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初公開! 「漫画の神様」の苦闘の歴史は、すべて「原画」に刻まれていた!

手塚治虫 原画の秘密

手塚プロダクション/編

1,512円(税込)

本の仕様

発売日:2006/09/22

読み仮名 テヅカオサムゲンガノヒミツ
シリーズ名 とんぼの本
発行形態 書籍
判型 A5判
頁数 127ページ
ISBN 978-4-10-602147-3
C-CODE 0370
ジャンル アート・エンターテインメント、サブカルチャー
定価 1,512円

切り貼り、描き直し、ボツ……。名作は、一朝一夕に誕生したわけではなかった。悩み、考え、のたうち回った。ホワイトで消し、紙を貼って修正し、リライトにリライトを重ねて、やっと小さなワンカットが生み出されていた。七百作以上、総計十五万枚から選ばれた、門外不出の原画・下描き類がいま語る、手塚漫画の秘密とは?

著者プロフィール

手塚プロダクション テヅカプロダクション

●手塚治虫 1928年(昭和3年)11月3日、大阪・豊中で生まれる。1945年、大阪大学付属医学専門部に入学(1951年卒業、1953年医師免許取得、1961年医学博士号取得)。1946年、『マアチャンの日記帳』(少国民新聞)で漫画家デビュー。以後、『ジャングル大帝』『鉄腕アトム』『ブラック・ジャック』『火の鳥』『アドルフに告ぐ』など、幼年向きから大人向きまで、あらゆるジャンルの漫画を描き続け、「漫画の神様」とも称される。生涯に描いた作品数は700以上、約15万枚と言われている。そのほとんどは、『手塚治虫漫画全集』(全400巻、講談社)にまとめられている。1989年2月9日、逝去。行年60。兵庫・宝塚に「宝塚市立手塚治虫記念館」がある。

書評

波 2013年6月号より グローバルなひと。

井出幸亮

グローバル化の時代、海外で活躍する「世界の○○」……といったフレーズは紋切型だが未だによく使われる。しかしそうした表現自体が「“日本”と“それ以外”」という「国境」の存在をより際立たせることで一向にグローバル化の進まぬこの国の特殊な状況を露呈させているわけで、またそんな内向きな日本人の姿を例えて揶揄する「ガラパゴス」という言葉を日本人が日本人に向かって投げつける、というからもはや訳がわからない。しかもそうした際に語られる「世界」とは多くの場合、「欧米」という前時代的カテゴライズで示される地域の提喩としてであり、またそこで挙げられる人物は常に日本国内で認知が高く確立された分野で活動する者に限られる。しかし、当然ながら実際には「日本の外」で一定以上の評価を得て活躍している日本人はいくらもいる。76歳を過ぎた今も各国からの仕事のオファーが途切れることなく続き、世界中を飛び回り活躍する衣装デザイナーのワダエミはまさに「グローバル」な規模で仕事をするアーティストの筆頭と言える一人だ。本書『ワダエミ―世界で仕事をするということ―』は黒澤明「乱」(1985年)で伝統的技術を換骨奪胎した大胆な配色の陣羽織の衣装で米アカデミー賞衣装デザイン賞を受賞し、その後、勅使河原宏やピーター・グリーナウェイ、チャン・イーモウら錚々たる名監督の作品でその手腕を発揮してきたワダの仕事と人生におけるスタイルと哲学に迫る一冊。脚本を読み込み、世界中から資料を集めて吸収し、一流の職人との協同を通じて試作を繰り返す。妥協を許さないその徹底的な仕事ぶりと独立した女性としての生き方は、戦前の京都の裕福な一族の元に生まれ、恵まれた文化的環境とともに戦後復興から高度成長へと至る自由な空気の中で育まれた「戦後モダニズム」の賜物と言えるだろう。
ワダと同じく戦前の関西の豊かな経済的・文化的土壌の中でのびのびと育ち、やがてその爆発的な創造性を開花させた「マンガの神様」の原画を紐解き、その執筆の詳細にフォーカスした『手塚治虫 原画の秘密』から伝わるのは、こちらも鬼気迫る勢いで画用紙に向かい、ひたすら執拗に「描き直し」を続ける「マンガの鬼」とも言うべきアーティストの姿である。過度の肉体的酷使により1989年、齢60にして病に倒れた手塚がもしその後も長く生き続けていれば、国外において現在よりもっともっと高く評価される「世界のテヅカ」になっていたのだろうか? 21世紀に入ってなお旺盛な活躍を続けるワダエミの姿に、そんな妄想もまた掻き立てられてしまう。

