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運命と復讐

ローレン・グロフ/著、光野多惠子/訳

2,916円(税込)

本の仕様

発売日:2017/09/29

読み仮名  
シリーズ名 新潮クレスト・ブックス
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 528ページ
ISBN 978-4-10-590141-7
C-CODE 0397
定価 2,916円

電撃的に結婚した売れない俳優ロットと美貌のマチルド。純真な妻に支えられた夫は脚本家として名を成し、それは幸せに満ちた人生のはずだった――妻のおぞましき秘密を知るまでは。巧みなプロットと古典劇の文学性、オバマ前大統領も絶賛した大河恋愛小説!

著者プロフィール

インタビュー/対談/エッセイ

結婚という名の壮大なる悲喜劇

光野多惠子

 まだ肌寒いメイン州の砂浜に一組の男女が現れた。駆け落ち同然で結婚したふたりはそこで体を重ね、肉体は永遠に離れそうになかった。裕福な家庭に生まれながら、屈折した青春時代に役者を目指し、苦節の末、戯曲家として成功をおさめるロットと、夫を支える美貌のマチルド。前半は穢れなき妻を愛する夫の視点で綴られるが、後半の妻の視点になると一転、マチルドのスキャンダラスな過去が飛び出し、 25年におよぶ結婚生活に、全く異なる真相が秘められていたことが明らかになっていく。
 著者ローレン・グロフは在学中に発表した短篇が雑誌に掲載されて注目を浴び、そのひとつが村上春樹編訳のアンソロジー『恋しくて』に収録されている。長篇三作目となる本書は、書評誌で軒並み高い評価を受け、全米図書賞の最終候補に。2015年のAmazon年間総合ベストブックにも選ばれ、オバマ前大統領もその年のベストに挙げるほどの人気作品となった。
 それにしてもなんと熱く、自由な小説だろう。一組の夫婦の幼少期からのヒストリーを夫と妻の側から描くことで、結婚生活、あるいは人間関係そのものが、立場によって喜劇にも悲劇にも転ずることを痛感させられる。その語り口もまた独特で、長い年月の出来事を寓話のように圧縮して語り、シェイクスピア劇の要素を取り入れながら詩のように詠い上げ、パーティーでの会話劇を重ねることで、年月の経過や登場人物の心情変化を生き生きと描き出す。それらをぎゅっと一冊にまとめるエネルギーに圧倒され、この破天荒で魅力的な語り口をぜひ日本語にしてみたいと願い、作家のパワーに引き摺られるように翻訳作業に取り組んできた。
 次のページでどこに連れて行かれるのか全く予測のつかない、破格の熱量の大河小説をぜひ楽しんでいただきたい。

光野多惠子・文 text by Mitsuno Taeko
波 2017年9月号より

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