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決断の条件

会田雄次/著

1,320円(税込)

発売日:2013/05/24

  • 書籍

優柔不断は命取り――歴史が教える「真の決断」とは?

自分では一世一代の決断をしたつもりでも、その多くは単なる「思いつき」「苦しまぎれ」「便乗」「感情」から下されたものに過ぎない。マキァヴェリ、韓非子、孫子など先哲の言葉と、古今東西の歴史事例から、冷静な現実把握と意思決定の要諦を示す。昭和の経営者たちに読み継がれてきた名著、文字拡大版でリニューアル刊行。

目次
序論――意志決定と日本人
1 民衆を真の味方にできるのは権力者だけだ
2 反抗者は常に仲間に強い猜疑心を持っている
3 相手に対し、何か考慮を払わずにすむような完勝はない
4 人は、父親を殺されたうらみはすぐ忘れる
5 運命の神は女神である。だからときにこれをひっぱたけ
6 指導者を欠く大衆は烏合の衆である
7 大衆の憎まれ役は他人に請け負わせよ
8 人間いかに生きるべきかにこだわるな
9 人はその出生によっても年齢によっても区別してはいけない
10 加害行為は一気にやり、恩賞は小出しにせよ
11 現実を罵り過去や未来に憧れるのは欲求不満の現われ
12 真実を知る智者でも大衆の愚見におびえるものだ
13 無理強いされた約束は守る必要なし
14 亡命中の人間の言葉を信じるな
15 真の味方は武器をとって立ち上れと要求するものだ
16 忠義な使者は大切にするな
17 滅亡をふせいでこそ智の価値がある
18 小忠を行なうは大忠の賊なり
19 功なきを賞するは乱のもと
20 民衆の希望する自由など叶えてやれない
21 民は勢いに服し義に服さない
22 すぐれた将軍は部下の将兵を死地に追い込む
23 人主は心を己が死を利とするものに加えざるべからず
24 臣主の利は相ともに異なるものなり
25 人間はきわめて単純に目先の利によって動く
26 謙譲の美徳によって尊大をうちくだくことはできない
27 よく戦うものとは勝ちやすきに勝つものなり
28 信頼できるよき議会は審議を遅らせない
29 指導者たるものはやむを得ぬ行動でも自分の意志で行なうふりをしなければならない
30 将に五危あり
おわりに

書誌情報

読み仮名 ケツダンノジョウケン
シリーズ名 新潮選書
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 208ページ
ISBN 978-4-10-603730-6
C-CODE 0312
ジャンル 哲学・思想、倫理学・道徳、思想・社会、教育・自己啓発、趣味・実用
定価 1,320円

書評

新潮選書「私のこの一冊」

半藤一利

〈著名人が薦める〉新潮選書「私の一冊」(12)

 具体例として語られているのは主にわが戦国時代の武将たち。歴史小説を読む以上の面白さがある。そして読後にしみじみと胸底に残るのは、猛将上杉謙信の作と伝えられる歌一首の想いである。「取らば憂し取らねばものの数ならず捨つべきものは弓矢なりけり」。どんな時代にあろうとも、人はこの蕭条たる精神の荒野を歩まねばならない。本書はそのための好個の指針となる人間学の名著である。

(はんどう・かずとし 作家・随筆家)
新潮選書「解説目録」より

[→]〈著名人が薦める〉新潮選書「私の一冊」一覧

担当編集者のひとこと

苦いビールの美味しさ

「苦くて、不味い……!」
 子供の頃、はじめてビールを飲んだとき、その不味さに衝撃を受けました。そして、「わざわざ高い金を払って、がぶがぶビールを飲むようなバカな大人には絶対になるまい」と心に誓ったものです。
 それから幾年月、いつしか三度の飯よりビールを愛するようになった二十代の私は、ふとそれまで一冊も読んだことがない新潮選書を読んでみようと、当時すでに名著との呼び声が高かった『決断の条件』を手にとって見ました。
「なんだ、この傲慢で性悪な本は……!」
 人間不信にも程がある。「オヤジどもがこんな本を有り難がっているから、日本がどんどんダメになっていくんだ」と憤慨しながら読んだものです。
 それからさらに幾年月、『決断の条件』は不惑を迎えた私の愛読書となりました。本書で容赦なく暴かれる「人間の本質」が、必ずしも不快なものではなく、いつしか「愛すべき苦味」に変わってきたのです。
 ぜひ皆さんも、苦いビールを片手に、本書を味わってみて下さい。
※本書は1975年初版『決断の条件』と同内容の文字拡大改版です。

2013/05/24

著者プロフィール

会田雄次

アイダ・ユウジ

1916年、京都生まれ。京都大学文学部卒業。西洋文化史専攻。京都大学教授(のち名誉教授)を務め、西洋史学会会員となる。著書に、戦後の自らの体験を描いた『アーロン収容所』のほか、『ヨーロッパ・ヒューマニズムの限界』『ミケランジェロ―その孤独と栄光―』『たどり来し道』『日本人の意識構造』など多数。1997年9月17日、没。

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