目的と必要の世界に屈服させられたくはない。「居住」とはなにか。不可視のテリトリーを築き、支配なき共同の生を紡げ。(誌面のことば――栗原康「いまこの場を旅して住まう――痕跡のアナキズム」より)
yom yom vol.66 2021年2月号
(隔月1、3、5、7、9、11月第三金曜日発行)
発売日 | 2021/01/15 |
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JANコード | F80349 |
定価 | 770円(税込) |
◆NEW!
武田綾乃「君と漕ぐ4」[新章スタート] 画:おとないちあき
いよいよ舞奈の大会デビューの日が迫ってきた。大人気青春部活小説シリーズ、第4弾がスタート!
◆CLOSE UP
演芸写真家 橘蓮二セレクション
次世代の新星たち[連続企画第4回] 文・写真:橘 蓮二
三遊亭花金/入船亭遊京/桂 宮治
四半世紀にわたり噺家たちの写真を撮り続けた目で、これからの活躍が期待される若手をご紹介。
◆SERIES
朱野帰子「わたし、定時で帰ります。 ライジング」[最終回] 写真:plainpicture/アフロ
晃太郎からベイシックへの転職を切り出された結衣。社内政治にしか興味のない池辺のせいで、生活残業問題は暗礁に乗り上げてしまうが……。
燃え殻「これはただの夏」[最終回] 画:森 優 デザイン:熊谷菜生
「人生にひと夏でいい、本当はあってほしかった、ただの夏の思い出だった」――キミもボクもたくさんの嘘の結晶。
最果タヒ「森森花畑ぼく森森海/森森花畑ぼく森森海 雷雷雷」[第8回]
パーフェクト/さびれたお店/なりました/病気/そうだね
加藤千恵「手の中の未来」[第5回] 画:LIE
珍しく自分から「いいね」した男性は、顔がとてつもなく好みだった。緊張の初デートが始まる。
小佐野 彈「我とひとしき人しなければ」[第10回] 写真:Dan Osano
初めて一人で訪れたシンガポールには、極彩色の景色がひろがっていた。さっそく驟雨の洗礼を受けた「僕」は、運命の出会いを果たすことに――。
馳 星周「眠らぬ王 極夜・第二部」[第3回] 画:ケッソクヒデキ
台湾人愚連隊への襲撃を始めた、楊偉民。抗争は、思いもかけない方向に発展してゆく。
中江有里「愛するということは」[第7回] 画:椋本サトコ
大切な存在を失い続けた人生だった。けど、幸せも、不幸も長くは続かない。人は、忘れないと生きていかれない――。
早坂 吝「探偵AI3 四元館の殺人」[第3回] 画:吉田ヨシツギ
起きてしまった殺人。殺害状況を調べると、不審な点がいくつかあった。
橋本長道「覇王の譜」[第7回] 画:サイトウユウスケ
運命の歯車は、勢いを得て回りはじめていた。そして、直江大と、四冠・北神仁との関係にも変化が――。
◆COMIC
谷口菜津子「今夜すきやきだよ」[第8回]
恋愛はゲームみたいに「ステージをクリアして進む何か」でなく……。
磯谷友紀「ぬくとう君は主夫の人」[第7回]
自分が楽しく、相手も喜ぶ。そんな生き方を探す安藤君が選んだ仕事は家事代行サービス会社。今日はベテランの先輩から緊張の引き継ぎです。
長谷川純子「脳出血で倒れたひきこもりの弟が憎いのか愛しいのかわかりません!」[第3回]
お母さん、通帳見せて!! 本当はもう気づいていた。介護費用の問題は私が母親から逃げたままでは、どうにもならないということに。
◆CULTURE & COLUMN
新井見枝香×千早 茜「胃が合うふたり」[最終回 神保町編] 絵:はるな檸檬
想定外の友人と、想定外の逸品を。思い出の神保町で寿司の夜。書店員×作家、胃袋無尽蔵の食べ友エッセイ。
南 沙良「届かない手紙を書きたい」[第8回] 撮影:石田真澄
サメに食べられて死にたい――女優、モデル、18歳。南沙良が綴る等身大エッセイ。
荻上チキ「ポリアモリー・レポート 複数愛のリアル」[第2回]
ポリアモリーは「嫉妬」とどう向き合っているのか。克服するための「コンパージョン」とは何か。
北村紗衣「結婚というタフなビジネス」[第5回]
嵐が丘のクィア・ドリームズ
清田隆之「一般男性とよばれた男」[第6回] 画:unpis
対人関係が苦手だからエリート意識で身を守った。ずっと持て余してきた自意識となんとか折り合う方法を探すなか絶対無理な恋をした。恋バナ収集ユニット・桃山商事代表がインタビューして聞いてみる、
今 祥枝「海外エンタメ考 意識高いとかじゃなくて」[第13回]
実在の人物が登場するフィクションの意義を考える。
長井 短「友達なんて100人もいらない」[第7回] 撮影:亀島一徳
忘れていたのに手放せないがらくた。どうでもいいのに抜けられない人間関係。友達の数で自分に点数をつけるの、やめよう。
カレー沢 薫「モテる技術(仮)」[第23回]
モテ続けるために何が必要か。クライマックス直前の、モテ金言乱れ打ち回!
