なに、あのオヤジ……。
綾佳は、問題に目を戻しながら眉をひそめた。
ジトーッと見つめたりして、気持ち悪い。この時間に帰ると、ああいうのがいるからなあ。
なんとかしてほしいよ、ああいうオヤジ。
ひっくり返すのだとすれば、なにをひっくり返せばいいのか?
もちろん……と、綾佳は問題の一行を指先で弾いた。
ここに書いてある。
「フライパンの油」だ。それしかない。
いやいや、と綾佳は首を振った。
こんなもの、まともにひっくり返したって、それこそカーペットを汚しちゃうだけのことだ。
これは、暗号。
だから、ひっくり返すのは、そのものではなくて【油】という文字自体だ。
これをひっくり返すと……どうなるだろう?
【油】をひっくり返して【甲三】?
まあ、甲は甲乙丙丁だとすると「1」と考えることもできる。
では、答えは「13号室」?
なにか、ピンとこない。
考え方はあっていると思うのだが、こんな答えじゃないはずだ。
綾佳は、もう一度問題を見返した。
そして、ああそうか、とうなずいた。
この案内状の送り主はジュディだ。日本にやってきて5年だと書いてある。
そう、英語にすべきだったのだ。
綾佳は、ニヤリと笑った。
こいつをひっくり返してみよう。
それが答えだ。
710号室!
ウッシッシ……と、綾佳は首を振った。
どうだ、パズ研。
ちょろい、ちょろい。
なにがレベル2よ。程度、低いんじゃないの?
勢いづいて、綾佳は、いよいよ第3問目――レベル3の問題に目をやった。
下記の2つのグループを組み合わせて、暗号を解読して下さい。
第一グループ
やはねひなこんさ ・ゑろをやゆうぎ
やりらびとやいぎ らすじあののしう
しうののううむつ ・しやきはやのを
ひ・こいのじじや よしあかりはじす
第2グループ
34,73,4,10,164,1,36,144 |
なんじゃ、こりゃあ?
綾佳は、眼を瞬いた。
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