はじめに
第一章 異形の系譜――禁忌のターザン姉妹
半裸の姉妹/鹿児島の村/東大の研究と皇室/生家を見に行く/侏儒どんと姉妹の墓/姉妹との邂逅
第二章 封印された漫画――平田弘史『血だるま剣法』事件
封印された漫画/被差別を描く/解放同盟の糾弾と改作/休筆の果てに/差別は悪くない
第三章 溝口のやり――最後の無頼派アスリート
アジア記録をもつ男/奇抜な思考と奇異な投擲術/精神と肉体/原動力は悔しさ/アスリートの過去/溝口伝説/決定的な敗北/再び世界へ/世界新記録/壊れた肩/パチプロへの転身/室伏広治への指南/アスリート無頼/燃えつきた男
第四章 クリオネの記――筋萎縮症女性の性とわいせつ裁判
脊髄性進行性筋萎縮症/淡い恋/癒し系の障害者/恋愛から求婚へ/医師の淫行/自殺未遂とわいせつ行為/わいせつ裁判の行方/判決への道のり/流氷の天使
第五章 「花電車は走る」――ストリッパー・ヨーコの半生
花電車への喝采/八つの出し物/お股からの炎/波瀾の半生/ストリップデビュー/病床の父との再会/年の瀬のファイヤー
第六章 皮田藤吉伝――初代桂春團治
落語との出会い/「王将」阪田三吉と春團治/人間の業の肯定/春團治の落語/噺の特徴/皮田家に生まれて/修行時代/後家殺し/人気者になれ/皮田姓から岩井姓へ/火宅の人/漫才の台頭/晩年/春團治の下げ
あとがき
無頼の「やり投げ」アスリート
本書の「第三章」で、「やり投げ」の選手、溝口和洋氏が取上げられています。
ソウル五輪にも出場した溝口氏は、80年代当時、従来の技術論とは違う独自のダイナミックな投擲フォームを貫きながらも、喫煙も続け、食物の好き嫌いも激しい選手でした。しかし、過重なウェイトトレーニングを早くから行い、「根性」を主張するも自らの激しいトレーニングで裏付けしました。彼の独自のアスリート人生は陸上競技の世界やマスコミからは異端視され続けていました。しかし、常識を逸脱し、無頼なアスリートであるがゆえに、とても魅力的でもあります。
溝口氏のやり投げのアジア記録は、現在でも破られていません。
引退後はパチプロで生計を立て、全国で投擲のコーチをし、あのハンマー投げの室伏広治選手にも教えを授けました。そして、現在は郷里で農業を営んでいるそうです。
掲載:2010年9月24日