栗原 康「境界線に置くことば」[第16回]
いまこの場を旅して住まう――痕跡のアナキズム
円城 塔「世界のαに関するカルチャー時評」[第20回]
王様の耳はなぜロバであり、そうしてそれからどうなったのか?
渋谷直角「パルコにお店を出したくて」[第9回]
「渋谷直角ショップ」、本当にできちゃいました‼ 今号ではプレオープンまでの長く苛烈な道のりを……一気にplay back!
パリッコ「たそがれドリンカーズ」[第10回]
「選んでみせろ」「白黒つけろ」……そんな世の中に疲れた日、世話好きな常連さんの勧めるままに飲んでしまう。思いつき途中下車、ちょい飲み物語。今回の思いつきは鶴見。
新井久幸「午前一時のノスタルジア」[第21回]
ミステリの基礎をはじめから(ていねいに)
執筆者紹介/編集後記
「そして、僕たちは舞台に立っている。」、
「ドキュメント国連」(丸山ゴンザレス氏)、
「知のバトン 哲学者が考え、引き継いできたもの」(平原卓氏)は本号休載です
編集長から
「早ければ早いほど偉い」のか?
私たちは「早ければ早いほど偉い」ということを、一体どうして思い始めたのでしょう。念願のプロポーズを受け「あっち側」にやっと抜け出せると喜んだ途端、「ん? 抜ける? ってなにから?」と懐疑に襲われる谷口菜津子氏「今夜すきやきだよ」の愛子の姿。
「早ければ早いほど偉い」は、栗原康氏「いまこの場を旅して住う――痕跡のアナキズム」(「境界線に置くことば」)の表現を借りれば目的志向性に基づく「輸送」の言葉になるはずで、ヒトやモノを迅速に運ぶために設計された道路でダラダラすると取り締まられる社会の“都合”が、ここに垣間見えもします。今号の「誌面のことば」は、本記事から引用させていただきました。不可視のテリトリーを築き、支配なき共同の生を紡げ――。
「選んでみせろ」「白黒つけろ」というような圧もまた目的志向性の産物なのは間違いなく、それは生きていれば選んだり判断したりは逃れられないのであっても、「いま考え中である!」と宣言してみせる強さをどう持つか。
朱野帰子氏「わたし、定時で帰ります。ライジング」と燃え殻氏「これはただの夏」。「仕事の何たるかを分かっていない」と選考世代に叩かれても、モラトリアムだと唇に自嘲を浮かべながらも、粘り強く立ち止まる人の物語が最終回を迎えました。新井見枝香氏と千早茜氏のコラボレーション・エッセイ「胃が合うふたり」も最終回。互いを縛らず、離れて思う友のこと。いずれも書籍化を楽しみにお待ちください。
人気上昇中の武田綾乃氏「君と漕ぐ」は第4章がスタート。他に期待の若手噺家を写真とコラムでご紹介する連続企画「演芸写真家 橘蓮二セレクション 次世代の新星たち」(今号は三遊亭花金、入船亭遊京、桂宮治のお三方)など、盛りだくさんでお届けします。
「yom yom」編集長 西村博一
大好評連載中、磯谷友紀「ぬくとう君は主夫の人」第1話を無料公開!



















磯谷友紀「ぬくとう君は主夫の人」
次号予告
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雑誌から生まれた本
yom yomとは?

世界はこんなにも様々な可能性に満ちているから。
「yom yom」はそんな物語の囁きを、あなたがこっそり聞きに来る雑誌です。あなたと一緒に歩いてくれる、あなたのための物語が、見つかる場所になりたいのです。それでお気に入りを読み終えたら、「しょうがない。明日も生きていってやるさ」とでも思っていただければ幸せです。注目作家の小説も詩もコミックも……文芸の「イマココ」に必ず出会えるボリュームたっぷりの文芸誌です。