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ポリアモリーをめぐる問いの全ては、モノアモリーをめぐる問いへと反転する。(誌面のことば――荻上チキ「ポリアモリー・レポート 複数愛のリアル」より)

yom yom vol.65 2020年12月号

(隔月1、3、5、7、9、11月第三金曜日発行)

770円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2020/11/20

発売日 2020/11/20
JANコード F803471
定価 770円(税込)

◆SPECIAL ARTICLE
【特別企画】没後50年 三島由紀夫の残照
ハリー杉山「僕と父と三島由紀夫」[インタビュー] 撮影:坪田充晃(新潮社写真部)
生前の三島に最も信頼された英国人ジャーナリスト、ヘンリー・スコット=ストークス氏(82)。氏を父に持ち、その作家の存在を誰よりも意識して育ったハリー杉山氏へ、没後50年の思いを尋ねたロングインタビュー。

酒井順子「制服人生」

三上 延「『文化防衛論』の射程――三島と天皇」

◆NEW!
荻上チキ「ポリアモリー・レポート 複数愛のリアル」
ポリアモリーとは何か。複数愛の実態を取材した、恋愛にまつわる規範を揺さぶるノンフィクション。

◆CLOSE UP
演芸写真家 橘蓮二セレクション
次世代の新星たち[連続企画第3回] 文・写真:橘 蓮二
橘家文吾春風亭㐂いち春風亭朝枝
四半世紀にわたり噺家たちの写真を撮り続けた目でこれからの活躍が期待される若手をご紹介。今回は注目の三人会。

そして、僕たちは舞台に立っている。[連続企画第9回] デザイン:椋本サトコ 写真:平野光良
俳優・中村誠治郎インタビュー
数多くの舞台、ミュージカルで華々しく活躍するキャストたち。彼らはなぜ、パフォーマンスという仕事を選び、邁進しているのか――。その胸のうちに秘めている真意に迫る。

◆SPECIAL STORY
千加野あい「ほたるのひかりを抱きよせて」
五歳の娘は、去年、夏祭りでとった金魚をかわいがる。私が風俗嬢であることを受け入れられず、彼が私の元を去った今も。

榎田ユウリ「死神と金平糖」 画:THORES柴本
死を自覚していない人を、速やかにあの世へ送る死神。その弟子となった「ナナ」の次なる仕事は……。大人気「死神」シリーズ特別編第2弾!

◆SERIES
最果タヒ「森森花畑ぼく森森海/森森花畑ぼく森森海 雷雷雷」[第7回]
真綿/星ちゃん/天国入り/線路計画/海底国道

朱野帰子「わたし、定時で帰ります。 ライジング」[第4回] 写真:plainpicture/アフロ
巧とのことを誤解され、結衣は晃太郎を怒らせてしまう。制作部長の池辺への提案もうまく行かず、追い詰められた結衣は――。

小佐野 彈「我とひとしき人しなければ」[第9回] 写真:Dan Osano
母へのカミングアウトを果たし、大きな壁を越えたはずなのに――。「御曹司」としての責任感に押しつぶされそうになった「僕」は、ひとり南国へ旅立つ。

加藤千恵「手の中の未来」[第4回] 画:LIE
初対面の彼の口からは、私の知らない固有名詞ばかりが流れてくる。「婚活中」の意味も、人によって違うのかもしれない。

早坂 吝「探偵AI3 四元館の殺人」[第2回] 画:吉田ヨシツギ
四元素で自家発電する怪しい館。以相はどんな犯罪を起こそうとしているのか。

馳 星周「眠らぬ王 極夜・第二部」[第2回] 画:ケッソクヒデキ
新興暴力団を率いる、野上修。台湾人愚連隊を操る、張栄健。貸しビル王にのし上がった、陳文龍。新宿の夜に、火花が散る――。

橋本長道「覇王の譜」[第6回] 画:サイトウユウスケ
運命の剛力英明戦 勢いに乗る旧友に直江は打ち勝つことができるのか。

中江有里「愛するということは」[第6回] 画:椋本サトコ
あんなに長い時間、一緒にいたのに、私はママのこと、何一つ知らなかった。知ろうとさえ、しなかった……。

燃え殻「これはただの夏」[第9回] 画:森 優 デザイン:熊谷菜生
「この祭りはもうすぐ終わってしまう。だって、こんなに楽しいんだから」――キミもボクもたくさんの嘘の結晶。

