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この一冊が、あなたの手に届くまで。
でんぱ組.inc ねむきゅんが学ぶ、「本のお仕事」の世界。

本の本―夢眠書店、はじめます―

夢眠ねむ/著

1,620円(税込)

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発売日:2017/11/30

読み仮名 ホンノホンユメミショテンハジメマス
装幀 夢眠ねむ & 新潮社装幀室/装幀、夢眠ねむ/題字
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 239ページ
ISBN 978-4-10-351381-0
C-CODE 0095
ジャンル ノンフィクション
定価 1,620円

自分で書店を開きたいと願うほど、本を愛するアイドルが訪ねた先は――。超大型書店の舞台裏から、思わず買っちゃうPOP作りの達人、憧れの週刊少年ジャンプ編集部、神業でミスを見破る校閲ガール、そして著者本人の装幀家デビューをアシストするブックデザイン集団まで。出版業界のプロフェッショナルを取材した体験ルポ。

どういう本?

スペシャルコンテンツ 書籍をお買い上げいただいた方だけへのスペシャルコンテンツ! オビ袖のQRコードから「ほんのひきだし」のスペシャルコンテンツ〈夢眠書店開店日記番外編〉にアクセスできます。ここでしか見られないレアなねむきゅんの写真も多数収録。

著者プロフィール

夢眠ねむ ユメミ・ネム

7月14日生まれ。三重県伊賀市出身。多摩美術大学卒業。アイドルグループ「でんば組.inc」のメンバー。愛称は“ねむきゅん”。みえの国 観光大使。他の著作に『ゆめみやげ』『まろやかな狂気』『夢眠軒の料理』などがある。

書評

“本”が与えてくれるもの

朝井リョウ

 本が好きだと公言している芸能人は多い。何かへの愛を宣言した途端「本当か?」「ニワカでは?」なんて矢がビュンビュン飛び交う今、著者はそこに真っすぐ立ち続けることができる稀有な存在だ。私の知る限り彼女の本への愛情を疑う声は聞いたことがないし、その内容が本にまつわるかどうかに拘わらず、著者との会話からは“本が好きな人”特有の香りを感じる。
 そんな生粋の本好きである著者が、自分の書店を開くこと、そして本の素晴らしさや読書の楽しさをもっと多くの人に知ってもらうことを目標に掲げ、本にまつわるあらゆる仕事に就く人のもとを訪れた記録がこの一冊だ。漫画、雑誌、小説、装幀、販促物などの制作過程や、一日に数万人が訪れる超大型書店の舞台裏など、本が読者の手元に届くまでの目に見える道のりを丁寧に辿りつつ、出版社と書店を繋ぐ流通業者や在庫が管理されている巨大な倉庫、つまり、私たちの目に見えない部分にまで著者の足と興味は伸びていく。
 その中には、カバーに印字されているISBN番号から読み取れる「本」の定義や、“校正”と“校閲”の違いなど、出版業界の中にいるつもりの私も初めて知るような情報も多く含まれていた。それはきっと、著者が取材対象者に対して「本」への愛を全身全霊で表明し続けた成果だろう。取材対象者の方々が皆、そんなにも愛情をぶつけてくれるならばと、情報を次々と明かしていく様子が読んでいて気持ちいい。特に、著者が愛読しているという雑誌「オレンジページ」の裏側は想像以上の細やかさで、その中を覗く窓がぱかぱか開かれていく過程は清々しいものがあった。社内にあるキッチンで掲載予定のレシピを全て試作する等、「本」というキーワードを差し引いても、自分の仕事に誇りを持つ人々の話には背筋が伸びる思いがする。料理雑誌はあまり手に取ったことがなかったが、この本が与えてくれた視点で「オレンジページ」を読んでみれば、料理が苦手な私でも楽しめそうだ。

 今、視点、と書いたが、本とはまさに、世界を見つめる視点を与えてくれるものだと思う。たとえば小説の場合、私たちは、自分とは違う性別、世代、国籍の登場人物に降りかかる出来事を描いた物語を通して、対岸の火事だと思っていた事象をこれまでにない視点で捉え直すことができる。すっかり知ったつもりでいた言葉や感情が、その形を変えるきっかけをくれるのが読書だ。武器だと思い込んでいたものが実は便利な道具だったり、自分を支える骨だと思い込んでいたものが実は自分を内側から傷つけている刃だったり――そんな気づきの積み重ねは、明日すぐ効く劇薬にはならなくとも、明日を生き抜くエンジンになりうる。
 先述した、著者から感じられる【“本が好きな人”特有の香り】とはまさに、物事を見つめる視点の多さだ。様々なトピックをパズルのように組み合わせながら話す彼女は、現に、本をあらゆる視点で捉え直したこの一冊で、私たちに次の本に手を伸ばさせることに成功している。最小努力で最大利益を得ることが推奨される現代において、読書は確かに非効率的な行為かもしれない。だけど、長年の読書経験から積み上げた無数の視点を絡ませながら対話を繰り広げる著者の姿は、即効性のある一発逆転ホームランなんか打たなくたって、一つずつ塁を進む粘り強い逞しさに包まれている。
 折角なので、最後に、WEBメディア「ほんのひきだし」で今も続いているこの連載へのリクエストをここで述べておきたい。書店を開くという目標ゆえ、紙の本に特化した取材になるのは当然の流れだが、個人的には、ネット書店や電子書籍などに携わる人の話も聞いてみたい。この分野は書店や紙の本に対してVSの関係で語られることが多いが、読書人口を増やすべくWITHの関係を築く仲間として、もっとお互いに知るべき部分がある気がするのだ。夢眠店長、引き続き応援しております!

(あさい・りょう 作家)
波 2017年12月号より

目次

はじめに
第1話 ついたくさん買っちゃう本屋さんの秘密
有隣堂ヨドバシAKIBA店店長 宮尾美貴子
第2話 ねむ店長の師匠!? 独立系書店の作り方
Title店主 辻山良雄
第3話 ブック・コーディネーターという仕事
numabooks代表 内沼晋太郎
第4話 POP王直伝! 見る者を惹きつけるPOP作りの極意
三省堂書店営業企画室 内田剛
第5話 一日数万人が訪れる本屋さんの裏側
紀伊國屋書店新宿本店 大矢靖之
第6話 本を売るための宣伝とは?
中央公論新社営業局宣伝部 東山健
第7話 本ってそもそも何なんだろう?
日本出版販売株式会社 古幡瑞穂
第8話 本はここから届く! 本の流通センターに潜入
日販王子流通センター 関野民男・市原真也
第9話 小説の編集者ってどんな仕事?
文藝春秋「文學界」編集部 浅井茉莉子
第10話 大好きな絵本ができるまで
偕成社編集部 千葉美香
第11話 漫画制作の裏側に潜入!
集英社週刊少年ジャンプ編集部 頼富亮典/漫画家 麻生周一
第12話 30年以上愛される雑誌作りの現場
オレンジページ編集部 上杉真由美
第13話 作家・装幀家ユニット「クラフト・エヴィング商會」の仕事
クラフト・エヴィング商會 吉田浩美・吉田篤弘
第14話 校閲者のお仕事とは?
新潮社校閲部 湯浅美知子・飯島秀一/新潮社文芸第二編集部 田中範央
第15話 ねむちゃん、本の装幀に挑戦!
新潮社装幀部 二宮由希子・黒田貴
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