「新潮」9月特大号予告
定価950円
8月7日発売
真実と幸福
巻頭の伊井直行氏「服部さんの幸福な日」五三〇枚は、
洋上で墜落した飛行機から奇跡的に生還し、一躍有名人
になった平凡な会社員が、自らの「幸運」に手ひどく翻
弄されるさまを、作者特有の奇妙で不可思議な味わいの
筆法で活写した野心作。その皮肉で、意表を衝いた漂流
譚は、「ロビンソン」や「白樺派」とは決定的に異なっ
ており、高度情報化社会の中で見失われ、あやふやにな
ってしまった人間の「真実と幸福」が、今日の時点で痛
烈に問い返されます。小説はほかに、村上春樹氏「地震
のあとで」の第二話「アイロンのある風景」と、川上弘
美氏「ルナリ・ルナリ」。
評論は小田実氏「責任と自由──書き砕くこととして
の戦後文学」一〇〇枚と、アニエス・ディソン氏「異貌
の(歴史)──現代フランス小説の一面」等。
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