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くいしんぼうの味方72冊!!

私の好きな料理の本

高橋みどり/著

1,944円(税込)

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発売日:2012/10/31

読み仮名 ワタシノスキナリョウリノホン
雑誌から生まれた本 芸術新潮から生まれた本
発行形態 書籍
判型 B5判変型
頁数 127ページ
ISBN 978-4-10-333041-7
C-CODE 0077
ジャンル 本・図書館、人文・思想・宗教
定価 1,944円

写真にゴクリ、文章にうっとり、装丁にほれぼれ――手がけた料理本は100冊以上のフードスタイリストが、あのロングセラーから埋もれた名著まで、古今東西の食の本の世界をたっぷり案内。高山なおみさん、長尾智子さん、ホルトハウス房子さんなど、人気料理家やシェフたちのお気に入りの一冊も教えてもらいます。レシピ付き。

著者プロフィール

高橋みどり タカハシ・ミドリ

フードスタイリスト。1957年東京都生れ。女子美術大学短期大学部で陶芸を専攻後、テキスタイルを学ぶ。大橋歩事務所のスタッフ、ケータリング活動を経て、1987年フリーに。おもに料理本のスタイリングを手がける。著書に『うちの器』(メディアファクトリー)、『伝言レシピ』(マガジンハウス)、『ヨーガンレールの社員食堂』(PHP研究所)、共著に『毎日つかう漆のうつわ』『沢村貞子の献立日記』(ともに新潮社とんぼの本)など。

書評

波 2012年11月号より 見渡す人

高山なおみ

これはこれは、またもやみどりさんが見たこともない料理本を世に送り出したのですね。
いつだったか、何かの撮影でご一緒した時、「最近、器を探しに骨董市へ出掛けても、ついつい昔の料理本に目がいっちゃうんだよね」とおっしゃっていた。それはもう、何年も前のことなのだけど、きっとあの頃の熱が冷めることなく、満を持して本の形になったのだろう。
彼女とのつき合いは、15年以上前に遡る。まだ私がレストランで働いていて、自分にとっての料理は、お腹を空かせてやってくる目の前のお客さんに食べてもらうためのものだった。たまに雑誌の依頼で撮影しても、ページに載った料理がはたしておいしそうなのか、レシピは分かりやすいものなのか、さっぱり自信がなかった。
そんな私の、自分でも気づかずにいた仕種をみつけ、「高山さんは、手の料理だね」と声を掛けてくれた。そしてほとんどのスタッフが味見をするだけで終りにしてしまう、撮影済みの冷たくなった料理を、「うーん、おいしいねえ」と、たいらげた。とりつくろうことは何もないのだ、と教わった。
撮影の日のみどりさんは、いつも大荷物。洗濯したてみたいな動きやすい服装でうちにやってくると、歯切れのいい挨拶をひとつして靴を脱ぐ。早めに来すぎたことはあるけれど、遅刻したことはいちどもない。だいたいアイロンなんてうちのを使えばいいのに、必ず持参でやってくる。狭い台所の入り口に立って、私が料理しているところをちょくちょく覗き見し、カメラマンが写真を撮っている最中から取り皿を用意しては、できたての料理をいかにおいしく味わえるか見はからっている。
当日は、器でも布(スタイリング素材の)でも、多めにみつくろって用意してくるのに、最終的にはいつも私に選ばせる。前の晩、遅くまでかかってミシン掛けした布を、でき上がった料理を見るや、サッと勢いよくテーブルからはずし、けっきょく使わなかったこともある。料理がおいしそうに映ることしか、頭にないように見える。それはシンプルというよりマイナスのスタイリング。省いてゆく方のやり方で、そんな技もみどりさんは持っている。
たぶん、イメージを働かせながら十分に練って器を探しまわり、スケッチを描き、準備万端整えてから臨むのだと思う。
そのくせ、「撮影の日は、もう私の中では終ってるんだよね」。現場でひらめいたアイデアは、誰のものでも積極的にとり入れ、すべり込ませてしまう。
みどりさんは見守っている。見守っているというより、そこにある空気を見渡している。
さて、本のまえがきにもあるように、「仕事はと問われれば、スタイリストと答えます。食まわりの、と付け加えて」という彼女だけれど、人と人とをつなぐスタイリストでもあると私は思う。料理家の個性を観察し、カメラマンやデザイナーとの組み合わせを見極めるのは、本づくりの最初の要。
私とて、これまで何人もの仕事仲間に引き合わせてもらった。そういう時の彼女は惜し気がない。対面の場では、にやにやしながら傍らに佇み、眼鏡の端を持ち上げるついでに目頭をぬぐったりしている。昔、ひとりぽつんと立っていた私をみつけてくれた時にも、そうやって多くの人に紹介し、広めてくださったんだと思う。
『私の好きな料理の本』は、そんな彼女が、長い歳月をかけ料理界を見渡すことで生まれた本だ。好みや趣味だけに偏らず、公平な眼差しを持ちながら集められ、惜しみない心で綴られた。もしかしたらそれは、読者に向けたスタイリングの形でもあるのだろうか。
好きなものに対する興味の深さ、広さは、たとえば博物学者に負けないくらい、貪欲なものだと思う。

