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あの焼きイモのようなゴロッとした生活の手ごたえに出会いたくて私はあちこちに出かけているのかもしれない(誌面のことば――スズキナオ「大きなイモのような手ごたえを探しに」より)

yom yom vol.61 2020年4月号

(隔月1、3、5、7、9、11月第三金曜日発行)

770円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2020/03/20

発売日 2020/03/20
JANコード F80339
定価 770円(税込)

◆NEW SERIES
清田隆之「一般男性とよばれた男」 画:unpis
「若いころバカやってて」は彼の本当の言葉なのか? どこにでもいる普通の男は案外よく分からない存在だ。恋バナ収集ユニット・桃山商事代表がインタビューして聞いてみる、マジョリティ社会的多数派たちの「なぜか口にできなかった自分語り」。

◆CLOSE UP
映画『もみの家』主演・南沙良インタビュー
16歳の季節を共に過ごした“彩花”が、「変わりたい」という思いを後押ししてくれた。撮影当時、主人公の“彩花”と同じ16歳だった女優・南沙良さん。若手実力派女優と名高い彼女が四季折々の撮影で感じたことを余すことなく語る――。

鈴木敏夫&養老孟司「生きてます!」[特別対談]
「鈴木さんとじっくりと話をしてみたいのに機会が今までなくて」という養老さんの一言から、「それなら」とシンプルな理由で始まったこの対談。場所は鎌倉、養老さんの自邸からほど近い、旧小林秀雄邸、通称「山の上の家」を一日借り受けた。

◆SERIES
最果タヒ「森森花畑ぼく森森海/森森花畑ぼく森森海 雷雷雷」[第3回]
両手/貝殻/春/緑か地軸/窓辺

青柳碧人「猫河原家の人びと3」[最終回] 画:MITO(監修:uki)
感動の花嫁スピーチタイム――のはずが、かおり姉が私にまさかのダメ出し。え、今ここでそれ言う?! まさかのアンハッピーウェディング! 牛の花嫁殺人事件。

武内 涼「阿修羅草紙」[最終回] 画:加藤木麻莉
瀕死の重傷を負った音無とともに畠山義就に捕らわれたすがる。音無と二人で生きる未来のために、最後の賭けに出る。

中江有里「愛するということは」[第2回] 画:椋本サトコ
――汐里っていいます。五歳です。ひとりで、育てています。彼女のあの言葉に、おれは何を望んでしまったのだろうか。

成田名璃子「ヤマワラウ」[第3回] 画:Miltata
新田家の蔵に案内された詩織は、芳乃の作品と邂逅を果たす。そして明らかになる、二人の縁――。

武田綾乃「君と漕ぐ3」[第2回] 画:おとないちあき
君とペアを組みたい――蘭子の申し出に戸惑う恵梨香。二人の初めての乗艇に、部員たちは息をのむ。

燃え殻「これはただの夏」[第5回] 画:森 優 デザイン:熊谷菜生
「親を選べない時点で、人って平等じゃないと思う」 がらんとした冷蔵庫の中を探りながら、明菜はひとりごとのようにつぶやいた。

小佐野 彈「我とひとしき人しなければ」[第5回] 写真:Dan Osano
お前が逃げたせいだ。お前の弱さが、ひとりの少女のうつくしい命を奪ったのだ――行き場をなくした「僕」を、夜の街と爆音が包み込む。

橋本長道「覇王の譜」[第4回] 画:サイトウユウスケ
剛力と訣別した直江は、天才少年・拓未とタッグを組むことにする。

小林勇貴「殺界団地」[第8回] 画:石川晃平
殺しても殺しても許さない。人生すなわち徹底抗戦。

馳 星周「極夜」[第7回] 画:ケッソクヒデキ
渋谷は、そして、戦場と化した。もう昔の自分には戻れない――。

門井慶喜「地中の星」[第14回] 画:山田ケンジ
浅草から上野を経て神田まで開業した東京地下鉄道。新橋への延伸を前にして、南西方向からライバル会社が現れた。

結城充考「アブソルート・コールド」[第9回] 画:與座 巧
ABIDが記録した来未の脳内神経細胞データを求め、コチは佐久間種苗社屋に侵入。オルロープ雫と対峙する――。

◆COMIC
磯谷友紀「ぬくとう君は主夫の人」[第3回]
専業主夫になりたいな――。就活まっただ中の安藤くんのひと言に、彼女が怒ってしまった理由とは?

