はじめに
1 「ウエスト58cm幻想」の大罪
ささやかで重大な偽装/毎年100人の命を奪う病気/若者の脳と身体が壊れる/不妊はなぜ増えたか/ボディ・イメージには流行がある/やせすぎモデルを追放せよ/「やせれば健康になる」はウソ/日本人は飢餓状態/利益を生むやせ礼賛/専門家に騙されるな/他人のふんどしで相撲を取る/コメンテーターは気楽な稼業/テレビはゼネコンである
2 「正義」とは被害者と一緒に騒ぐことではない
新たな事件・事故を防げ/「被害者は神様」が新たな被害を生む/薬害エイズの真相/林眞須美は本当に有罪か/かくて冤罪は繰り返される/必要な実名報道、不要な実名報道/権利にはすべて責任がともなう/名誉毀損を怖れるな
3 「命を大切に」報道が医療を潰す
医療崩壊はなぜ起こったか/刑事と民事を混同するな/司法の領域、医師の領域/どの名医にも「初めての手術」がある/1人の命がなにより大事/ミクロの発想で世の中を語るな
4 元ヤンキーに教育を語らせる愚
有名人が日本を動かす/人気者だけが偉い社会/元ワルはずっとワル/不良礼賛をやめろ/国民の義務もなんのその/ゆとり教育前史/日教組が生んでテレビが育てた/元より少ない授業時間/アジア最下位の英語力/危機感のない子ども/フィンランドのテレビ/学力は親次第/団塊世代に訴える論調/いい学校に行って損はない
5 画面の中に「地方」は存在しない
地方でテレビが強い理由/ばらまきが格差を解消してきた/東京は惜しみなく奪う/「町の声」は東京の声/飲酒運転たたきは田舎いじめ/日本に地方自治はない/飲酒運転が減ると自殺者が増える/高齢者から免許を奪うな/キー局は東京から出て行け
6 自殺報道が自殺をつくる
酒の上の失敗に寛容すぎる/大人の自殺を無視するな/男はつらいよ、女もつらいよ/心の病は恥ずかしいか/アル中に免罪符を与えるな/遺族の終わらない苦しみ/自殺は減らせる/100万人の背中を押すな/報じない方がいいこと/自殺も殺人もきっかけ次第
7 高齢者は日本に存在しないという姿勢
「お年寄り」のイメージ/「水戸黄門」より健康番組/高齢化する社会、幼稚化するテレビ/高齢社会への背信行為/笑いのレベルが低すぎる/施設介護を悪者にするな/在宅介護はできない相談/アルツハイマーは怖くない
8 テレビを精神分析する
許認可事業という特権/感情に訴えるメディア/白と黒しかないという考え方/偉い人は正しく、正しい人は完全?/厳しく倫理を言うけれど/生きにくい人を大量生産/テレビの最大の罪
おわりに
やせても健康にはならない
日がな一日テレビでは、どう見てもやせすぎのタレントが大活躍し、健康番組も情報番組もダイエットの話題でもちきりで、その合間にはやせ関連商品のCMばかり。おかげで日本では老若男女が「やせ強迫」に踊らされています。しかし、やせすぎが健康に悪いことはもちろん、実はやせること自体が健康にいいとは言えません。
最近、40歳の時点で平均余命がもっとも長いのは、小太りの人であるというデータが発表されました。とくに日本人では、BMI(体格指数)で「太りすぎ」に分類される人たちが一番長生きだという研究結果もあります。「やせ」の人とくらべると、なんと男女ともに6~7年も長生きできるというのです。こうした最新知見を反映させることなく、百年一日のごとく「やせ礼賛」を続けるテレビを、著者は「殺人マシン」と呼んでいます。
掲載:2010年8月25日