新潮社

セカイの底を
覗いてみたくないか?

孤高の物語作家が放つ、中毒不可避の悪魔的絶品集。

セカイの底を、
覗いて
みたくないか?

孤高の物語作家が放つ、
中毒不可避の悪魔的絶品集。

「食書」

男はとある便所で、女と遭遇する。女は本を貪り食っていた。「一枚食べたら、もう引きかえせないからね……」女の言葉に導かれるように、家の蔵書をにした男が視る光景とは――。現実と狂気の狭間で紡がれる言葉ロゴスの連打に酩酊必至!

「耳もぐり」

失踪した恋人の行方を追い、彼女が住むアパートを訪れた「私」。そこで隣人を名乗る男と遭遇し、奇妙な話の数々を聞かされる。男が目撃した秘技・もぐりとは、一体何なのか。彼女はどこへ消えたのか……。やがて明かされる真実に驚愕必至!

「喪色記」

視線への苦手意識を抱え、人生の底に這いつくばるようにしてひっそりと生きていた男の人生が、二十八を境に一変する。彼の“”の前から忽然と一人の女が現れた。それは、少年時代に彼が夢の中で何度も心通わせた少女だったのだ。終末を舞台に繰り広げられる幻想的な筆致に感涙必至!

「柔らかなところへ帰る」

路線バスに乗りこんだ。晩の九時過ぎ、仕事帰りだった。「お隣、よろしいですか?」。しっとりと耳のふちを撫でるような女の声。はっとし、顔をあげると、大柄の肥えた女が満月のように白じらと頬笑み、たたずんでいた。嗚呼、あのに溺れてみたい――。果てなき欲望が押し寄せる悪夢的桃源郷に悶絶必至!

「農場」

死の観念に取り憑かれた宿なしの若者は、謎の老人に誘われるがまま“農場”とよばれる施設を訪れる。そこでは、バイオ関連企業からの依頼で実験的な作物を植えつけ定期的に収穫するというのだが……その苗とは、どうみてもだったのだ。地獄を世に現出せしめる、唯一無二の世界に呆然必至!

「髪禍」

「壊れかけた人生」を生きてきた女は、10万円の報酬金に目が眩み、“かんながら天道会”と名乗る宗教団体が執りおこなう〈髪譲りの儀〉にサクラとして参加する。身の毛もよだつ悪夢が待ち受けているとも知らず。想像を絶する悪魔的ヴィジョンに戦慄必至!

「裸婦と裸夫」

『現代の婦展』に向かう、うだつのあがらぬ三十男に突如、災厄が降りかかる。感染者に触れるとたちまち脱衣症状に見舞われる病〈ヌーデミック〉が爆発的に流行。大混乱に陥った車内を命からがら抜けだし、ビルの屋上へと籠城を図るが……。諧謔と奇想が乱れ飛ぶ、予測不能の展開に仰天必至!

「耳もぐり」全文公開

推薦コメント

「禍」の悪夢の侵襲によって私は
永遠の万華鏡の中に迷い込んだ。

――伊藤潤二(漫画家)


文藝を侵食する異次元文学! 
読者の身体に澱のように溜まる、艶かしい肉体感覚!
クローネンバーグ×伊藤潤二×安部公房?!
この著者、まさしく
文藝界の“禍”になる。

――小島秀夫(ゲームクリエイター)


この想像力、極限。

――恩田陸(作家)


凄まじい。読み進むほどに作者と心が溶け合い、離れられなくなる驚異的な作品だ。

――ケヴィン・コー(『呪詛』監督)


恐怖は極めて個人的で密かな体験だ。『禍』を読んで、何度も眠れぬ夜を過ごし、心の奥深くに秘めた恐怖が再び呼び覚まされるようだった。

――リャオ・シー・ハン(『縄の呪い(原題:粽邪)』『縄の呪い2』監督)



小田雅久仁/著

    一枚食べたらもう引きかえせないからね──。小説家の〈私〉は未施錠の多目的トイレで本のページを貪り喰う女を目撃する。女の警告に挑むかのように、私は蔵書を手に取り……(「食書」)。一泊二日で十万円。三十三歳、無職の〈私〉は怪しげな仕事を請け負う。他言無用の宗教儀式、そこには長い黒髪の女ばかりが集まっていた(「髪禍」)。人生を逸脱することの恐怖と恍惚に、極限まで踏み込む七編。

    880円(税込)

    著者プロフィール

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