アホノカベ
アホの壁


筒井康隆

人間は、考えるアホである。前代未聞の人間論!

なぜそんなアホなことをするのか、そしてアホなことを言うのか? 無益な争いに血眼になり、破綻必至の計画を立て、互いに殺しあうに至るのは、いったいなぜなのか? 文化的文明人を自任する現代人が、いとも簡単に飛び越えてしまう「アホの壁」をめぐり、豊富なエピソードと心理学、文学、歴史ないまぜでつづる抱腹絶倒の筒井流人間論、ついに登場!

発行形態 : 新潮新書
判型 : 新潮新書
頁数 : 184ページ
ISBN : 978-4-10-610350-6
C-CODE : 0210
整理番号 : 350
ジャンル : 文学
エッセイ
発売日 : 2010/02/17

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筒井康隆
ツツイ・ヤスタカ

1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。1997年、パゾリーニ賞受賞。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。2002年、紫綬褒章受章。2010年、菊池寛賞受賞。他に『家族八景』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』『アホの壁』『現代語裏辞典』など著書多数。

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序章 なぜこんなアホな本を書いたか
第一章 人はなぜアホなことを言うのか
一 アホにかかる潜在的バイアス
二 強迫観念症的アホ発言
三 局面暴言アホの構造
四 甘えのアホ・メカニズム
五 アホの社会的・歴史的背景
六 真のアホによるアホ
七 お笑い番組から学ぶアホ
第二章 人はなぜアホなことをするのか
一 ただのアホな癖
二 フロイト的アホな失敗
三 フロイト的アホな間違い
四 アホな物忘れ
五 アホで病的な癖と行為
六 アホな怪我は焦点的自殺
七 アホな死にかた
第三章 人はなぜアホな喧嘩をするのか
一 喧嘩するアホの生い立ち
二 アホな喧嘩はアホが勝つ
三 アホな喧嘩のメカニズム
四 我慢の限界がアホの壁
五 両方ともアホになる喧嘩
第四章 人はなぜアホな計画を立てるか
一 親戚友人を仲間にするアホ
二 正反対の中をとるアホ
三 成功の夢に酔うアホ
四 よいところだけ数えあげるアホ
五 批判を悪意と受け取るアホ
六 自分の価値観にだけ頼るアホ
七 成功した事業を真似るアホ
八 専門外のことを計画するアホ
九 少い予算で格好だけつけるアホ
第五章 人はなぜアホな戦争をするのか
一 ナショナリズムはアホの壁
二 アホな戦争と女たち
三 アホな戦争をなくす方法
終章 アホの存在理由について


厄介なアホとバカ

 アホとバカはどちらが表現としてキツイか、人によって答えは違います。地方による違いをまとめた名著(『全国アホ・バカ分布考』松本修著、新潮文庫)もあり、関東ではアホがバカよりきつく、関西ではその逆であるというのが通説となっていますが、もちろん、使われる状況や文脈、相手との関係性によって印象は様ざまに変化します。
 どちらも日常的によく使われる言葉であるにも関わらず、字義の正確な解説は難しいようで、バカ(馬鹿)は「おろかなこと、あほう」とあり、アホ(阿呆)は「愚かであるさま、ばかなこと、あほ」(広辞苑から)と、やむをえないトートロジーの感があります。
 ある意味では、それだけ人間に根ざした厄介な言葉ということなのでしょう。
掲載:2010年2月25日
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