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つぎはぎプラネット

星新一/著

880円(税込)

発売日:2013/08/28

  • 文庫
  • 電子書籍あり

入手困難作品、書籍未収録作品多数収録! “ショートショートの神様”幻の作品集。

同人誌、PR誌に書かれて以来、書籍に収録されないままとなっていた知られざる名ショートショート。日本人 火星へ行けば 火星人……「笑兎(ショート)」の雅号で作られた、奇想天外でシニカルなSF川柳・都々逸。子供のために書かれた、理系出身ならではのセンスが光る短編。入手困難な作品や書籍、文庫未収録の作品を集めた、ショートショートの神様のすべてが分かる、幻の作品集。

目次
SF川柳・都々逸 101句

知恵の実

ミラー・ボール

狐の嫁入り
タイム・マシン
太ったネズミ
見なれぬ家
文明の証拠
食後のまほう
黒幕
犯人はだれ?
未来都市
ねずみとりにかかったねこ
白い怪物
悪人たちの手ぬかり
夜のへやのなぞ
地球の文化
宇宙をかける100年後の夢
オイル博士地底を行く
あばれロボットのなぞ
被害
宝の地図
インタビュー
お正月
白い粉
夢みたい
正確な答
ゼリー時代
万一の場合
妙な生物
空想御先祖さま それはST・AR博士
オリンピック二〇六四
景気のいい香り
ある未来の生活
二〇〇〇年の優雅なお正月
ビデオコーダーがいっぱい ちょっと未来の話
味の極致
ラフラの食べ方
魔法のランプ
上品な応対
ある未来の生活 すばらしき三十年後
屋上での出来事
おとぎの電子生活
夢への歌
最後の大工事
ケラ星人
ほほえみ
ある星で
円盤
不安
太陽開発計画
魅力的な噴霧器
命名
習慣
L博士の装置
ふしぎなおくりもの
お化けの出る池
解説 高井信

書誌情報

読み仮名 ツギハギプラネット
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
頁数 448ページ
ISBN 978-4-10-109853-1
C-CODE 0193
整理番号 ほ-4-53
ジャンル 文芸作品
定価 880円
電子書籍 価格 737円
電子書籍 配信開始日 2014/12/12

書評

“ショートショートの神様”が遊んでる!

新井素子

 星新一さんというのは、もの凄い作家なんだなって、改めて思う。
 生きていらっしゃった頃から、ショートショートの神様と呼ばれていたのに、1001編ショートショートをお書きになった処で、ぴたっとショートショートを書くのをやめた。神様とまで言われ、読者が山のようにいる現役作家が、御自身の代名詞でもある“ショートショート”を封印するということが、どんなに大変か。しかも、そののちも、ショートショートの新作がでなくとも、ひたすら読者に愛され続けた。星さんは、私の父と同い年なのだけれど、まず、父の世代に愛され、子供世代である私達に愛され、今では私の子供のような世代が星さんを愛し、そう遠くないうちに、私の孫世代が星さんを愛するだろう。星さんの没後、十数年たつというのに、未だに本屋さんには大抵星さんの本があるのだ。
 しかも、没後こんなにたってからの『つぎはぎプラネット』の出版だ。これは一部を除いて、単行本未収録作品集である。(その上、星さんの場合、没後に出た、単行本未収録作品集、これで二冊目!)
 このはやりすたりの激しい世の中で、これは一体どんな快挙なんだ! というか、異常現象のような気もする。
 そして、この作品集は、主に、「星新一は好きな作家だよ、私、結構読んでる」って人に、とてもお薦めの本なのである。
 というのは、星さんというのは、とてもスタイリッシュな方で、御自分の作品についても、かなり厳格なスタイルというものをお持ちになっていらした。
 この本は、単行本未収録作品集である。生前の星さんが、意図的に本にしなかったものを集めたものである。ということは、星さんのスタイルからはずれてしまったものもはいっているということで……。
 私も、原稿の段階で収録作品を読ませていただいたんだけれど、一星ファンとして、とっても楽しかった。
 え、星さんの楽屋落ち? ああ、これ、星さん、完全に遊んでるー。うわ、星さん、若いー。星さんの“若書き”を読むことができるとは……。
 星新一を最初に読むのなら、『ボッコちゃん』等、星さんが御自分でお作りになった本が一番なんだけれど、ある程度星作品を読み込んだ人には、これはもう、望外のプレゼント。スタイリッシュな星さんが隠そうとした素顔が透けて見えているものもある。(これは、星さんにしてみれば、意に染まないことなのかも知れない。けど、星さん自身が、かつてこれに類することをやっているしなー、この辺については、高井さんの解説を参照して下さい。)
 あ、解説って言えば。編者である高井信さんの解説も、必読。ここには、この本を編むにあたっての苦労が(えーと、実作業を知っている身にしてみれば、かなり薄めて)書かれているんだけれど、いや、もう、ほんっと、星さんくらい研究者をタイトルで悩ませる作家は、いないんじゃないかと思う。とにかく改題するし、同じタイトルの作品があったりするし……。(まあ、高井さんも解説で書いてらっしゃるけれど、ショートショートを千編以上も書いてしまえば、そういうことになるよね。星さんがおつけになるタイトルは、「鍵」とか「包囲」とか「発火点」とか、単純な単語であることが多く、それが千を越せば……だぶらない訳がないし、かぶっちゃっても気がつかないことだって、そりゃ、あるだろう。)
 また、単行本収録作品と、内容が似ていてもかなり改稿されたものは収録されているので(それを高井さんが丁寧に追ってくれているので)、高井さんの解説を片手に読み比べてみるのも一興だと思う。

 冒頭で私は、「星新一さんというのは、もの凄い作家なんだな」って書いた。「もの凄い作家だったんだな」、では、ない。
 没後十何年たっても、未だ、現役の“もの凄い作家”なんだと、改めて思う。

(あらい・もとこ 作家)
波 2013年9月号より

著者プロフィール

星新一

ホシ・シンイチ

(1926-1997)東京生れ。東京大学農学部卒。1957(昭和32)年、日本最初のSF同人誌「宇宙塵」の創刊に参画し、ショートショートという分野を開拓した。1001編を超す作品を生み出したSF作家の第一人者。SF以外にも父・星一や祖父・小金井良精とその時代を描いた伝記文学などを執筆している。著書に『ボッコちゃん』『悪魔のいる天国』『マイ国家』『ノックの音が』など多数。

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