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さらば、集団主義!
企業を再生させる新しい働き方とは?

なぜ日本企業は勝てなくなったのか―個を活かす「分化」の組織論―

太田肇/著

1,296円(税込)

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発売日:2017/03/24

読み仮名 ナゼニホンキギョウハカテナクナッタノカコヲイカスブンカノソシキロン
シリーズ名 新潮選書
装幀 駒井哲郎/シンボルマーク、新潮社装幀室/装幀
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 220ページ
ISBN 978-4-10-603798-6
C-CODE 0334
定価 1,296円

会社が危機の時、全社一丸になろうとしてはいないか? かつて利点だった日本企業の「まとまる力」が、いま社員一人一人の能力を引き出すことの大きな妨げとなり、組織を不活性化させている。必要なのは、まず組織や集団から個人を「引き離すこと」なのだ。働き方をドラスティックに変え、個の力を充分に活かすための大胆な提案。

著者プロフィール

太田肇 オオタ・ハジメ

1954(昭和29)年兵庫県生まれ。同志社大学政策学部教授。神戸大学大学院経営学研究科修了。経済学博士。専門は個人を尊重する組織の研究。『個人尊重の組織論』『承認欲求』『公務員革命』『がんばると迷惑な人』『個人を幸福にしない日本の組織』など、著作多数。講演やメディアでの登場も多い。

太田肇・公式ホームページ (外部リンク)

書評

人材マネジメントのOSを変える時

服部泰宏

 人材マネジメントの分野では、「個人と組織の関わり合いをどのように捉えるか」という点に関する企業の考え方を「フィロソフィー」とよぶ。これは人材マネジメントの最も深部を構成するものであり、意識するか否かにかかわらず、より表層部にある施策のあり方を規定する。たとえば、かつて日本企業にあった「長期雇用」や「年功に基づく処遇」などは具体的な施策であり、それは「個人と組織が一体化した親密な関わり合い」というフィロソフィーを基底に持っていた。当然、施策の変更はフィロソフィーとの整合性を考えてなされなければならず、その意味で二者の関係は、オペレーティング・システム(OS)と、その上で動くアプリケーション・ソフト(アプリ)の関係に例えることができる。
 評者の見るところ、2000年代以降の日本企業は、個人と組織の関わり合いがこれまでとは違うものになりつつあるのだが、それがどのようなフィロソフィーであるかという点に関しては、誰もまだ明確な答えを提示できていない。多くの企業が、成果主義をはじめとする施策の導入を検討してきたが、それがどのようなOSに拠って立つものであるかが明確になっていないのだ。これではOSを変更せずにアプリの変更だけを繰り返しているに等しく、上手くいくわけはない。
 こうした反省を受けて、日本企業が拠って立つ新しいフィロソフィーを示したのが本書である。
 社風に馴染みそうな人を採用し、強い人事権をもった人事セクションが配属・異動を決定し、意思決定においてはメンバーのコンセンサスが重視される。こうした、従来からある日本型の共同体組織では、個人が突出することが許容されず、結果として、組織からの個人の未分化が起こる。かつてのように、経済が安定的に成長している状態であれば、それでもよかった。経営者が示す方向に向かって、組織と一体化した個人が邁進するという古いOSが機能していた時代も、確かにあった。
 ところがいま、経済的にも、技術的にも、社会的にも、私たちは組織からの「分化」が求められている。著者のいう「分化」とは、個人が埋没することなく、能力に見合った明確な責任と権限を引き受けつつ組織・集団に属している状態をさす。組織からの分化は、仕事へのコミットメントと責任の明確化を生み、組織に生産性をもたらし、そのことが、日本企業にはびこる「集団的無責任」を打ち破り、不祥事の抑制にもつながると説く。今日本においては、人々のつながりや絆の重要さが指摘されているが、実はそうした人と人とのつながりもまた、組織からの分化によって実現すると、著者は看破する。
 組織の生産性向上に女性活躍、ワークライフバランスにダイバーシティ。日本中がアプリの“アップデート”に四苦八苦している今だからこそ、その基底をなすOSの議論が欠かせない。その議論の重要なきっかけに、本書はなるだろう。

(はっとり・やすひろ 横浜国立大学大学院准教授・経営学)
波 2017年4月号より

目次

まえがき
第一章 「未分化」が引き起こしていること
一、「分化」とは何か/二、企業不祥事はなぜ繰り返されるのか/三、「ブラック企業一掃」の壁/四、「女性活躍推進」の壁/五、「同一労働同一賃金」の壁
第二章 日本企業の深層に残っているもの
一、なぜ日本企業は勝てなくなったのか/二、共同体型組織の限界/三、成果主義が失敗した本当の理由
第三章 「分化」するとどう変わるか?
一、「分化」することのメリット/二、「分化」すればつながる/三、個人レベルの分化
第四章 「分化」と「統合」をどう両立させるか?
一、ジレンマから抜け出すには/二、分化した個人は、どう協働するのか/三、「分化」をどう仕掛けるか
第五章 「分化」の過去と未来
一、タテの分化からフラット化へ/二、ヨコに分化するポスト工業社会/三、やがて分化は終わるのか
あとがき
参考文献

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