(いで・こうすけ 編集者)

目次

序章:漫画の「原画」とは
 罪と罰/三つ目がとおる
第1章:「手塚漫画」ができるまで
 三つ目がとおる/MW(ムウ)/アポロの歌/
 火の鳥・望郷編/燈台鬼/火の鳥・乱世編/原人イシの物語
第2章:色彩の魔術師
 原色甲蟲図譜/昆虫標本画/ユニコ/お常(新・聊斎志異)/
 人間昆虫記/虹のプレリュード/ふしぎなメルモ/
 フィルムは生きている/ジャングル大帝/ドライブラー
第3章:様々な変容
 ブラック・ジャック/ブッダ/火の鳥・乱世編/
 鉄腕アトム/ふしぎな少年/アドルフに告ぐ/三つ目がとおる/
 リボンの騎士/ぼくの孫悟空/ジャングル大帝
第4章:あらすじと人物紹介
 バンパイヤ/ふしぎな少年/どろろ/アドルフに告ぐ
第5章:ハサミとノリの芸術
 シュマリ/どろろ/アドルフに告ぐ/アトム大使/
 W3(ワンダースリー)/スーパー太平記/ジャングル大帝
第6章:失われた原画たち
 どろろ/ドライブラー/フースケ風雲録/燈台鬼

原画のおまけ
作品解説

まとめテーマでくくる 本選びのヒント

担当編集者のひとこと

手塚治虫 原画の秘密

 手塚治虫は、よく「雑誌連載は“原作”である」と言っていました。つまり、漫画の雑誌連載はあくまでおおもとの“素材”であって、単行本が完成品だ、というわけです。そのため手塚作品は、単行本化にあたって必ず大幅な修正が加えられました。判型や版元を変えて出しなおす際も同様でした。その結果、同一作品で絵柄やストーリーが違ういくつものヴァージョンが存在することになりました。
 本書は、その一端を「原画」で検証するものです。

 たとえば名作『ブラック・ジャック』。第1話「医者はどこだ!」で、BJが初めて読者の前に顔を見せる記念すべきシーン。ところが原画でBJの「目」の部分をよく見ると、上から紙を貼って修正されているのが分ります。透過光撮影すると、下が透けて見えました。何とBJの目は、最初はもっと大きかったのです。キャラクターの生命である「目」に、ギリギリまでこだわっていた手塚治虫の姿勢がよく分ります。
 また、驚くべきは『ジャングル大帝』です。昭和25~29年に雑誌「漫画少年」に連載後、幾度となく雑誌再録や単行本化がされてきましたが、そのたびにすべて描きなおしているのです。判型が変わる場合はコマを切り貼りしてまで、新しい版型に合うサイズに原画を作り直していました。そして最終確定版となったのはほぼ25年後! ひとつの作品を四半世紀かけて修正しつづけ、完成させていったのです。その姿勢は執念を表していると同時に、自作に対する絶対の愛情と自信を感じさせます。
 本書では、手塚プロダクションの全面協力により、門外不出の原画や下描きが大量に登場します。中には、下描きだけで未発表に終わった幻の作品『ドライブラー』や『燈台鬼』も公開されます。
“漫画の神様”は、生涯に約700作品、枚数にして15万枚を描いたと言われています。しかし、それらが、いかなる苦労の末に誕生していたか。原画には、その苦闘の痕跡がすべて残っていたのです。

2016/06/09

『ブラック・ジャック』第1話「医者はどこだ!」原画より

『ブラック・ジャック』第1話「医者はどこだ!」原画より
【初出】「週刊少年チャンピオン」1973年11月19日号

(c)手塚プロダクション

記念すべき、BJ初登場シーン。その目の部分をよく見ると、上から紙を貼って、あとから修正したあとが分る(上)。この部分を裏返して透過光撮影すると、最初に描かれた目が、はっきりと透けて見える(下)。実はBJの目は、当初はもっと大きかったのだ。

(c)手塚プロダクション

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