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【第26回 山本周五郎賞 決定発表】〈受賞作〉『残穢』(抄)/小野不由美

小説新潮 2013年7月号

(毎月22日発売)

943円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2013/06/22

発売日 2013/06/22
JANコード 4910047010732
定価 943円(税込)

【第26回 山本周五郎賞 決定発表】

〈受賞作〉
『残穢』(抄)小野不由美
――選考会で「今まで読んだ小説の中で一番怖い」「手元に本を置いておくことすら怖い」とまで言われた、戦慄のドキュメンタリー・ホラー

〈受賞記念 特別寄稿〉
『残穢』――補遺
――「呼び声」「黒い手」「おれ、おれ」――増幅する怪異が襲い掛かる、三つの光景

〈選評〉

石田衣良/角田光代/佐々木 譲/白石一文/唯川 恵

〈歴代受賞作家 読み切り競演〉
◆宇月原晴明/風笑の居士
――今は昔、朱雀門に夜な夜な怪しい声が…。『六の宮の姫君』異聞

◆荻原 浩/顔も見たくないのに
――ふったバカ男が毎日のように目の前に現れる。もう勘弁してよ

◆垣根涼介/メイド・イン・ジャパン 君たちに明日はない PART5
――戦後の経済成長を支えてきた電機業界で、何の変化が起きたのか?

◆窪 美澄/真夏日の薄荷糖
――二人の女が頭の中で混じる。答えを出そうとしない俺は汚いのか

◆今野 敏/人事 隠蔽捜査外伝
――野間崎管理官の元に新たな上司が。第二方面本部は波乱の予感!

山本周五郎賞作家
【新連載】
◆乙川優三郎/イン・ザ・ムーンライト テン・ストーリーズ
――海辺の町を舞台に、毎月、宝石のような短編をお届けします!

◆原田マハ/暗幕のゲルニカ
――反戦のシンボル、ピカソの「ゲルニカ」を巡る壮大な物語が始まる

特集【納涼 夏の時代小説】
◆青山文平/約定
――相手が来ないまま叶わなかった果たし合い。裏には何が

◆梶 よう子/天神さまが寝てござる みとや・お瑛仕入帖
――落ちた看板、無理言うお客。不吉なものを感じるお瑛だが

◆西條奈加/泥つき大根 善人長屋
――お待たせしました! 帰ってきた長屋の面々、今回の難題は?

【連載第2回】
◆西村京太郎/生死の分水嶺・陸羽東線
――見覚えのない所持品と、男の影。マリアはなぜ山形で死んだのか?

【好評連載小説】
赤川次郎/月光の誘惑
安部龍太郎/冬を待つ城
飯嶋和一/星夜航行
石井光太/蛍の森
桐野夏生/抱く女
柴田よしき/持てないバケツV 名前のない古道具屋の夜
新城カズマ/島津戦記
仙川 環/マテリアル・ライフ
嶽本野ばら/傲慢な婚活
野中 柊/波止場にて
乃南アサ/水曜日の凱歌
早見和真/イノセント・デイズ
平岩弓枝/私家本 椿説弓張月
山本一力/べんけい飛脚
山本幸久 アシタ、デキル?

【連載エッセイ】
北村 薫/うた合わせ
柴門ふみ/大人恋愛塾
酒井順子/地震と独身
佐藤 優/落日の帝国 プラハの憂鬱
高山なおみ/今日もいち日、ぶじ日記
ペリー荻野/ちょんまげ ザ・バトル
宮城谷昌光/随想 春夏秋冬
山田詠美/時計じかけの熱血ポンちゃん

第一回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/編集後記

編集長から

長い怪談
 ホラーと怪談の違いは何だろうか。個人的には、卑近に感じる度合いの差、ではないかと思う。自分には直接関わりないと思えるか、自分にも降りかかってきそうな気配を感じるか。
 また、怪談は言葉で語られることが圧倒的に多い。人の口から語られる言葉は、文章とはまた違った印象で肌にまとわりついてくる。いわゆる実話系怪談が語り口調で書かれているのはそのためだろう。だから怪談というのは、一息で語れたり、一気に読み切れる長さが適しているジャンルなのかもしれない。
 今回「山本周五郎賞」を受賞した『残穢』は、受賞の言葉によれば、「長い怪談」を目指して書かれた作品である。長い怪談を成立させるのがどれだけ難しいかは、類書がほとんどないことからも明かだが、選考会で出た「本を手元に置いておくことすら怖い」という声は、この『残穢』の怪談としての成功と完成度を、何より示しているのではないだろうか。


小説新潮編集長 新井久幸

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

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 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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