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世界の名作住宅をたずねる ルイス・バラガンの家

ワタリウム美術館/編

1,650円(税込)

発売日:2009/11/25

  • 書籍

メキシコが誇る世界遺産の全てを見せる。

ピンク色の壁、宙に浮かぶ階段、空しか見えないテラス――メキシコシティにある建築家ルイス・バラガン(1902~88)の自邸は、いまも世界中から建築家や建築愛好家が訪れる、聖地のような場所です。驚きと安らぎにみちた20世紀最高の名作住宅をくまなく撮影、バラガン自身の貴重な言葉で、各部屋ごとに案内します。

目次

6メートル四方のプールつきパティオ。パティオもバラガンの住宅建築にはかかせない要素のひとつだ。


日の出直後のテラス。高い壁で周囲を遮り、空しか見えない空間。


1. ルイス・バラガン邸をたずねる
玄関/ホール/リビングルーム/庭/書斎/ゲストルーム/パティオ/ダイニングルーム/朝食室/寝室/衣装室/テラス
メイドが語るバラガン
「よく外国の本を見せてくれました。今日はどこへ行きたい? と訊かれて」
間取り図+見学案内


2. バラガン建築をめぐり メキシコシティの全作品
庭の秘密:オルテガ邸
荒地に花を:ペドレガル公園
郷愁の様式:プリエト・ロペス邸
祈りのために:カプチーナス修道院
色のよろこび:ガルベス邸
首都のシンボル:サテリテタワー
水と光:ヒラルディ邸


調和と平穏 ルイス・バラガン小伝
大切なもの 「バラガン展」あとさき


ルイス・バラガン年譜
メキシコシティ地図

書誌情報

読み仮名 セカイノメイサクジュウタクヲタズネルルイスバラガンノイエ
シリーズ名 とんぼの本
発行形態 書籍
判型 A5判
頁数 144ページ
ISBN 978-4-10-602196-1
C-CODE 0352
ジャンル 建築
定価 1,650円

担当編集者のひとこと

世界の名作住宅をたずねる ルイス・バラガンの家

 ルイス・バラガン邸での丸2日間の撮影の間、この家に住み込みのメイドさんが何度かお茶を出してくれました。バラガンも愛飲していたというハーブティです。新鮮な香りの、でもほっと落ち着く味でした。

 ルイス・バラガン(1902~88)はメキシコを代表する建築家で、鮮やかな色使いに水や光を駆使したスタイルの住宅建築で知られています。特にそのピンクの色使いはインパクトが強く、バラガンの名前は知らなくても映像などで見かけたことがある方は多いと思います。たとえばちょっと前(2009年4月頃)に、福山雅治さんが出演するキユーピーマヨネーズのコマーシャルで、ピンクの壁を背景に馬が闊歩するシーンを見たことがありませんか?(キユーピー ハーフ「セロリと壁」篇)このピンクの壁、CMの解説には福山さんが思い描くマヨネーズ発祥の地スペイン・メノルカ島のイメージとありますが、実際にはバラガン建築の傑作のひとつで、メキシコシティ郊外にあるサン・クリストバル厩舎というものなのです。 しかしバラガン建築に関して斬新な色とかたちのみに圧倒されているだけではもったいありません。
 この本でおもにとりあげた自邸、建築家自身が亡くなるまでの約40年間を過ごしたルイス・バラガン邸はいたるところにこの建築家の生き方そのものが反映されています。その結果、不思議な静けさと暖かみ、訪れた人の心深くを揺さぶるような神聖さを湛えた空間になりました。「礼拝堂のようだ」というひともいるこの空気はほかのバラガン建築にも共通する特徴です。
 今回の本では言葉では伝えがたいこの家の「空気」をなんとか感じてほしいとバラガン邸の玄関から屋上までくまなく、朝から夜までバラガンが過ごしたであろう最もうつくしい時間帯に撮影した写真で紹介しています。そしてその写真の脇には、建築家自身が「自伝的」というこの家をより深く理解するための手がかりとなるように彼が残した貴重なことば(本邦初訳)の数々を付しました。ページをくればまるでバラガンに案内されるようにこの家を感じることができるのではないかと思っています。

 冒頭に書いたお茶を出してくれたメイドさんは、バラガンに18年間仕え、その最後を看取った方です。彼女に生前のバラガンについてインタビューをしたとき、亡くなって幾年経った現在でも主の思い出話に瞳を潤ませていたことがとても印象的でした(インタビュー内容は本書で!)。私たちに出してくれたお茶はバラガンがこの家で最も愛した場所の一つ、緑生い茂る庭から葉をつみとって入れてくれたものでした。彼女はバラガンが亡くなった現在でも世界遺産となったこの家に住み、しっかりと守りつづけています。

ワタリウム美術館
Casa Luis Barragan






窓からのぞむ庭の緑がうつくしいダイニングルーム。バラガンが昼食をとった午後二時頃。





テラス。高い壁で周囲を遮り、空しか見えない空間。

2016/04/27

著者プロフィール

ワタリウム美術館

ワタリウムビジュツカン

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