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基本原理から学び直せる「最強の仏教入門」登場!

ごまかさない仏教―仏・法・僧から問い直す―

佐々木閑/著、宮崎哲弥/著

1,512円(税込)

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発売日:2017/11/24

読み仮名 ゴマカサナイブッキョウブツホウソウカラトイナオス
シリーズ名 新潮選書
装幀 駒井哲郎/シンボルマーク、新潮社装幀室/装幀
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 302ページ
ISBN 978-4-10-603818-1
C-CODE 0315
ジャンル 宗教
定価 1,512円

どのお経が「正典」なのか? 「梵天勧請」はなぜ決定的瞬間なのか? 釈迦が悟ったのは本当に「十二支縁起」なのか? 「無我」と「輪廻」はなぜ両立するのか? 日本仏教にはなぜ「サンガ」がないのか? 日本の仏教理解における数々の盲点を、二人の仏教者が、ブッダの教えに立ち返り、根本から問い直す「最強の仏教入門」。

著者プロフィール

佐々木閑 ササキ・シズカ

1956年、福井県生まれ。花園大学文学部仏教学科教授。京都大学工学部工業化学科および文学部哲学科仏教学専攻卒業。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。カリフォルニア大学大学院留学を経て、現職。文学博士。専門は仏教哲学、古代インド仏教学、仏教史。著書に『インド仏教変移論』、『日々是修行』、『科学するブッダ』、『別冊100分de名著 集中講義 大乗仏教こうしてブッダの教えは変容した』、『「律」に学ぶ生き方の智慧』等。

宮崎哲弥 ミヤザキ・テツヤ

1962年、福岡県生まれ。慶應義塾大学文学部社会学科卒業。テレビ、ラジオ、雑誌などを舞台に、政治哲学、生命倫理、仏教論、サブカルチャー分析を主軸とした評論活動を行う。著書に『宮崎哲弥 仏教教理問答』(白川密成、釈徹宗、勝本華蓮、南直哉、林田康順との共著)、『知的唯仏論 マンガから知の最前線まで―ブッダの思想を現代に問う』(呉智英との共著)、『さみしさサヨナラ会議』(小池龍之介との共著)等。

書評

曲学阿世に流れない剛毅な一冊

魚川祐司

『ごまかさない仏教―仏・法・僧から問い直す―』、まさにタイトルが示すとおりの、戦慄すべき仏教書の出現である。
「ごまかさない」というのはもちろん、誤解や虚飾を取り除いた、本来の姿そのものを提示するという意味だが、仏教に関しては、これがなかなか一筋縄ではいかないところがある。
 まず第一に、そもそも釈迦(ゴータマ・ブッダ)の仏教の、「本来の姿そのもの」というのを確定するのが難しい。仏教はおよそ2500年前のインドにおいて、ゴータマ・ブッダという人によって創始されたが、その教えは長いあいだ口承のみによって伝わり、それがテクストとして文字化されたのは、仏滅後数百年を経てからのことである。そして、現代に伝わっているそのテクストにも、様々な異同や増広の形跡が見られるから、「釈迦の仏教の本来の姿」を知るためには、その巨大な藪のようなテクスト群を腑分けする、文献学的な手続きが不可欠になる。これはもちろん、そのための独特の訓練と研鑽を重ねた人でなければ不可能なことだ。
 だが、本書においてこの問題について話し合うのは、第一線の仏教学者である佐々木閑氏と、その佐々木氏も驚くほどの該博な、最新の専門論文にまで及ぶ仏教学の知見を有する、評論家の宮崎哲弥氏である。この両者が揃っていて、いいかげんな話が出てくるはずはない。「仏・法・僧」という仏教の基本要素に沿って章立てされた対談を読みながら、読者は自然に、最新の研究から見えてくる「釈迦の仏教の本来の姿」を知ることができる。
 そして第二の困難は、そのように「ごまかさない仏教」を現代日本において再提示しなければならない文脈・・が、多くの読者にはわからない可能性がある、ということである。誤解や虚飾を取り除く言説に意味があるのは、そうした誤解や虚飾が広く認知されている場合だが、ふだんから仏教学に親しんでいるわけではない読者にとっては、そもそもそのような誤りにふれる機会自体がなく、したがって問題の所在もわからない可能性があるということだ。
 しかし、この点に関しても本書では周到な配慮がなされている。「仏・法・僧」の対談本編の前には序章が置かれ、この3つの章題が持つ意味や、近代まで大乗仏教一色であった日本仏教の状況、そして先ほどふれた経典のテクストにまつわる問題などに関して、簡潔でわかりやすい説明がなされ、専門的な知識を持たない読者にも、「なぜ『ごまかさない仏教』を、いま再説しなければならないのか」という文脈が、よくわかるようになっている。個人的には、この序章において、さっそく「釈迦は業も輪廻も説かなかった」という一部に根強く残る俗説が、自分たちの正統性を主張するために過去の歴史をねじ曲げる危険な解釈の方針であるとして、厳しく批判されているところもポイントが高い。
 最後に、「ごまかさない仏教」を語るための第三の困難は、日本においては仏教書の数は非常に多いけれども、専門書ではない一般向けのそれは、しばしば特定の宗派的な立場を有する著者によって書かれており、彼らの語る「本来の仏教」は、時に(その是非はともかくとしても)己の宗派的な立場に引きつけられたものになりがちなことである。
 だが、この点に関しても、もちろん本書に心配はいらない。宮崎氏は「仏教者」、佐々木氏は「釈迦教徒」として、ともに既存の特定の宗派には依拠していない立場であり、当然のことながら対談の中でも、あくまで「釈迦の本来の仏教は何であったか」ということが、客観的な資料に基づきながら議論されている。
 ゆえに、本書においては現代日本人の価値観や、大乗仏教の都合によってねじ曲げられた釈迦理解が厳しく批判されるが、同時に東南アジアのテーラワーダ仏教がとっている、「自分たちの仏教は、釈迦の直説そのままである」という立場にも批判が向けられる。彼らの依拠するパーリ三蔵とて、釈迦の時代よりもずっと後代に現代の形になった、増広・改変の加えられたテクストであることは学問的な事実だからである。
 このように本書では、「世の流れに逆らう」釈迦の仏教の姿をありのままに提示しているが、だからこそそれが、一般の社会に違和感を持つ人にとっての「心の病院」になり得ることも同時に明かされている。ありきたりの耳に優しい仏教書には飽き足らない読者の方々に、ぜひ手にとってほしい一冊だ。

