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傷つきやすい。頑張れない。意志が弱い。こんな“大人”にしないために――。

ほめると子どもはダメになる

榎本博明/著

778円(税込)

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発売日:2015/12/17

読み仮名 ホメルトコドモハダメニナル
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 202ページ
ISBN 978-4-10-610647-7
C-CODE 0237
整理番号 647
ジャンル 妊娠・出産・子育て
定価 778円
電子書籍 価格 778円
電子書籍 配信開始日 2016/05/27

頑張れない、傷つきやすい、意志が弱い。生きる力に欠けた若者たちは、欧米流「ほめて育てる」思想の産物である。一九九〇年代に流入した新しい教育論は、
日本社会特有の「甘さ」と結びつき様々な歪みを引き起こした。「ほめても自己肯定感は育たない」「欧米の親は優しい、は大誤解」「母性の暴走が弊害のもと」……臨床心理学データで欧米の真似ごとを一刀両断! 教育と人材育成に関わるすべての日本人必読の書。

著者プロフィール

榎本博明 エノモト・ヒロアキ

1955(昭和30)年東京都生まれ。心理学博士。東京大学教育心理学科卒業。東芝勤務後、東京都立大学大学院へ。大阪大学大学院助教授等を経てMP人間科学研究所代表。多くの国立・私立大で教えた経験を活かし教育講演を行う。著書に『「上から目線」の構造』など多数。

目次

序章 なぜ「ほめて育てる」が気になるのか
教育評論家が「叱らないで」/「寝てないから、寝させてください」/心の傷になる、トラウマになるという脅し/欧米の父性社会、日本の母性社会
第1章 「注意されることは、攻撃されること」
先生を叱る親たち/子どもや若者は逞しくなったか?/レジリエンスという力/「友だちのような母親」が第1位/失われ続ける厳しさ/父親が厳しいほど「有能になりたい」/いいお母さん=叱らないお母さん/もう通知表を信じてはいけない/「叱られることに抵抗がある」/人為的ポジティブ状態/「態度が偉そう」が「器が大きい」に?/楽しいことしかやりたくない
第2章 欧米の親は優しい、という大誤解
寝室は別、風呂も別々/厳選し切断する父性原理、やさしく包み込む母性原理/アメリカは体罰賛成が7割/日本人母子の心理的一体感/突然、怒鳴ったシンディー/「お願いだから言うことを聞いてちょうだい」/誤読してはいけない『子どもが育つ魔法の言葉』/欧米における「親と子の約束」/モラルの基本を植えつける/自由と権利の代償/「20分間正座させた」で大事件に/日本で必要なしつけとは/「親離れは申し訳ない」心理/父性を発揮できない父親たち/「友だち親子」はいますぐ止めよ/親世代の価値観崩壊
第3章 ほめても自己肯定感は育たない
始まりは自己肯定感問題/「いつ」「どのように」ほめるべきか/言語的報酬/「頭が良いね」で萎縮した子どもたち/キャリアのカオスセオリー/悲観主義者のポジティブ・パワー/虚勢、嫉妬につながる「自信」/遠藤周作が描いた母の「悲しげな眼」/人生初期の最重要課題/親は「壁」となれ/子どもの心のコーチング?/「心のケア」を日常で使うな
第4章 日本の親は江戸時代から甘かった
親たちの「嫌われたくない心理」/親が抱える心理的問題/貝原益軒の戒め/「子ども組」「若者組」の厳しさ/子どもが地域の「お客さん」に
第5章 母性の暴走にブレーキを
アメリカでの揺り戻し/イザベラ・バードの驚嘆/「心理的一体感」を前提に/日本流子育ての優れたところ/頑固オヤジという権威/婉曲的注意を見直してみる/「いい子アイデンティティ」を刺激せよ/魚の水槽に「爆弾」を入れた子に/熊の「子別れ」に学ぶ
あとがき
主要参考文献

インタビュー/対談/エッセイ

「ほめて育てる」は間違いだった!

