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ハリウッドで勝て！

一瀬隆重／著

748円（税込）

発売日：2006/08/20

新書
電子書籍あり

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THE JUON／呪怨、全米NO.1獲得！　敏腕プロデューサーが語る成功の秘訣。

企画はテレビの二番煎じで、当てても誰も儲からず、製作・配給システムは硬直化……。日本映画界の構造問題は指摘されるようになって久しいが、実態はなかなか変わっていない。映画が「産業」になっているハリウッドに対し、日本映画界の「道楽」体質も相変わらずだ。面白い映画を作る――そのために本当に必要なこととは何なのか。日本映画界に見切りをつけた業界の異端児が語る、日本映画界への挑戦状。

はじめに

第1章　ウルトラＱと角川映画

原体験としての「ウルトラＱ」
円谷作品と「Ｊホラー」の意外な共通点
大阪万博・ビデオカメラ・江戸川乱歩
初めての自主映画
“映画のウソ”を学んだ『ポセイドン・アドベンチャー』
自主映画サークルを作る
「プロデューサー・角川春樹」の衝撃
大林宣彦監督がくれた希望
石坂浩二に出演依頼

第2章　駆け出しプロデューサー

プロの世界への扉
浅丘ルリ子のアドバイスで上京
月給9万円
「押しかけプロデューサー」デビュー
『夢みるように眠りたい』でヴェネチア映画祭へ
インディーズ映画ブームとメジャー志向
26歳で『帝都物語』をプロデュース
「昭和2年の銀座」に2億円
日本映画への苛立ち
人のやらないことをやる

第3章　日本にとどまっていちゃダメだ！

『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』の衝撃
『孔雀王』と香港エンターテインメントの洗礼
海外マーケットを視野に入れた映画作り
『帝都大戦』の監督を引き受ける
失敗体験から学んだこと
スクリーミングマッドジョージとの出会い

第4章　儲からなければ意味がない

アメリカ法人を設立
日本を出て行きたい……
ハリウッドで「Ｖシネマ」を作る
ヴィゴ・モーテンセンやラッセル・クロウを起用
サミュエル・ハディダとの出会い
「プリセールス」というシステム
「産業」か「道楽」か
映画は儲からなければ意味がない

第5章　シネコンと携帯電話

新発想の「映画プロデュース組織」
シネコンの出現
背水の陣で臨んだ勝負作『リング』
中田秀夫×高橋洋の「Ｊホラー」最強コンビ
「編集権」は監督に渡さない
松嶋菜々子を選んだ「女優センサー」
口コミ効果を高めた携帯電話
まったく新しかった清水崇のホラー感覚

第6章　Ｊホラー、世界を制す

100万ドルで売ってしまったリメイク権
「製作委員会」方式の限界
初めて幹事会社に
口コミでヒットさせた超低予算ホラー『呪怨』
公開前から続編を製作
「リメイク王」ロイ・リー
「ホラーの巨匠」サム・ライミ
テスト・スクリーニングの弊害
世界で通用するのはドメスティックな感覚
ユニオンの制約
ハリウッド映画は飽きられている!?

第7章　立ち上がれ日本映画

メジャー・スタジオと「ファーストルック契約」を結ぶ
20世紀フォックスを選んだ三つの理由
ハリウッドから求められているもの
日本における「映画投資ファンド」の問題点
邦画バブルと「製作費高騰」というウソ
リアリティーの対価
日本古来の「見立てる」文化が落ちてきた
六本木ヒルズに住む理由
『犬神家の一族』と20年目の転機
挑戦はまだ始まったばかり

書誌情報

読み仮名	ハリウッドデカテ
シリーズ名	新潮新書
発行形態	新書、電子書籍
判型	新潮新書
頁数	208ページ
ISBN	978-4-10-610177-9
C-CODE	0274
整理番号	177
ジャンル	演劇・舞台、映画
定価	748円
電子書籍　価格	660円
電子書籍　配信開始日	2012/06/29

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シネコンと携帯電話
「Ｊホラー」が「ブーム」にまでなった背景には、「シネコンと携帯電話」の存在がありました。90年代、外資系のシネコンが参入したことで、硬直的だった映画配給システムに風穴があき、インディペンデント系の作品が公開しやすくなります。また、「恐怖」という感情をストレートに揺さぶられた観客は、映画館を出るとすぐに携帯電話を手にするので、「口コミ」の映画宣伝効果も飛躍的に増大。結果、作品さえ良ければ、宣伝費を大してかけずともヒットが生まれやすくなったわけです。
　Ｊホラー作品は、内容の衝撃もさることながら、「ヒットの方程式」の面でも時代を画する存在だったのです。

掲載：2006年8月25日