谷口菜津子「今夜すきやきだよ」[第3回]
とりあえず私と結婚しようよ、理想の相手が見つかるまで。

◆WORLD TRENDS
一木けい「トレンドを、読む読む。」
弱音も涙もジェラシーも、オープン 解放感あふれるタイBLの世界。

◆CULTURE & COLUMN
新井見枝香×千早 茜「胃が合うふたり」[第5回 両国編] 絵:はるな檸檬
見る? 見ない? 両国で初の裸のつきあい。書店員×作家、胃袋無尽蔵の食べ友エッセイ。

南 沙良「届かない手紙を書きたい」[第3回]
私だけが知っている“女の子”のはなし――女優、モデル、17歳。南沙良が綴る等身大エッセイ。

サンキュータツオ「世界のαに関するカルチャー時評」
失った感覚と手に入れた感覚、私たちはいつだって諦めずに漸近線上。

長井 短「友達なんて100人もいらない」[第2回] 撮影:亀島一徳
さよなら! 太郎くん――対人関係への葛藤を抱いて止まない26歳・長井短、初めての連載エッセイ。

カレー沢 薫「モテる技術(仮)」[第18回]
前澤友作氏に学ぶ「モテ」――あの壮大なお見合いキャンペーンに学ぶ、「そもそもモテる人とは」考察編。

スズキナオ「午前一時のノスタルジア」
大きなイモのような手ごたえを探しに。

パリッコ「たそがれドリンカーズ」[第5回]
どう転がってゆくかわからないもの――思いつき途中下車、ちょい飲み物語。今回の思いつきは門前仲町。

朱野帰子「境界線に置くことば」
お仕事小説に国境はないのかもしれない。

今 祥枝「海外エンタメ考 意識高いとかじゃなくて」[第8回]
批評者の性別が、批評を左右してしまう可能性について考える。――ポリコレは娯楽を窮屈なものになんてしない。365日ドラマと映画を見ながら考える。

渋谷直角「パルコにお店を出したくて」[第7回]
〈お店作り〉編、今回話を訊くのは日本に雑貨文化を根付かせたパイオニアにして、伝説の雑貨店オーナー。実は直角ファミリーとも意外な繋がりがあるようで……。

平原 卓「知のバトン 哲学者が考え、引き継いできたもの」[第8回]
現代において、「事そのもの」は成り立つのか。そして、我々は多様性の叫ばれる世界でどう生きるべきなのか――。

執筆者紹介/編集後記

「そして、僕たちは舞台に立っている。」、
「多摩川異聞録」(恒川光太郎氏)は本号休載です

編集長から

“普通”に隠れた物語

「町を歩いて感じたこと」が誌面のどこかに流れていると楽しくて、最近のバックナンバーでも柳瀬博一さん「日本を創った道、国道16号線」や新納翔さん「東京デストロイ・マッピング」といった、ずいぶん贅沢な企画を実現していただきました。今号は休載ですが恒川光太郎さん「多摩川異聞録」、今号もしみじみ面白いパリッコさん「たそがれドリンカーズ」も、また然り。

 表紙「誌面のことば」は、「午前一時のノスタルジア」欄へのスズキナオさんのご寄稿より。近著『深夜高速バスに100回ぐらい乗ってわかったこと』が様々なメディアで紹介されているスズキさんですが、本稿ではこの本の取材体験も含め、これまで様々な機会に出会ってきた“生活の手ごたえ”が綴られます。たとえば笹塚のラーメン店「福寿」店主の言葉には、かつて高度経済成長期の人々が暗黙の共通理解のように持っていた価値観を、確かに感じることができるのです。

 一見どこにでもありそうな普通の風景の中に、固有の物語があることを私たちは忘れます。今号の鈴木敏夫さんと養老孟司さんの特別対談「生きてます!」の中で、養老さんは「デジタル社会では、51が『1』、49が『0』になって、51だけが『現実』で、反映されない49を考えなくなってしまう」と語っています。そうした時代ではなおさら、“普通”を捉える際の解像度を上げて、そこに隠れた物語を見つめる必要があるのでしょう。

 それはこの社会における「多数派(マジョリティ)と少数派(マイノリティ)」の問題を考え続けるためにも、必要な方法論だと考えます。新連載・清田隆之さんの「一般男性とよばれた男」は、マジョリティとして一括りになっている成人男性たちの、これまでなぜか口にできなかった自分語りをインタビューして行く企画です。そこには、ポリティカルコレクトネスの観点から見れば、首をかしげたくなるような言葉も含まれてくるかもしれません。でも、“普通のマジョリティ”とされる彼らが思い切って語る固有の胸の内を、しっかり受け止めながら進めたいと思います。

「yom yom」編集長 西村博一

次号予告

バックナンバー

雑誌から生まれた本

yom yomとは?

世界はこんなにも様々な可能性に満ちているから。

「yom yom」はそんな物語の囁きを、あなたがこっそり聞きに来る雑誌です。あなたと一緒に歩いてくれる、あなたのための物語が、見つかる場所になりたいのです。それでお気に入りを読み終えたら、「しょうがない。明日も生きていってやるさ」とでも思っていただければ幸せです。注目作家の小説も詩もコミックも……文芸の「イマココ」に必ず出会えるボリュームたっぷりの文芸誌です。

yom yom

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