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マイナス金利の衝撃! フィンテックの台頭! 新たな通貨戦争が勃発する――。

中央銀行が終わる日―ビットコインと通貨の未来―

岩村充/著

1,512円(税込)

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発売日:2016/03/25

読み仮名 チュウオウギンコウガオワルヒビットコイントツウカノミライ
シリーズ名 新潮選書
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 302ページ
ISBN 978-4-10-603782-5
C-CODE 0333
ジャンル 経済学・経済事情、一般・投資読み物
定価 1,512円
電子書籍 価格 1,210円
電子書籍 配信開始日 2016/09/16

日本銀行の金融政策はなぜ効かなくなったのか? 仮想通貨はなぜお金として機能するようになったのか? 「金利付き貨幣」の出現は、経済の仕組みをどう変えるのか? 日銀を飛び出した異能の経済学者が、「貨幣発行独占」崩壊後の新しい通貨システムを洞察する。マイナス成長がもたらす大格差時代を生き抜くための必読書。

著者プロフィール

岩村充 イワムラ・ミツル

1950年、東京生まれ。東京大学経済学部卒業。日本銀行企画局兼信用機構局参事を経て、1998年より早稲田大学大学院(ビジネススクール)教授。著書に『電子マネー入門』『サイバーエコノミー』『貨幣の経済学』など。2010年に刊行した『貨幣進化論「成長なき時代」の通貨システム』で注目を集める。

書評

金融の技術革新は我々をどこに導くか

北村行伸

 金融庁は、仮想通貨に対して新たな定義を与え、仮想通貨と中央銀行が発行する法貨の交換業者については登録制度を導入し、顧客の口座開設時における本人確認の義務化、利用者保護のためのルールの整備などを行うことを趣旨とした法律案を国会に提出した。
 これまで政府は、ビットコインなどの仮想通貨は通貨でも有価証券でもないと解釈し、銀行や証券会社が扱うことを禁止する代わり規制もかけてこなかった。今回の対応は仮想通貨に対する現状認識が大きく変わってきたことを意味している。
 本書は、ここ数年間に起こったビットコインの台頭とその技術的な意義、それから派生した類似の仮想通貨の位置づけを行い、その上で、中央銀行の役割に対して評価を与えたもので、この分野の進展に関心のある読者には必読書である。
 著者は金融と情報通信技術の関連分野では、誰もが認める第一人者であり、仮想通貨やフィンテック・ブームにあやかって、似非エコノミストや即席経済評論家が書いた軽薄な概説書とは全く内容を異にしている。
 実際、本書の中で、著者はビットコインの構造を細部まで理解し、その新規性と汎用性を高く評価しつつ、通貨供給スケジュールの硬直性を指摘し、代替案を提示している。まさに著者はビットコイン開発者のレベルで問題を認識し、議論を深めているのである。本書は歴史的な事例をちりばめ読み易く書かれてはいるが、その本質はこの分野の専門家が熟読すべき内容となっている。
 別の言い方をすれば、現在、金融の世界で起こっている、ここ数世紀で一番革新的な技術進歩と言っていいかもしれない変化をどう捉えるのか、そしてそれが我々をどこに導くのかということを知りたければ、本書を読むことは避けて通れないだろう。
 本書のタイトルが示すように、著者の最大の関心は、中央銀行の将来にある。著者はマイナス金利が実際に導入された現在、現金というマイナス金利のつかない価値保蔵手段に逃げ込む「流動性の罠」に陥ることを防ぐために、金利付き貨幣を導入することを提案している。著者はさらに踏み込んで、貨幣の機能の内、決済手段と価値保蔵手段については中央銀行の独占から取り上げて競争にさらすことが、貨幣の機能や効率を向上させるだろうと論じている。
 著者の冷静な判断によると、法貨が仮想通貨に取って代わられる可能性は低いが、むしろフィンテックの発展に乗り遅れれば世界的な決済サービス競争に敗れてしまう可能性はある。しかし、それでもなお、中央銀行には価値尺度としての貨幣や金利を提供するという役割は残る。それは丁度、江戸時代にあった度量衡の守護役を務めた秤座のような役割であり、社会のインフラとして極めて重要であることを強調することで、中央銀行に覚醒を求めている。

(きたむら・ゆきのぶ 一橋大学経済研究所所長)
波 2016年4月号より

目次

はじめに
第一章 協調の風景――良いが悪いに、悪いが良いに
一 協調か競争か
なぜ協調なのだろう/かつてハイエクがいた/固定相場制から変動相場制へ
二 戻ってきた流動性の罠
財政政策の時代とその終わり/金融政策リバイバル/流動性の罠、再現
三 閉じた選択肢の前で
異次元緩和の登場/もう引き返せない、か?/不安の少数派たち/閉じた選択肢の前で

