新潮社

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担当編集者より
読者のみなさまへ

 宿野かほる氏による前作『ルビンの壺が割れた』の刊行に際しては、たくさんのご協力をいただき、ありがとうございました。「すごすぎてキャッチコピーがつけられない!」という編集者にあるまじきSOSに対し、時に厳しく、時に温かい叱咤激励の言葉とともに、多くの素晴らしいコピーをお寄せいただき、大変感謝しております。

 さて、今、私の手元には、宿野氏の二作目『はるか』の完成原稿があります。
 前作より、さらに進化した作品であると胸を張って言えます。
 今度こそ、編集者の責任として、この作品にふさわしいキャッチコピーをつけるべく、社内のベテランからもアドバイスをもらいながら、たくさんの候補を考えました。

 そんなときです。近頃、「キャッチコピーAI」なるものが存在し、ディープラーニングによって著しい進化を遂げていると知ったのは。
 早速そのコピーを見せてもらったところ、驚きました。意外な言葉の組み合わせで「なるほど!」と思わせるコピーを瞬時にいくつも生み出し、しかも人間のつくったコピーと優劣つけがたく思えたからです。
 同時に、焦りました。もしかして、人間の書いたコピーより、AIのコピーのほうが素晴らしい? ――いや、そんな馬鹿な!
 私たちは日々、多くの小説に、心を揺り動かされています。だからこそ、人に訴えかける言葉には、ルールや規則を超えた“感情”が乗っているはずだと信じています。
 感情のないAIに、人間の言葉が負けるでしょうか。

 ここに、編集者の考えたコピーと、AIが考えたコピーを並べます。
 どちらがAIの考えたコピーかを、みなさんに見破っていただきたいです。

 これは編集者とAIの対決を超え、人間と機械の対決といえるかもしれません。
 機械は、人間を超えるのでしょうか?
 私と同じ人間の皆様、どうか見破って、まだまだ人間は機械に負けないと、証明させてください。

担当編集者拝

『はるか』宿野かほる
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