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渋滞が嫌いな人も、行列させたい人も必読。あらゆる「渋滞」の謎に迫る!

  • 受賞第23回 講談社科学出版賞

渋滞学

西成活裕/著

1,404円(税込)

本の仕様

発売日:2006/09/22

読み仮名 ジュウタイガク
シリーズ名 新潮選書
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 252ページ
ISBN 978-4-10-603570-8
C-CODE 0340
ジャンル 産業研究、サイエンス・テクノロジー、建築
定価 1,404円

人混み、車、インターネット……世の中、渋滞だらけである。新しく生まれた研究「渋滞学」により、その原因と問題解決の糸口が見えてきた。高速道路の設計のコツから混雑した場所での通路の作り方、動く歩道の新利用法まで。一方で、駅張り広告やお金、森林火災など停滞が望ましいケースでのヒントにも論及。渋滞は、面白い!

著者プロフィール

西成活裕 ニシナリ・カツヒロ

1967(昭和42)年、東京生れ。東京大学先端科学技術研究センター教授。東京大学卒。修士及び博士課程は航空宇宙工学を修了、専門は数理物理学、渋滞学。2007(平成19)年、『渋滞学』(新潮選書)で講談社科学出版賞と日経BP・BizTech図書賞を受賞。2013年に「科学技術への顕著な貢献 2013(ナイスステップな研究者)」に選ばれる。著書に『無駄学』『誤解学』(共に新潮選書)、『疑う力』(PHPビジネス新書)、『とんでもなく役に立つ数学』(角川ソフィア文庫)、『シゴトの渋滞学』(新潮文庫)など。

西成研究室のホームページ (外部リンク)

書評

波 2006年10月号より 渋滞でイライラしなくなります  西成活裕『渋滞学』

山根一眞

 高校の友人が数学者になった。一九七〇年代の初めだったが、東大・大学院に進んだばかりの友人に新宿駅構内で偶然会った。当時まだあったホームのベンチに座り研究内容をあれこれ聞いたのだが、まったく理解できなかった。最後に私はこう質問した。「それ、社会の役に立つの?」。答えは自信に満ちたものだった。「それは断言できる、まったく役に立たない」。数学者とはそういう崇高なる人たちと理解したが、それが大きく覆されたのが、物理学者であり数学者でもある著者が、数学を感じさせず一般向けに書いた本書だった。
交通渋滞、群衆雑踏で起こる事故、火災時の避難殺到、インターネットが接続しにくくなるアクセス集中など、私たちは日々刻々と「渋滞」に悩まされ、イライラしている。パニック的な「渋滞」による事件や事故で、たくさんの人が亡くなるケースもしばしばだ。こういう身近なイライラや恐怖の原因が、「数学」を感じさせない「数学」で次々と美しく解き明かされているため、そうだったのか、なーるほど、と膝を打ち続けて腫れ上がったほど(でもないが)。高速道路では、車間距離四十メートルで「臨界状態」になる。人はこの危険な「臨界状態」を避けようと無意識に速度を落とし、渋滞が起こっている。そういう意識が働く場所はほぼわかっているが、それがなぜなのかを、時に「数学」を離れて人の心の状態などの分析も交えながら解き明かしているので、何ともスッキリする。アリの行列との比較も興味シンシン。こういう渋滞を回避する方法も述べていて、なーるほどと、また膝を打ったが、「皆が知ってそのように振る舞う」と渋滞の解決にならないので「この結果は本書には書きたくなかったのだ」が、本音なのだそうだ。というわけで、その方法は、渋滞回避のため紹介を控えておくが、「なぜ渋滞するの?」という謎の明快な説明を読むだけでも、今後は、渋滞でイライラせずにすむこと間違いなしだ。
ある量の「モノ」が「限られた空間」で「同じ速度で移動」しようとする時、それぞれの要素が一定数値以上となった時に起こるのが渋滞。これは、従来のニュートン力学で説明がついたが、クルマや人は意志を持って動くため説明がつかなかった。そこで西成さんは「自己駆動粒子」の解明に十年取り組んできたのである。「自己駆動粒子」という難解そうな用語にはビビったが、私流に、「自分勝手気まま運動体」と翻訳して読み進んだ。
今後、この斬新な渋滞理論があらゆる場に応用されることで、道路の渋滞ばかりか「渋滞しない自動車」の開発や災害時の安全な避難法など、モノ作りやインフラ建設に携わる人たちの必読書になるだろう。それにしても、数学研究を聞いた新宿駅構内のむちゃくちゃな「人の渋滞」が、三十年前も今も同じなのは、なぜ?

