◎小山田浩子氏、又吉直樹氏と新しい選考委員が加わった第52回新潮新人賞は、3時間に及ぶ激論の末、ダブル受賞となった。◎2042通の応募作の頂点に選ばれたのは、小池水音氏の「わからないままで」と、濱道拓氏の「追いつかれた者たち」。◎第19回小林秀雄賞、第28回萩原朔太郎賞、そしてコロナ禍で延期となっていた第33回三島由紀夫賞も同時に発表する。
 
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2020年11月号(特別定価1300円)10月7日発売
新潮メールマガジン[2020/10/06] うまく表示されない場合はブラウザでご覧ください
編集部から
新潮新人賞、三島賞など四賞同時発表

小山田浩子氏、又吉直樹氏と新しい選考委員が加わった第52回新潮新人賞は、3時間に及ぶ激論の末、ダブル受賞となった。
◎2042通の応募作の頂点に選ばれたのは、小池水音氏の「わからないままで」と、濱道拓氏の「追いつかれた者たち」。「わからないままで」は父と息子の関係を軸に、家族の肖像を浮き彫りにし、人生を独自の距離からスケッチする。「追いつかれた者たち」は、20世紀の終盤に少年ら数人が焼け死んだ失火事件の「真相」をドストエフスキーフォークナーを思わせる筆致で描く。
第19回小林秀雄賞、第28回萩原朔太郎賞、そしてコロナ禍で延期となっていた第33回三島由紀夫賞も同時に発表する。賞の発表自体は点のようなものだが、数年後に受賞作を線のように繋いで振り返ると、ここで流れが変わったのかという転換点が見えてくる。受賞者の飛躍への期待を含め、数年後にターニングポイントとなる予感を感じる一冊となった。

副編集長・松村正樹
新潮2020年11月号表紙
目次

【第52回】新潮新人賞発表
◆【受賞作】わからないままで[一三〇枚]/小池水音
幸福な親子の時間。消えゆく命の灯火。多視点で鮮やかに描かれる、名もなき家族の肖像。
〈インタビュー〉別れをいかに表現しうるか

◆【受賞作】追いつかれた者たち[二二〇枚]/濱道 拓
凄惨な監禁・失火事件を再現する濃密な語り。人間の闇を精緻に映し出す新たな眼が開いた。
〈インタビュー〉4年ほど前に見た夢が始まりでした

【選評】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
ミチノオク 第三回 飛島佐伯一麦
めぐりあい瀬戸内寂聴
詩人ちゃん・キル・ミー(六)/最果タヒ
プリニウス(七十二)/ヤマザキマリとり・みき
■■ 連載小説 ■■
聖都創造(四)/天童荒太
天使も踏むを畏れるところ(五)/松家仁之
曼陀羅華X 2004(九)/古川日出男
全然(十五)/滝口悠生
漂流(十七)/町田 康
ヒロヒト(二十四)/高橋源一郎
ビッグ・スヌーズ(三十二)/矢作俊彦
荒れ野にて(五十六)/重松 清
■■ 新潮 ■■
「絵のゆくえ」のゆくえ佐藤直樹
暗号を語る標本――回遊型展示の可能性松井 周
第33回 三島由紀夫賞発表
【受賞作】かか(一部掲載)/最年少受賞! 宇佐見りん
【選評】川上未映子/高橋源一郎/多和田葉子/中村文則/松家仁之
第28回 萩原朔太郎賞発表
【受賞作】雨をよぶ灯台(一部掲載)/マーサ・ナカムラ
【選評】佐々木幹郎/建畠 晢/松浦寿輝/三浦雅士/吉増剛造
第19回 小林秀雄賞発表
【受賞作】心を病んだらいけないの?――うつ病社会の処方箋(一部掲載)/斎藤 環 與那覇潤
【選評】片山杜秀/國分功一郎/関川夏央/堀江敏幸/養老孟司
令和元年のテロリズム[連載完結]/磯部 涼
第五回 令和元年から考える
大楽必易――わたくしの伊福部昭伝(二)/片山杜秀
コロナの認識論(五)/養老孟司
あの頃何してた?(五)/綿矢りさ
【リレーコラム】Passage――街の気分と思考(16)
王立病院の闇多和田葉子
方向がわからない人の地図の見方朝吹真理子
OH MY GOD/エリイ(Chim↑Pom)
第十四回・蜉蝣
小津安二郎(四)/平山周吉
保田與重郎の文学(二十五)/前田英樹
小林秀雄(六十九)/大澤信亮
地上に星座をつくる石川直樹
第九十回・ぼくの先生
■ 本 ■■
◆会田 誠『げいさい』/卯城竜太
◆桐野夏生『日没』/仲俣暁生
◆温 又柔『魯肉飯のさえずり』/ミヤギフトシ
第53回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹


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バイデンが逃げ切るのか、それともトランプが巻き返すのか。
11月3日に控えたアメリカ大統領選は、前回選挙と同じく、最後の最後まで読み切れない様相を呈してきました。
前回の選挙で、専門家の大方の予想を覆しトランプが勝利した背景には、北東部の「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」の存在がありました。「貧困格差は移民のせいだ」「だから壁を作る!」というトランプの叫びが、ラストベルトの人々に突き刺さり、泡沫候補だったはずのトランプを大統領にまで押し上げたのです。 [詳細はこちら →]
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この30年、文学の現場では何が起こっていたのか? 俊英による歴史の更新!
『らせん状想像力―平成デモクラシー文学論―』福嶋亮大/著
象にも牛にも似たそれは、人をからかうのが大好きで――人生の岸辺を描く小説集。
『象牛』石井遊佳/著
自分が何処の何者であるかは、先祖たちに起こった厄災を我身内に負うことではないのか。
『われもまた天に』古井由吉/著
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