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 24:02 上野広小路駅
 落合綾佳
(おちあい あやか)


     なに、あのオヤジ……。

 綾佳は、問題に目を戻しながら眉をひそめた。
 ジトーッと見つめたりして、気持ち悪い。この時間に帰ると、ああいうのがいるからなあ。
 なんとかしてほしいよ、ああいうオヤジ。

 ひっくり返すのだとすれば、なにをひっくり返せばいいのか?

 もちろん……と、綾佳は問題の一行を指先で弾いた。
 ここに書いてある。
「フライパンの油」だ。それしかない。

 いやいや、と綾佳は首を振った。
 こんなもの、まともにひっくり返したって、それこそカーペットを汚しちゃうだけのことだ。
 これは、暗号。
 だから、ひっくり返すのは、そのものではなくて【油】という文字自体だ。

 これをひっくり返すと……どうなるだろう?
【油】をひっくり返して【甲三】?

 まあ、甲は甲乙丙丁だとすると「1」と考えることもできる。
 では、答えは「13号室」?

 なにか、ピンとこない。
 考え方はあっていると思うのだが、こんな答えじゃないはずだ。

 綾佳は、もう一度問題を見返した。
 そして、ああそうか、とうなずいた。
 この案内状の送り主はジュディだ。日本にやってきて5年だと書いてある。
 そう、英語にすべきだったのだ。

 綾佳は、ニヤリと笑った。
 こいつをひっくり返してみよう。
 それが答えだ。

 710号室!

 ウッシッシ……と、綾佳は首を振った。
 どうだ、パズ研。
 ちょろい、ちょろい。
 なにがレベル2よ。程度、低いんじゃないの?

 勢いづいて、綾佳は、いよいよ第3問目――レベル3の問題に目をやった。


 下記の2つのグループを組み合わせて、暗号を解読して下さい。



  第一グループ



   やはねひなこんさ ・ゑろをやゆうぎ

   やりらびとやいぎ らすじあののしう

   しうののううむつ ・しやきはやのを

   ひ・こいのじじや よしあかりはじす



  第2グループ



   34,73,4,10,164,1,36,144

 なんじゃ、こりゃあ?
 綾佳は、眼を瞬いた。


    オヤジ

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