パネル1:各国の消費者物価上昇率(5年間平均)/パネル2:ケインジアンの基本図/パネル3:フィリップス曲線の発見/パネル4:フィリップス曲線と流動性の罠/パネル5:心のバイアスと心の呪縛/パネル6:日銀券発行高の推移
第二章 来訪者ビットコイン――枯れた技術とコロンブスの卵
一 ビットコインの要素技術
枯れた技術の水平思考/暗号の始まり/計量的安全性という概念/データに署名する技術/手形は電子化できるが現金は……/ハッシュ関数
二 コロンブスの卵はどこか
秘密鍵と公開鍵そして匿名性/P2Pへのブロードキャスト/ブロックチェーンというアイディア/仮想掲示板システムの悩み/プルーフ・オブ・ワーク/マイナーたちのインセンティブ/仮想掲示板の前のドラマ

パネル7:機械式暗号機エニグマ/パネル8:デジタル署名と楕円曲線暗号/パネル9:ビザンチン将軍問題/パネル10:試行は絞り込みになるか/パネル11:口座番号F5R6I5D1A3XY/パネル12:伝言板あるいは掲示板/パネル13:至るところにあるPOW/パネル14:錬金術師ブラントの貢献/パネル15:300,001枚目のボード
第三章 ビットコインたちの今と未来――それはどこまで通貨になれるか
一 ビットコインからビットコインたちへ
アルトコインたちの出現/ビットコインの問題とビットコインたちの問題は違う/ブロックチェーンの活用法さまざま/暗号通貨あるいは仮想通貨そしてPOWモデル/産業化するマイニング/ビットコインのリスクと限界
二 それはどこまで通貨になれるか
貨幣と通貨の間にあるもの/ヤップ島の巨石貨幣/石貨の価値と金の価値/それを通貨にする方法/POWモデルにおける貨幣間競争/クリストファー・コロンブスとサトシ・ナカモト/捨てきれない疑い

パネル16:ビットコインの価格/パネル17:歴史の中のアルトコインたち/パネル18:誰が記録を公正に保持するか/パネル19:電子マネーと地域通貨/パネル20:産業化したマイニング/パネル21:四年に一度のチキンレース/パネル22:コインになったビットコイン/ パネル23:ヤップ島の石貨/パネル24:1ドル札が40億円?/パネル25:ムーアの法則/パネル26:コロンブスのサンタマリア号
第四章 対立の時代の中央銀行――行き詰る金融政策とゲゼルの魔法のオカネ
一 中央銀行は成長とともに生まれた
日本は運が良かった/今は病気か常態か/金融政策が始まったころ/銀行券の価値はどこから/フィッシャー方程式
二 金融政策は使命か重荷か
流動性の罠とインフレターゲット/デフレが逆転しても/拡がる所得格差/底辺への競い合い/企業ガバナンスと分配の問題/金融政策における不都合な現実
三 ゲゼルの魔法のオカネ
ゲゼルの発想から/魔法のオカネの作り方/銀行券に時間情報を付ける/投信の発想からアナログ円を作る

パネル27:日本と米中そしてドイツ/パネル28:イングランド銀行は中央銀行でない?/パネル29:日本銀行のバランスシート/パネル30:フィッシャー方程式と金融政策の役割/パネル31:マイナス金利が観察される場合/パネル32:景気の循環と物価の循環/パネル33:企業の意思決定とコースの定理/パネル34:ゲゼル型貨幣の地域消費促進効果?/パネル35:「ゲゼルの魔法のオカネ」の収支計算/パネル36:投資信託/パネル37:デジタル円とアナログ円との分離
第五章 中央銀行は終わるのだろうか――ビットコインから見えてくる通貨の未来
一 ビットコインから何が見えるか
その安さはどこから/キャピタライゼーション自体は悪くない/仮想空間の使い方/デジタル銀行券かビットコインたちか
二 通貨独占発行権は必要か
二つの利子率と貨幣の供給量/ティンバーゲンの定理から/銀行券供給の限界費用問題/預金による信用創造という危うさ/通貨独占発行権は不祥の器
三 再びハイエク
貨幣利子率と通貨発行競争/自分の通貨圏を自分で選ぶ/中央銀行は終わるのだろうか/やがて秤座のように

パネル38:金と銀の価格/パネル39:POWは浪費の証明?/パネル40:銀行券モデルの運営費/パネル41:何を使って何を操作するか/パネル42:銀行監督が金融危機を作った?/パネル43:ナローバンク/パネル44:Is Big Brother Watching You?/パネル45:金利差と為替/パネル46:共通通貨という片道切符/パネル47:枡座と秤座
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