ホーム > 書籍詳細:フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか

音楽の見方が一変! 19世紀ヨーロッパを制覇した「史上最強のピアニスト」の肖像。

フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか

浦久俊彦/著

778円(税込)

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発売日:2013/12/14

読み仮名 フランツリストハナゼオンナタチヲシッシンサセタノカ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 214ページ
ISBN 978-4-10-610547-0
C-CODE 0273
整理番号 547
ジャンル 音楽
定価 778円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2014/06/20

リサイタルという形式を発明した「史上初のピアニスト」フランツ・リストは、音楽史上もっともモテた男である。その超絶技巧はヨーロッパを熱狂させ、失神する女たちが続出した。聴衆の大衆化、ピアノ産業の勃興、スキャンダルがスターをつくり出すメカニズム……リストの来歴を振り返ると、現代にまで通じる十九世紀の特性が鮮やかに浮かび上がってくる。音楽の見方を一変させる一冊。

著者プロフィール

浦久俊彦 ウラヒサ・トシヒコ

1961(昭和36)年生まれ。音楽プロデューサー。高校卒業後、19歳で渡仏。パリで音楽学、歴史社会学、哲学を学ぶ。フランスを拠点に作曲、音楽研究活動を行う。2007年に三井住友海上しらかわホールのエグゼクティブ・ディレクターに就任。

目次

まえがき
第一章 神童の神話
彗星の予兆/リスト・シュトラッセ/神童の出現/師匠ツェルニーとの出会い/「われわれのなかに神あり」/灰色の都パリ/二流ピアニストの烙印/喝采の日々と父の死/淡い初恋/空白期間に猛烈な読書/革命の大砲
第二章 スキャンダルはアーティストのトレードマーク
サロンという舞台/女たちの小宇宙/オペラ座とイタリア座/劇場としてのサロン/芸術・社会福祉財団としての側面も/リストが成功したホントの理由/ただならぬオーラ/会話術というアート
第三章 巡礼の年
運命の女マリー/貴族の恋愛ミニ講座/破局への旅路/『ル・マル・デュ・ペイ』と失われた故郷/愛の讃歌/ロマン主義時代の大恋愛
第四章 失神したがる女たち
なぜ女たちは失神したのか/エレガンス対シック/よみがえるエレガンス/裏社交界/『椿姫』との悲恋/ブルジョワの殿堂、オペラ座/「奴隷的聴衆」の誕生/失神の背後にあるメカニズム
第五章 「ピアニスト」の誕生
史上最大のコンサート・ツアー/リサイタルの発明/ピアニストの誕生/未来のピアニスト/ベートーヴェンの難曲『ハンマークラヴィア』/「ピアノのパガニーニになる!」/風姿花伝と超絶技巧の極意/「神童ビジネス」の幕開け
第六章 グランドピアノはなぜ大きくなったのか
鍵盤はなぜ白と黒なのか/間違いだらけの鍵盤素材選び/象牙と帝国主義/ブルジョワ令嬢の美しい指先/メディチ家の黄昏と産業国家/マリー・アントワネットの楽器職人/「ピアノの女王」エラール/十九世紀の象徴としてのピアノ
第七章 ショパン vs. リスト
西欧 vs. 東欧/ピアニストたちのライバル対決/歪められた関係/おふざけエピソード/亡き友へのオマージュ/偉大なふたつの魂/ポーランドの歌
第八章 四百人の弟子と後継者たち
音の鳴らないピアノ/ワイマールの宮廷楽長に/活発になった作曲活動/「オレ様」ワーグナーも心を許す/ワーグナー帝国の源流コジマ/弟子たちに何を教えたか/北欧からの崇拝者
第九章 知られざる晩年の肖像
もうひとりの運命の女/リスト、聖職者になる/孤独と多忙の日々/三分割された生活/生ける伝説/バイロイトに死す/未来への槍
あとがき
略年譜 フランツ・リストの生涯
主要参考文献

担当編集者のひとこと

イケメンすぎる音楽家の過剰すぎる人生

 まずは本書オビの肖像画をご覧になってください。そのイケメンぶりに驚かれる方も少なくないかもしれません。
 実際、超絶技巧を惜しみなく駆使したフランツ・リスト(1811~86)のピアノ演奏は、欧州の聴衆を熱狂させ、失神する女性が続出したと言います。リサイタルでは、彼の激しい演奏によってピアノが壊れた場合に備え、2台のピアノが向かい合わせに配置されることもありましたが、これには「聴衆が彼のイケメンぶりを左右両方から楽しめるように配慮されたから」との噂まで流れていました。
 実は、リストという音楽家の来歴を見ると、この人物が一身にして「近代の終わり」と「現代のはじまり」を体現した「媒介者」的な存在であったことがわかります。
 本人は「精神性」や「ポエジー」を求めて音楽に打ち込み、芸術家の社会的使命にも自覚的でした。しかし、彼が生きた時代は「貴族社会」から「大衆社会」へと劇的な転換を遂げていく時期です。彼が大衆的な人気を得たのは、音楽の精神性が評価されたからではなく、ルックスの良さや技巧の巧みさ故でした。そこには、数々の恋愛スキャンダルによって人気が沸騰していくという、現代のスターシステムと同じメカニズムも作用しています。
 またリストは、ブルジョワ社会の発展によって「楽器の王者」となるピアノの、最高の伝道師にしてプロモーターでもありました。「精神の貴族」は、逆説的に「音楽の大衆化」に多大な役割を果たすことになったのです。

 今年の4月に村上春樹氏の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』が出版され、リストに多少の注目は集まりましたが、その生涯は彼が音楽史に果たした役割の画期性に比して、ほとんど知られていません。本書は、ほとんど本邦初といえる、リストの「意味」を描いた評伝であり評論です。読めば19世紀という時代の実相がくっきりと理解できるだけでなく、音楽の見方も一変するはずです。むしろ、クラシックが特に好きでない方のほうが、面白く読めるかもしれません。自信をもってご一読をおすすめします。

2013/12/25

蘊蓄倉庫

ピアノの鍵盤の配色

 ピアノの鍵盤の色が今の黒白の配列に落ち着いたのは、19世紀の初め頃と推定されています。1790年にドイツで作られたピアノはチェンバロと同じく黒白が逆の配列になっていたものの、1819年にウィーンで作られたものは現在と同じ配列になっていますから、この間に反転が生じたのは確実です。
 問題は、なぜこの反転が生じたのかですが、著者の浦久俊彦氏は「ブルジョワ婦人たちの指先を美しく見せるためだった」と推測しています。貴族社会からブルジョワ社会に変わっていく中で、ピアノは単なる楽器から、「富の象徴」「趣味の良さの象徴」としての意味も帯びるようになりました。サロンで優雅に演奏するブルジョワ婦人や令嬢の姿も含めての「調度品」となったのです。
掲載:2013年12月25日

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