◆COMIC
谷口菜津子「今夜すきやきだよ」[第7回]
幸せ……なんだけど少しモヤる。この幸せは全部あいこちゃんのおかげだもの。

磯谷友紀「ぬくとう君は主夫の人」[第6回]
「主夫」だった元夫は、どうして出ていったのか……。大切な女友達の気まぐれについヤキモキしてしまうみお先生の反省。

長谷川純子「脳出血で倒れたひきこもりの弟が憎いのか愛しいのかわかりません!」[第2回]
入院費用が払えない! 弟が倒れた翌日には、もうお金の負担という現実の問題が押し寄せてきた。

◆NEWS COVERAGE
藤原辰史「空白の恐怖と地球の危機」[コロナ禍での思考]

丸山ゴンザレス「ドキュメント国連」[第3回]
そもそも国際公務員にはどうやってなるのか。試験はあるのか? 求められる能力、キャリアはなんなのか。わかりやすくお教えします。

◆CULTURE & COLUMN
新井見枝香×千早 茜「胃が合うふたり」[第9回 京都編] 絵:はるな檸檬
死ぬときに絶対食べたいのは〇〇! 「舌」を信じる友に、託すもの。書店員×作家、胃袋無尽蔵の食べ友エッセイ。

野口あや子「トレンドを、読む読む。」[第11回]
短歌ラリーでどこまでもゆけ!

北村紗衣「結婚というタフなビジネス」[集中連載第4回]
結局は結婚する、ただし条件付きで。

清田隆之「一般男性とよばれた男」[第5回] 画:unpis
「みんな」が欲しがる勝者のスペック全部盛り! オシャレ東大生の過去の挫折と今後の恋愛。恋バナ収集ユニット・桃山商事代表がインタビューして聞いてみる、マジョリティ社会的多数派たちの「なぜか口にできなかった自分語り」。

カレー沢 薫「モテる技術(仮)」[第22回]
誰にでも優しくクズにモテても意味がない。避けるべき「雑魚モテ」回避術!

南 沙良「届かない手紙を書きたい」[第7回] 撮影:石田真澄
わたしの18歳――女優、モデル、18歳。南沙良が綴る等身大エッセイ。

長井 短「友達なんて100人もいらない」[第6回] 撮影:亀島一徳
伝えきれないまま抱えていた悔しさを、やっと綴れた17年越しの作文。「同じクラスだから好きじゃないとダメですか?」

島田 彩「午前一時のノスタルジア」[第20回]
1000円札の使い方

鴻巣友季子「境界線に置くことば」[第15回]
今ここに迫る危機としてのディストピア〜アトウッド文学における解釈の転換

トミヤマユキコ「世界のαに関するカルチャー時評」[第19回]
為政者を「がんばっている」と許したり「なんだかかわいい」と喜んだり。

今 祥枝「海外エンタメ考 意識高いとかじゃなくて」[第12回]
トランプ政治が混乱を極めた時代にアメリカの政治ドラマが何を描くのか考える。

渋谷直角「パルコにお店を出したくて」[第8回]
テナント料、初期費用、人件費……。そして、新型コロナウイルスの感染拡大。まさに〈お店づくりプロジェクト〉絶体絶命。……って、そんな展開アリなの!?

パリッコ「たそがれドリンカーズ」[第9回]
東京の端の見晴らし台にふと立ち寄る。多摩川の向こう、暮れなずむ武蔵小杉にタワマンの木立が輝き出す。さあ、川を渡って光の中へ。光の麓の幸せの街へ。思いつき途中下車、ちょい飲み物語。今回の思いつきは新丸子。

恒川光太郎「多摩川異聞録」[最終回]
大菩薩峠の黙市、黒川金山の夢の跡、河口から始めた旅がもうすぐ終わる。“玉のように美しい川”の最奥は、そうか、鬼幻想を秘めていたのか……。

執筆者紹介/編集後記

「知のバトン 哲学者が考え、引き継いできたもの」(平原卓氏)は本号休載です

編集長から

会えない三島を追いかけて

 三島由紀夫は小柄な人なので、筋肉隆々となった後でも、体重はおそらく六〇キロ弱でしょう。その三島はベンチプレスで約一〇〇キロを上げたといいます。つまり自体重の一・七倍。アメフトや柔道の一流選手でも一・五倍を上げられる人は少ないので、三島の鍛錬は相当なガチと言えます。
 一体どんな切実さで自分の肉体に向き合ったのか。筋肉という外殻を強くして、溢れ出ようとする内なる矛盾に箍をかけたか。没後50年を迎える今号、特集企画「三島由紀夫の残照」を組みました。