(やまね・かずま ノンフィクション作家)

目次

まえがき
第1章 渋滞とは何か
水と人のちがい/非ニュートン粒子なるもの/おもちゃモデルの重要性/ASEPは優れたモデル/ASEPで遊んでみよう/水が氷になる時/待ち時間の計算方法/待ち行列の理論と渋滞学のちがい/セルオートマトン法
第2章 車の渋滞はなぜ起きるのか
ETCの課題/わけのわからない渋滞/サグとは気づかない坂道/研究の切り札となる基本図/車間距離40m以下で渋滞は発生する/渋滞の直前に起きていること/映画「スピード」でのメタ安定/自然渋滞の他の原因/混んでいるけど60㎞で走れる/2車線道路はどっちが得か/ゆっくり走れば青信号/ラウンドアバウトの長所短所
渋滞学講義I 「車のセルオートマトンモデル」
第3章 人の渋滞
明石歩道橋事故/密着状態ではニュートン粒子になる/群集には3種類ある/火事と煙/どこへ逃げようとするのか?/競うから逃げられない/建築基準法で決められていること/2方向避難の原則/パーソナルスペースと斥力圏/情報処理空間と引力圏/群集の動きもモデル化できる/航空機からの避難/障害物があるとスムーズになる/駅ではこう歩いている/温めると凍結する?/狭い箇所でのすれちがい/広告はどこが効果的か?/動く歩道で渋滞をなくす
渋滞学講義II 「群集の動きのモデル化――フロアフィールドモデル」
第4章 アリの渋滞
列の秘密はフェロモン/3種のフェロモン/アリと車の相違点/アリは混むと速くなる/フルマラソンにおけるフェロモン効果/アリに似ているバスの渋滞
渋滞学講義III/「アリのセルオートマトンモデルについて」
第5章 世界は渋滞だらけ
インターネットの渋滞/コンピュータの涙ぐましい努力/パケットと車のちがい/パケットの渋滞をどう回避するか/粉つぶはむずかしい/ブラジルナッツ現象/カーリングやビリヤード/電車の運行/「時間調整のため停車します」の意味/誰も呼ばないのに動くエレベータ/航空機も渋滞/セル生産方式の方がおいしそう/渋滞が望まれる森林火災/お金がお金を呼ぶ/体内での渋滞/タンパク質合成工場/ASEPはここから生まれた/運び屋分子モーター/ほうき星と渋滞
第6章 渋滞学のこれから
現実はネットワークしている/ネットワークのトポロジーとは/ハブと集中/どの道を通ればいいの?/たった6人で世界はつながる/ゲーム理論の大切さ/美人をナンパすべきか/微積分で世界は変わった/コンピュータが間違える計算/複雑なものをどう理解すればよいのか/数学の大切さ
参考文献

あとがき

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担当編集者のひとこと

渋滞学

渋滞が嫌いな人も、行列がほしい人も、必読。


「まったく何だよ。いったい何が原因だったんだよ」
 高速道路を走っていて、時折、理由のわからない渋滞に巻き込まれて、いつの間にか解消していることって、ありませんか?
 東京大学の研究室に著者・西成さんを最初にお訪ねした時、私はその「原因不明の渋滞」について質問しました。
「キツネにつままれたような渋滞って、確かにありますよね」
 西成さんは笑いながら説明してくれました。 詳しくは本書をお読みいただきたいのですが、要するに高速道路だと、車間距離40メートルくらいの流れになると、渋滞の予兆が始まるのだそうです。そして、誰かがブレーキを踏むだけで、そこから立派な渋滞が出来上がるのです。
 それから打ち合わせを何回か重ねるうちに、きっと先生の講義は面白いだろうな、と思うようになりました。というのも、文系出身(もう二十五年も前ですが)の私にも理解できるように、実にわかりやすく、かつ面白く、物理を説いてくれるからです。
 この本の特徴のひとつは、そうした「わかりやすさ」です。
 そして、もうひとつの特徴は、「分野横断的な発想」でした。
「世の中、じつは渋滞だらけなんですよ。体内、コンピュータ、人混み、行列のできる店……もっと言っちゃえばお金やウィルスもそうなんです」
 西成さんは、そうした各分野の人たちの話を聞いて、異なる分野に渋滞解消のヒントがないか模索したのです。つまり、日本では得てして陥りやすい縦割り思考に横穴(風穴?)を開けたわけで、その意味では、発想の転換を図った本でもあるわけです。
「蕎麦屋で並んでいる時とか、車で渋滞している時とか、あと何分かかるんだろうなんて計算しているうちに、渋滞のイライラもなくなってきますよ」
 本書を読めば、あなたの「渋滞イライラ度」も減るかもしれません。

2016/04/27

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