アノセンソウハナンダッタノカオトナノタメノレキシキョウカショ
あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書―


保阪正康

また巡ってくる8月――62年経って、本当に我々はその答えを見出したのだろうか? 新しい「昭和史の定番」。

戦後六十年の間、太平洋戦争は様々に語られ、記されてきた。だが、本当にその全体像を明確に捉えたものがあったといえるだろうか――。旧日本軍の構造から説き起こし、どうして戦争を始めなければならなかったのか、引き起こした“真の黒幕”とは誰だったのか、なぜ無謀な戦いを続けざるをえなかったのか、その実態を炙り出す。単純な善悪二元論を排し、「あの戦争」を歴史の中に位置づける唯一無二の試み。

発行形態 : 新潮新書
判型 : 新潮新書
頁数 : 252ページ
ISBN : 978-4-10-610125-0
C-CODE : 0221
整理番号 : 125
ジャンル : 歴史
日本史
発売日 : 2005/07/20

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保阪正康
ホサカ・マサヤス

1939(昭和14)年、北海道生れ。同志社大学文学部卒業後、編集者などを経てノンフィクション作家に。『昭和史七つの謎』『昭和陸軍の研究』『医療崩壊』『愛する人を喪ったあなたへ』『あの戦争は何だったのか』『田中角栄の昭和』『真説 光クラブ事件』「昭和史の大河を往く」シリーズなど著書多数。とくに昭和史、医療問題に関する作品に定評がある。

はじめに
第一章 旧日本軍のメカニズム
1 職業軍人への道
陸軍士官の養成機関
「統帥」の教え
海軍の教育機関
2 一般兵を募る「徴兵制」の仕組み
「国民皆兵」の歴史
二年の兵役、五年の予備役
兵役免除、お目こぼし、徴兵逃れ……
3 帝国陸海軍の機構図
「大本営」とは何か
「統帥権の干犯を許さない!」
戦略単位としての「師団」と「艦隊」
第二章 開戦に至るまでのターニングポイント
1 発言せざる天皇が怒った「二・二六事件」
「天皇機関説」から「神権説」へ
「大善」をなした青年将校たち
もはや誰にも止められぬ「軍部」
2 坂を転げ落ちるように――「真珠湾」に至るまで
「皇紀二六〇〇年」という年
「北進」か「南進」か
逆転の発想「東條内閣」
真の“黒幕”の正体……
第三章 快進撃から泥沼へ
1 「この戦争はなぜ続けるのか」――二つの決定的敗戦
果して「真珠湾攻撃」は成功だったのか
“勝利”の思想なき戦争
完全に裏をかかれた「ミッドウェー海戦」
無為無策の戦場「ガダルカナル」
誰も発しなかった「問い」
2 曖昧な“真ん中”、昭和十八年
“狂言回し”としての山本五十六
アッツ島の「玉砕」はなぜ起きたか
大本営が作った空虚な作戦「絶対国防圏」
開き直る統帥部
“とりつくろおう”とした年
第四章 敗戦へ──「負け方」の研究
1 もはやレールに乗って走るだけ
「軍令」「軍政」の一線を超えた東條
無能指揮官が地獄を招いた「インパール作戦」
「あ号作戦」、サイパンの玉砕、東條の転落
軍令部の誤報が招いた“決戦”の崩壊
硫黄島、沖縄の玉砕
2 そして天皇が動いた
鈴木内閣の“奇妙な二面策”
「例の赤ん坊が生まれた」――
阿南泣くな、朕には自信がある
第五章 八月十五日は「終戦記念日」ではない──戦後の日本
「シベリア抑留」という刻印
太平洋戦争はいつ終ったか?
名もなき戦士たちの墓標

【基礎知識】
恩賜の軍刀
大東亜共栄圏、八紘一宇
軍人勅諭
大艦巨砲主義
マジック
軍神






開戦における真の“黒幕”

 歴史の教科書にも書かれている「ABCD包囲陣」なるものがある。アメリカ、イギリス、中国、オランダによって日本は輸入経路を閉ざされてしまい、石油がなくて仕方なく南部仏印に進出したということになっている。そして、それがやがて日米開戦へ決定的な引鉄になっていくと。
 しかし実は「ABCD包囲陣」なんてウソだったといったら、どうだろう? 本当は、その頃の日本には石油はあったのだ、と……。
 当時、企画院が行った調査では、石油の備蓄は「二年も持たない」とされていたが、実際にどれだけの備蓄がどこにあったか知っていた人物はほとんどいなかった。東條英機さえ知らなかったのだ。ここで、ある“黒幕”の存在が浮かんでくる。「石油がなく“ジリ貧”だ」と煽り立てた海軍内のある主戦論者たちである。
 ――海軍国防政策委員会の「第一委員会」。彼らが巧妙に対米英戦に持っていくように画策していたのだ。詳しくは本書にて。
掲載:2005年7月25日
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