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あどけない少年たちをも最前線に送り出す、日本「一億総特攻」は目前まで迫っていた!

僕は少年ゲリラ兵だった―陸軍中野学校が作った沖縄秘密部隊―

NHKスペシャル取材班/著

1,404円(税込)

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発売日:2016/07/15

読み仮名 ボクハショウネンゲリラヘイダッタリクグンナカノガッコウガツクッタオキナワヒミツブタイ
発行形態 書籍
判型 四六判
頁数 220ページ
ISBN 978-4-10-405607-1
C-CODE 0095
ジャンル 日本史
定価 1,404円

「敵を殺せ。10人殺したら死んでもよい」——14歳から17歳までの少年で極秘に編成され、沖縄で壮絶なゲリラ戦を戦った「護郷隊」。陸軍中野学校はさらにそれを全国に推し進め、来たる「本土決戦」に備えようとしていた。子供までも動員する「本土決戦」計画の全貌を、はじめて口を開いた元少年兵たちの証言と極秘資料から炙り出す。

著者プロフィール

目次

まえがき

第一章 護郷隊と陸軍中野学校
沖縄戦の知られざる本質/護郷隊のルーツを追う/なぜ日本軍はゲリラ戦に着目したのか/中野学校が実践した遊撃戦/護郷隊を創設した陸軍士官/護郷隊隊長の素顔/なぜ少年たちを召集したのか/「10人殺したら死んでもよい」
第二章 心を壊されて 〜第一護郷隊の記録〜
第一護郷隊の戦い/アメリカ軍が恐れた「GOKYO TAI」/家族にも語れなかった戦時中の体験/心を壊された少年/美しきシマ/真喜屋に育った少年/戦場で間近に見た「死」/ふるさとを焼いた護郷隊/自らが破壊したシマでの戦後
第三章 恩納岳の悲劇 〜第二護郷隊の記録〜
第二護郷隊で戦った少年たち/「心」を変えられた訓練/少年からゲリラ兵へ/「命令だから……」/親友の死にも動かなかった心/「こんな子どもも兵隊に呼ぶか」/心と体に傷を負う/召集「行き先は教えられない」/「生まれなかったと思ったらいい」/手榴弾を口にくわえた/激戦下の野戦病院/“妄動”/取り残された少年/負傷兵を撃つ銃声を聞いた/封印された戦場、恩納岳/恩納岳で何があったのか?/遺族の戦後/70年後にようやく知らされた“真実”/軍医による射殺、その後――/護郷隊解散 その後/少年兵たちの戦後
第四章 もう一つの特殊工作 〜久米島での極秘作戦〜
沖縄の離島にも送られた中野工作員/離島工作の目的/「上原」の謎を追う/張り巡らされた工作員網/「上原」の素顔/仲間に語った「玉砕の言葉」/実行されなかった玉砕計画/突然の連行/戦後も隠し続けた工作員の立場/「虚仮の半生」/今も残る戦争の傷跡
第五章 沖縄から本土へ 〜本土決戦の全貌を解く〜
もし、本土決戦が行われていたら/アメリカが考えていた「滅亡作戦」/日本が考えていた「決号作戦」/本土決戦におけるゲリラ戦構想/ゲリラ戦のエキスパート/2800万人が召集の対象「国民義勇戦闘隊」/中野学校が指導した住民部隊/「一億総特攻」への道/中野学校出身者の追跡/「諜報活動から遊撃戦までを担った」/柔道五段の猛者/「情報将校」として受けた教育/中野学校が教えた「戦術」
あとがき