 モデル、タレント、俳優として幅広い活躍を続けるハリー杉山さんは、「フィナンシャル・タイムズ」「ニューヨーク・タイムズ」などの東京支局長を歴任した英国人ジャーナリストのヘンリー・スコット=ストークスを父に持ちます。第二次世界大戦を知るヘンリー・スコット=ストークスから見れば、1960年代に訪れるまでの日本は「敵」、決してよい印象を持てる国ではなかったようです。ところが取材で出会った三島との交流をきっかけに、やがて日本人と結婚し家庭を構えるほどこの国を愛するようになります。

 後年、世界各国で読まれる三島の伝記『The Life and Death of Yukio Mishima』も記す父が、ハリー杉山さんに語った三島の第一印象は「小さくて顔色が悪いのに態度が大きい」。
 ですが、やがて白黒はっきりものをいう日本人らしからぬ日本人に深く魅せられ、外国人として唯一「楯の会」の自衛隊体験入隊訓練の取材なども行ないました。
 書斎には三島の手紙や写真が山のようにありながら、また「あと数年生きていたら三島さんも絶対にノーベル賞が獲れた」と悔しそうに語りながら、しかし、なぜか父は息子に三島の作品を読めとは言いませんでした。
 そんな近くて遠かった三島由紀夫に改めて向き合うと、見えてきたのは読む人の年齢や環境の変化に応じて次々と新しい表情を見せる三島作品の奥深さ。たとえばセクシュアルマイノリティをめぐるテーマと価値観を終戦直後の日本に問うた『仮面の告白』を、ハリー杉山さんは「とてつもなく進んでいて、三島さんの頭の中が恐ろしい」と語ります。

 会えない三島を追いかけて、そして三島の向こうに父の姿を追いかけて――ハリー杉山さんへのインタビュー「僕と父と三島由紀夫」は、昭和から令和に至る、ある父と息子の昭和から令和に至る物語の中から三島の素顔が現れます。同特集では、三島が生涯を通じて抱いたであろう「縛られて死ぬこと」への渇望に「制服好き」というエピソードからアプローチする酒井順子氏のロングエッセイ、特異な国体観を表現して議論を呼んだ『文化防衛論』を現代の視点から読み直す三上延氏の論考も掲載。

 荻上チキ氏の「ポリアモリー・レポート 複数愛のリアル」は今号から短期集中連載でお届けします。
「恋愛は1対1で行われるべきである」というモノ(単数)規範が自明視される社会で、複数愛(ポリアモリー)行為は「あってはならないもの」「異常なもの」「秩序を乱すもの」として忌避されてきました。またその当事者たちは、しばしば「人の心がわからない人間」であるかのように語られてきました。
 しかし荻上氏は、本記事で以下のように記しています。

そうしたポリーたちのルポルタージュは、ただ「マージナル(周縁的)なものの覗き見」で行えるようなものではない。当事者たちの生活描写を通じて、複数愛に一定の市民権を与えることを求めるものであることは間違いないが、だからと言ってそれを読む者、それを発行する社会に、傍観者という特権を許すわけではない。ポリアモリーをめぐる問いの全ては、モノアモリーをめぐる問いへと反転する。それはすなわち、「なぜこの社会は、そしてあなたは、モノ規範だけを自明視してきたのか」という問いに、人々を巻き込むことになる。

 今号の「誌面のことば」は、この一節から抜粋しました。

「yom yom」編集長 西村博一

次号予告

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世界はこんなにも様々な可能性に満ちているから。

「yom yom」はそんな物語の囁きを、あなたがこっそり聞きに来る雑誌です。あなたと一緒に歩いてくれる、あなたのための物語が、見つかる場所になりたいのです。それでお気に入りを読み終えたら、「しょうがない。明日も生きていってやるさ」とでも思っていただければ幸せです。注目作家の小説も詩もコミックも……文芸の「イマココ」に必ず出会えるボリュームたっぷりの文芸誌です。

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