(うおかわ・ゆうじ 著述・翻訳家)
波 2017年12月号より

目次

はじめに――宮崎哲弥
序章 仏教とは何か
仏教の不思議
「正典」は何か
釈迦は何語を話していたのか
中村元のバイアス
第一章 仏――ブッダとは何者か
仏伝を読む
ブッダは実在したか
仏伝はどのように作られたか
「天上天下唯我独尊」の真意とは
「四門出遊」はよく練られた作り話
なぜ苦行では悟れないのか
釈迦はどうやって悟ったのか
釈迦は何を悟ったのか
布施と托鉢の始まり
何のために布施をするのか
梵天勧請(1)――釈迦はエゴイストなのか
梵天勧請(2)――釈迦はなぜ他人を救う決意をしたのか
出家ラッシュの謎
「本山」も「跡継ぎ」もないインターネット形式
阿羅漢ラッシュの謎
釈迦のお葬式は誰がやったのか
諸仏とは何者なのか
第二章 法――釈迦の真意はどこにあるのか
仏教の基本OS
1.縁起
縁起とは何か
「一方向」か「双方向」か
釈迦と龍樹の縁起観の違い
アビダルマの縁起説
四縁説の縁起観とは
釈迦は輪廻を認めていたのか
輪廻業報思想と差別
仏教に輪廻は必要なのか
修行と縁起
無明とは何か
善因善果か善因楽果か
アングリマーラはなぜ悟れたのか
「悟りワールド」と「輪廻ワールド」
2.苦
苦とは何か
四苦八苦
苦の三つの側面
死に至る病の喩え
一切快楽と常楽我浄
3.無我
無我とは何か
有身見という根本煩悩
アートマンは存在するか
無我説か非我説か
輪廻の主体は何か
自己責任と廻向
4.無常
無常とは何か
三世実有――未来から過去に流れる時間
時間の経過は直接把握できるか
経部と唯識派
龍樹の「空」の理論
第三章 僧――ブッダはいかに教団を運営したか
サンガと律
サンガは本当に必要なのか
組織化の功罪
文化維持装置としてのサンガ
なぜ日本仏教にサンガがないのか
幻のサンガ復興運動
オウム真理教と律
六本の律の謎
なぜ性行為は禁止なのか
律はどのようにして作られたか
許される殺人はあるのか
「ブッダの殺人」はなぜ伝えられたのか
悟りを証明できるか
大乗仏教の起源の謎
テーラワーダの原理主義化
藤本晃氏の言説が含む問題点
仏教と仏教学、仏教者と仏教学者
おわりに――佐々木閑

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