(たかやま・なおみ 料理家)

目次

まえがき
はじめての味
料理すること、食べること
村井弦斎『増補註釈 食道楽』
全4巻 明治36~37年 報知社出版部

崔智恩『崔さんのおかず』
平成21年 小学館

レザ・ラハバ『家庭で楽しむペルシャ料理』
平成21年 河出書房新社
日置武晴さんに聞く料理写真に必要なもの
Martha Stewart, Martha Stewart Living, 1990-

『家庭で出来る和洋菓子』
大正15年 婦人之友社

「ドニチェフ」
2000年第4号 アシェット婦人画報社
長尾智子さんの料理地図
『世界の料理』
全21巻 昭和47~53年 タイム ライフ ブックス

「週刊朝日百科 世界の食べもの」
全140冊 昭和55~58年 朝日新聞社

長尾智子『わたしとバスク』
平成18年 マガジンハウス
ひたむきな料理 高山なおみさんと東佐與子さん
東佐與子『婦人新書I 世界の馬鈴薯料理集』
昭和24年 中央公論社

高山なおみ『高山なおみの料理』
平成15年 メディアファクトリー

高山なおみ『じゃがいも料理』
平成17年 集英社
オムレツ修行
ナルシサ・チェンバレン 辻調理師学校フランス料理研究室訳『オムレツの本』
昭和45年 柴田書店

石井好子『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』
昭和38年 暮しの手帖社
マダム斎藤とチーズ
クリスチァン・プリュム 松木脩司訳『チーズの本』
昭和54年 柴田書店

『チーズ図鑑』
平成5年 文藝春秋
スパイスの伝道師 桐島龍太郎さんとレヌ・アロラさん
桐島龍太郎『スパイスの本』
昭和36年 婦人画報社

レヌ・アロラ『私のインド料理』
昭和58年 柴田書店

レヌ・アロラ『決定版 レヌ・アロラのおいしいインド料理』
平成23年 柴田書店
フォークが滑稽だったころ
春山行夫『食卓のフォークロア』
昭和50年 柴田書店

春山行夫『食卓の文化史』
昭和30年 中央公論社
ウー・ウェンさんの強さの源
『中国名菜集錦』
全9巻 昭和57年 主婦の友社

ウー・ウェン『ウー・ウェンの北京小麦粉料理』
平成13年 高橋書店
ジャケ買いの楽しみ
Simple Hawaiian Cookery, Peter Pauper Press, 1964

Esquire Cookbook, Crown Publishers, 1955

CO-OP 25th Anniversary Menu Book, Consumers Cooperative of Berkeley, 1962
細川亜衣さんの舌の記憶
カゴメ株式会社企画編集『大きなトマト 小さな国境』
昭和54年 講談社

米沢亜衣『イタリア料理の本』
平成19年 アノニマ・スタジオ
家の味
石田千さんに聞く「食べものの話」
本山荻舟『舌の虫干し』
昭和25年 朝日新聞社

黒田初子『料理のこころ』
昭和29年 明玄書房

久永岩穂『味つけ人生』
昭和31年 逓信文化社

石田千『きんぴらふねふね』
平成21年 平凡社
おいしいごはんさえあれば
宮田孝次郎『珍味佳味 飯と漬物嘗物三百種』
昭和3年 萬里閣書房

辻嘉一『味噌汁三百六十五日』
昭和34年 婦人画報社

酒井佐和子 河野貞子 吉沢久子『お茶漬けとおにぎり』
昭和35年 中央公論社
家の味
江上トミ『私たちのおかず』
全5巻 昭和32年 柴田書店

浜田ひろみ『日本人の食卓 おかず2001』
平成10年 NHK出版
デザイナー・若山嘉代子さんの仕事
澤崎梅子『家庭料理基礎篇(改訂版)』
昭和27年 婦人之友社

婦人画報社編集局編『おいしいおすしとお弁当』
昭和32年 婦人画報社

「奥様手帖」
昭和31~平成9年 味の素サービス
昔ながらのごはんが食べたい
塚崎進『日本人の食事 日本人の生活全集1』
昭和31年 岩崎書店

御所見直好『日本の味―里料理ごよみ―』
昭和53年 木耳社
ふるさとの味
『たべもの東西南北』
昭和29年 日本交通公社

『日本の食生活全集9 聞き書 栃木の食事』
昭和63年 農山漁村文化協会
缶詰の思い出
『料理の栞』
昭和3年 日魯漁業株式会社

浅見安彦『缶詰百科』
昭和51年 柴田書店
あこがれのホルトハウス房子さん
ホルトハウス房子『私のおもてなし料理』
昭和47年 文化出版局

東佐與子『フランス式魚貝料理法』
昭和26年 中央公論社

レオン・ドーデほか 大木吉甫訳『美食随想――ブリヤ=サヴァランに捧ぐ』
昭和48年 柴田書店
第二のおふくろの味
土井信子『しゅんの料理BOOK うちのおかず』
全12巻 平成2~3年 主婦の友社

