少女マンガの伝説的な名作の数々が生まれた一九七〇年代。中でも異彩を放っていたのが美術品を狙う泥棒貴族を主人公とする「エロイカより愛をこめて」でした。異彩というか、レーベルはさておき、作品そのものは果たして少女マンガなのかどうか。
 
芸術新潮
2023年8月号(定価1,500円)7月25日発売
芸術新潮メールマガジン[2023/07/25] うまく表示されない場合はブラウザでご覧ください
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編集長から
永遠の「エロイカ」
青池保子を深読みする
 少女マンガの伝説的な名作の数々が生まれた一九七〇年代。中でも異彩を放っていたのが美術品を狙う泥棒貴族を主人公とする「エロイカより愛をこめて」でした。異彩というか、レーベルはさておき、作品そのものは果たして少女マンガなのかどうか。なにしろ既刊三十九巻を通じて男女のラブロマンスは皆無、長身・巨体の英独ソ(時々、米仏伊も)のおっさんたちがヨーロッパ(時々、中東も)を股にかけてばたばたと走り回る、スパイ・アクション・コメディなのですから。特集「青池保子 騒がしき男たちとマンガの冒険」では、名作「エロイカ」をアートの視点で再読。続く中世三部作と併せて深読みします。美麗な作画と精緻なプロット、強烈な登場人物キャラクターたちが織り成す唯一無二の青池ワールドをお楽しみください。
 アート・ニューズでは、小誌に連載された評伝の単行本化が近い夭折の画家・中園孔二にフォーカス。開催中の大規模個展を、四国丸亀からレポートします。 
芸術新潮編集長 高山れおな
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編集部から
最新号PICK UP
7月14日金曜日、「漫画家生活60周年記念 青池保子展 Contrail 航跡のかがやき」の内覧会@神戸市立小磯記念美術館にお邪魔してきました。この日の気温は約30℃でしたが、いやそんなはずはない。アツい。この展示はものすごく熱い。

錚々たる作品群のカラー&モノクロ原画に加え、当時の掲載誌や下絵、取材メモや資料写真など、300点以上が並ぶ会場は、まさに圧巻。青池先生の高度な画力と、西欧の歴史・文化に対する深い造詣がひしひしと伝わってきます。担当の金井紀子学芸員をはじめとするスタッフの皆さんの情熱が迸る展観となっていました。[→]全文を読む
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●目 次


【特集】青池保子
騒がしき男たちとマンガの冒険




〔第1部〕エロイカ篇

胸いっぱいの愛を、美しきものに捧ぐ

美術品泥棒と堅物少佐のハードボイルド・ワンダーランド
「エロイカより愛をこめて」

全員クセ強! 「エロイカ」キャラクター名鑑

  • 至福の「エロイカ」妄想美術館
  • 絵画室 有名無名にこだわりなし。狙った作品は逃さない
  • 彫刻室 彫像たちは誘惑する
  • 工芸室 華麗なる職人技に食指が動く

「エロイカ」アート・マップ

深読み青池ワールド(1)
“左向きのヨハネ”は何を語る?
文 浅野和生



〔第2部〕中世3部作篇

  • 円熟のわざで紡ぐ、歴史悲劇と捕物帳
  • 残酷王(エル・クルエル)と呼ばれた若者の愛と戦争の一代記
    アルカサル―王城―
  • 悩める剣豪修道士と修道院の愉快な仲間たち
    修道士ファルコ
  • 目じるしは赤マント まじめ役人の地道な推理劇
    ケルン市警オド

深読み青池ワールド(2)
青池作品にみる中世モード事情
文 伊藤亜紀

Interview
「エロイカ」そして、
中世3部作の創りかた

創る愉しさ、描く悦び
青池保子ヒストリー



〔第3部〕創作のヒミツ篇
秘蔵のスケッチ拝見!
構成+文 図書の家

展覧会案内



◆ Art News exhibition ◆

中園孔二が描きつづけた
色とりどりの景色、その彼方へ

人と交わり、人を描いた
津和野の絵師 山本きんこく

小児病棟に描かれた、
キース・ヘリングの壁画を日本初公開!

◆ Review ◆

  • 蔡國強
  • ZEN
  • 木島櫻谷
  • 松元悠「出来事との距離―描かれたニュース・戦争・日常」展より



◆ Regular Features ◆

◇ 巻頭 ◇

国宝クラス仏をさがせ!〈32〉
最御崎寺 如意輪観音像

Goods & Shop

時と光の美術館〈76〉
ピアジェ

◇ 連載 ◇

定形外郵便〈109〉
文 堀江敏幸

国宝クラス仏をさがせ!
解説篇〈32〉
選・解説 瀬谷貴之

山下裕二の
新・今月の隠し球〈19〉
藤森 哲(上)

大人のための印象派講座〈22〉
印象派はどのように研究されてきたのか
文 三浦 篤

中野京子
名画に見る悪の系譜〈14〉
悪を踏む

新連載 千住博の知となり肉となり〈1〉
豪雨とコロッケパン

幻々夢譚〈8〉
絵・文 と金

福井江太郎の
駝鳥がゆく!!〈5〉
中村ゆり さん

千 宗屋の飲みたい茶碗、点てたい茶碗〈103〉

◇ PICK UP ◇

movie 北村紗衣
book 諏訪 敦
recommend 編集部のおすすめ!
ぐるぐるキョロキョロ展覧会記〈37〉小田原のどか
exhibition 全国展覧会情報

次号予告

▼芸術新潮特別企画

時と光の美術館SPECIAL〈11〉
パテック フィリップ
技と美を追い続けて――

NFTアートカレッジ〈5〉Adam by GMO
NFTアートでどっぷり浸る
オニコロシ描く
リアルファンタジー

コンテンポラリーの
巨匠×伊ワインは
シンプルでエレガント

ART CAFE SPECIAL
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〉「芸術新潮」最新号 試し読み

芸術新潮 チケットプレゼント
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【1】「漫画家生活60周年記念 青池保子展 Contrail 航跡のかがやき」(兵庫)
美術品泥棒エロイカことグローリア伯爵とNATO情報将校エーベルバッハ少佐が世界を股にかけて活躍するスパイ・アクション・コメディ「エロイカより愛をこめて」、イベリア半島統一を目指したドン・ペドロ王の生涯をたどる「アルカサル―王城―」などの大ヒット作を生み出し、少女マンガに新たな地平を拓いたマンガ家・青池保子の、画業60周年を記念した原画展が開催されています。[→]全文を読む
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【2】「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」
イヴ・サンローランは、クリスチャン・ディオールの急死を受け、弱冠21歳で後継者として鮮烈なデビューを果たしました。1962年には自身のブランド「イヴ・サンローラン」を発表し、2002年に引退するまでサファリ・ルックやパンツスーツ、ピーコート、トレンチコートといった、紳士服から着想を得たアイテムを定着させるなど、女性の革新的なスタイルを提案しました。[→]全文を読む
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《とんぼの本》

マンガ&イラストを
丸ごと解剖する
初の単行本!
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『This is 江口寿史!!』
江口寿史/著、芸術新潮編集部/編
大友克洋とのビッグ対談「マンガ」と「絵」を語る
彼の生み出すギャグはポップ&クール! 彼の描く女の子はとびきりキュート! 衝撃の“白いワニ”の伝説あり、ほぼ神業!?のライブスケッチあり、江口寿史の世界をこの一冊に凝縮。単行本未収録のマンガ「パパリンコ物語」第1~3話の掲載も超貴重!
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