執筆者紹介

インタビュー/対談/エッセイ

二度と戦争だけには行きたくない

板垣淑子

 71年前の、あの戦争は何だったのか――。それを思い知らされたのが「少年ゲリラ兵」の取材だった。遠い異国の話ではない。わたしたちの国、日本で実際に起きていた事実だ。
 戦時中、激しい地上戦が繰り広げられた沖縄で、子どもたちが兵士とされ、戦場でゲリラ兵として闘っていた。その知られざる歴史を初めて聞いた時には、身震いする思いだった。戦況が悪化し、兵力不足に陥った日本は、子どもを戦場に送り出していたのだ。
 今、世界の各地で普通の市民が巻き込まれるおぞましいテロが繰り返されている。中でも子どもたちが犠牲になる痛ましい出来事――しかも子どもが加害者としてテロ行為の実行犯とされる悲劇――が相次いでいる。戦後生まれの「戦争を知らない世代」にとって、それは海を隔てた遠い異国の地で起きている現実でしかないだろう。しかし、沖縄の歴史を知ることで、それは日本でも起きていたことだと知らされる。戦争の狂気は、本来守るべき子どもさえ戦争に利用していたのだ。ひとたび戦争が始まると、もはや後戻りできずにその道を進んだ、かつての日本。その戦争がもたらす狂気の正体を知りたい――それが取材の出発点だった。

 沖縄本島北部には、やんばる(山原)というジャングルに覆われた山岳地帯が広がっている。そこが少年ゲリラ兵たちの主戦場だった。彼らは山中に拠点を置いて、ゲリラ兵として奇襲・夜襲などの特殊な戦闘を行っていた。
 少年が集められた部隊の名前は「護郷隊ごきょうたい」――故郷を守るための戦争だと信じて戦場に立ったという。
 故郷を守るためという大義で戦地に送り出された少年たちは、純真で素直な子どもたちだからこそ、兵士に変えられていった。ある少年は、過酷な訓練の最中、上官に命じられた言葉を今も、はっきりと覚えていた。
「敵を10人殺したら死んでもよい」
 そして、敵と殺し合う激しい戦闘の最前線で少年たちの心は壊され、麻痺していった。ある少年は、幼なじみの友だちが目の前で撃ち殺されても、何も感じることはなかったと話した。
「敵が死ぬのも、友が死ぬのも、自分が死ぬことすら、どうでもよくなっていた」
 元少年兵たちは、「ゲリラ」という存在自体、隠し通さなければならなかった。そして、あまりに凄惨な体験だったことから、戦後、誰にも話すことができずに、ずっと心の奥底にしまい込んでいた。しかし、70年という時間を経て、ようやく「戦争の記憶を伝え残したい」と記憶の扉を開き、事実を語ってくれたのだ。
 私たちはこうして元少年兵から得られた貴重な証言や新たに発掘した資料などをもとに2015年8月、NHKスペシャル『あの日、僕らは戦場で~少年兵の告白~』を制作した。嬉しかったのは中学生や高校生など10代の若者――かつての少年ゲリラ兵と同じ年代の若者たち――が放送後に感想を寄せてくれたことだった。
「戦争の恐ろしさが分かった」
「戦争はしてはいけないことだと思う」
 今は80代後半となった元少年兵たちから、戦争を知らない子どもたちへ、その言葉が伝わっていることに何ともいえない感慨があった。
 番組の制作過程では元少年兵だけでなく、陸軍中野学校の関係者など数多くの取材を行った。番組では到底、伝えきれなかった貴重な証言を形に残したい――取材に答えてくれた方々に誠意を尽くしたい、そうした思いを背負って、この「取材記」は綴られた。
 元少年兵の一人が語った忘れられない言葉。
「二度と戦争だけには行きたくない。戦争に近づくような道を、戦争からかけ離れた選択肢であっても、選択しないようにしないと。小さなのを重ねていくとね、ひどい目に遭いますから」
 数々の証言で語られる戦争の「狂気」――それは、ひとたび走り出すと誰も止められないということだった。本書を通じて、私たちはそれを今、伝えたい。そして、立ち止まって元少年兵たちの思いを受け止めて欲しい。

(いたがき・よしこ NHKチーフ・プロデューサー)
波 2016年8月号より

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