![]() | 24:00 上野広小路駅 |
「ふざけんなよな、このお」 綾佳は、ホームに誰もいないのをいいことに、また口に出して言った。
電話かけて訊いてんだから、部屋の番号ぐらい教えて上げなさいよね。やな女だなー。嫌われるよ、そういうことしてると。
得だよな、美人だとさ。それだけで、オッケーだもんね。男ってのはバカだから、美人の前に出ると、もう、パッパラパーになっちゃうしさ。
って、そういう問題じゃないか。
何号室なのでしょう? なんて、どこをどうやってひねくり回すと、部屋の番号、現われんの? えーと、とそれでも綾佳は、ワープロの文字を数えはじめた。 ジュディの案内状は、署名まで含めると、全部で7行。文字数は、句読点まで含めて107字だった。
107号室?
違うよなあ。そんなのが答えだったら、ぶんなぐるぞ、あのパズ研。 「なんなのよー」
口に出して言ったとき、横で「は?」という声がして、綾佳はびっくりして左のほうへ目をやった。
いっけない……いつから、いたんだ? あのオヤジ。
それにしても……と、綾佳は頭をレベル2の問題に戻した。 「…………」
ふと、綾佳は問題を見返した。
案内状の行の頭の音だけを拾ってみる。
綾佳は、眼を瞬いた。 |
![]() | くたびれた感じの オヤジ |