有元葉子『娘に贈るわたしのレシピ』
平成10年 主婦と生活社

高峰秀子『台所のオーケストラ』
昭和57年 潮出版社

沢村貞子『わたしの献立日記』
昭和63年 新潮社

講談社編『向田邦子の手料理』
平成元年 講談社
プロの味
福田浩さんに聞く江戸の料理本
醒狂道人何必醇 輯『豆腐百珍』
天明2年 春星堂藤屋善七

福田浩ほか『豆腐百珍』
平成20年 新潮社
間口一就さんに聞くハイボールとつまみの秘密
小山雅之『ドリンクス』
昭和7年 菓業経済社

酒井佐和子『酒の肴』
昭和34年 婦人画報社

間口一就『バーの主人がこっそり教える味なつまみ』
平成21年 柴田書店
金塚晴子さんと和菓子の時間
『京菓子講座』
昭和33年 製菓実験社

カメラ・葛西宗誠 文・大久保恒次『フォトあまカラ帖』
昭和39年 三和図書

金塚晴子『ほーむめいど和菓子』
平成9年 文化出版局
おいしさをはぎとるように 柴田書店の本づくり
竹林やゑ子『洋菓子材料の調理科学』
昭和55年 柴田書店

大原照子『私の英国菓子』
昭和60年 柴田書店
河田勝彦さんの書斎から
Jules Gouffe, Le Livre de Patisserie, Hachette, 1873

Emile Darenne, Emile Duval, Traite de Patisserie Moderne, Flammarion, 1974/1909

河田勝彦『河田勝彦の菓子 ベーシックは美味しい』
平成14年 柴田書店
櫻井信一郎さんのシャルキュトリーへの挑戦
Selectionnees par Curnonsky, Recettes des provinces de France, Les Productions de Paris, 1959

Michel Poulain, Jean-Claude Frentz, Le Livre du Charcutier, Jacques Lanore, 1991

櫻井信一郎『レストランのシャルキュトリー』
平成22年 柴田書店
蕎麦屋で一杯
多田鉄之助『蕎麦漫筆』
昭和29年 現代思潮社

池波正太郎『食卓の情景』
昭和48年 朝日新聞社

料理の本と出会う場所

私が手がけた料理の本

担当編集者のひとこと

私の好きな料理の本


私ごとですが、実家にいた頃は「良さそうだな」と思う料理本を書店で見つけたら、「あ、これ母につくってもらおう」と買って帰る不肖の娘でした。気まぐれに自分で料理本を開き挑戦してみても、悪戦苦闘となることしばしば。眺めるだけ眺めて、つくるのは、つい母にまかせることが多くなりました。しかしそんな時、母には「料理の本はしょっちゅう眺めて、何度も捲って、つくって、を繰り返してこそ自分のものになるのよ」というようなことを言われ、自分もいつかは料理本との「うまい付きあい方」を確立せねばなあとも思っていました(そもそも母から直接習えばよかったのかもしれませんが、母娘教室はそううまくいくものでもありません。だからこそ料理本を手にとる方も結構いるのでは)。

さて、本書には72冊の料理本とともに、その料理本づくりに携わった方もたくさん登場します。料理家はもちろんシェフたち、編集者、カメラマン、デザイナー。フードスタイリストの高橋みどりさんは、彼らがどんな意図を持って、どんな時代背景を背負い、料理本づくりに取り組まれたのかを尋ね、よい料理本ってなんだろう?と考え続けます。そこには、料理本との付きあい方のヒントもたくさんありました。

いくつか印象にのこった言葉をひきます。

「料理の本は生活を楽しくするための道具のひとつだと思うんです」

「料理には技術とはべつに、その人の人となりが確実に出るように思います。というか、私自身が人柄の出ている料理本が好きなんですね」

「私がいちばんこだわっているのは、料理家の『その人らしさ』をさりげなく出すこと」

「自分で味見してよければそれでよし、変だと思えば味を足すなり、次にべつのやり方にするなり考えればいいだけ。本はアイデア集とかヒント集みたいに思えばいいんじゃないでしょうか。材料を選ぶのも調理するのも自分なのだし、場所も道具も自分のものを使うのだから、あくまで主体は自分だと思わないと、おかしなことになってしまう(料理家・長尾智子さん)」

「ほんとうにこの表現で読者に伝わるか、しつこく考えます。読者が料理にするっと入りやすいように音のリズムを考えつつ、どんどん言葉をそぎ落としていくんです(料理家・高山なおみさん)」

「料理本は、レシピじゃないんですよ。大切なのは何を伝えるかなのです(料理家・ウー・ウェンさん)」


もちろん高橋さんは「料理本とはなんぞ?」としかめつらをしているのではなく、往年の料理本を眺めて、読んで、おまけに(明治時代の本からも!)実際に料理をつくってしまって、ともかく楽しんでいらっしゃいます。再現料理のレシピもついています。何度でも眺めて、読んで、つくって楽しめる「料理の本」の本、是非手に取ってみてください。

2016/04/27

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