 岡谷公二編訳)



樋口覚







【文芸時評】                 山内昌之







【連載完結】



見張り塔から、ずっと 第六回         福田和也







【連載】



「死の棘」日記 第五回            島尾敏雄



猫だましい 第七回 怪猫――鍋島猫騒動    河合隼雄



東大講義「人間の現在」(第二十二回)     立花隆



天の夜曲 第二回               宮本輝



仁淀川 第十六回               宮尾登美子



仮装 第二十八回               田久保英夫











江藤淳『漱石とその時代 第五部』は今月休載いたします。