榎本博明

 かつてはこんな大学生はいなかった――。
 教鞭を執って三十三年になるが、驚くほかない言動に遭遇することが増えている。授業中に寝ている学生を起こすと、またすぐに寝る。そこで教壇を降りて注意しに行くと、「僕は夜中じゅうバイトしてて、ほとんど寝てないんです。寝させてください」。寝たいなら教室から出て寝なさいと言うと、「友だちと一緒にいたいんです」。
 さらには「授業料を払ってるから、ここにいる権利があります。他の先生は注意なんかしません」と食い下がる。こちらも譲歩するわけにはいかないので、何とか説得して出て行ってもらった。
 別の日、毎回四十分以上も遅刻する学生に注意すると、「これでも頑張って起きて十時に家を出てきてるんです。家が遠いんです」と悪びれずにアピールする。単位を落とした学生の親がやってきて、「ウチの子は頑張ったって言ってます。それなのになんで落とすんですか」と詰め寄る。
 こうした異変が起きているのは大学内だけではないようだ。心理学者として企業研修や教育講演に出向くと、講演後には深刻な相談が寄せられる。
「病院ではミスが命にかかわります。ミスや間違いは厳しく注意しないといけないんですけど、そうすると若い子ほどすぐ辞めるんです。上からは『ほめて育てるように』と言われますが、それじゃ看護師として一人前にならないし。どうしたらいいんでしょうか」(看護師)
「うちはIT企業でも厳しくない方ですが、今年の新人は早くも研修中にパニック発作を起こしました。それ以降、誰も何も言えなくなっているんです。昨日、その新人が書類の書き方を間違えていたので、『こうやってね』と気を遣いながら伝えました。すると見事に翌日から欠勤で……上司から『お前が厳しいこと言ったんだろう』と責められるのが目に見えて、もう嫌です」(IT企業社員)
「子どもが反抗的で困ってます。何でも認めるわけにいかないから、ちゃんとダメと言いたいんですけど、子育て雑誌には『何でも受け入れるように』ってメッセージばかり」(子育て中の主婦)
 こうした現象の元凶は「ほめて育てる」という思想なのではないか。「自己肯定感が高まる」と期待され、一九九〇年代に欧米から“輸入”した教育法が、日本社会においては何らかの理由で様々な歪みを引き起こしているのではないか。そのような仮説をもって、国際比較データや最新の教育心理学的な調査・実験結果をひも解きながらまとめたのが『ほめると子どもはダメになる』だ。
 題名からお察しの通り、見えてきた事実は巷間言われていることと真逆だった。「ほめても自己肯定感は育たない」「欧米の親は優しい、は大誤解」「母性の暴走が弊害の元」……。「ほめる」思想が家庭、学校、職場と社会の隅々にまで浸透した事態は深刻だ。今すぐその弊害に気づくべきである。渾身の思いを込めた警告の書を、子育てや教育・人材育成に関わる方々にお読み頂きたい。

(えのもと・ひろあき 心理学博士)
波 2016年1月号より

担当編集者のひとこと

「ほめて育てる」は輸入品だった

 ジャンプの練習をする2歳のわが子に、声を掛けていたときのことです。あっ上手だね、すごいねえという何気ない応援がとぎれた瞬間、催促の声があがりました。
「じょうず、ゆってー」
 こんな幼児でも、ほめられたいのか。心理学博士の榎本博明さんが言う「ほめられ中毒」の一端がわが身で感じられた瞬間でした。
 抱っこひもにベビーカー、ベビーチェア、日用品、名作絵本まで。子育ての場には欧米製品があふれています。日本製ももちろんありますが、耐久性や機能性、デザインでこちらを選ぶ人も多いでしょう。ですが欧米製だと分からないまま、広く浸透してしまっているのが「ほめて育てる」思想なのです。

2015/12/25

蘊蓄倉庫

子どもをほめないお父さん

 タイトル会議の席上で、出席者の一人が「ほめると子どもはダメになる」案を推してこう言いました。「家内によく責められるんです、『あなたがほめないから、娘はこうなったのよ』って。だからこのタイトルの本を読みたいし、家内にも読ませたい」。刊行後には、タイトルを見た二児の父親がこうつぶやきました。「勉強を教えるときも、サッカーの応援にいくときも、小学生の息子をつい叱ってしまうんです。なぜほめないのかと奥さんに言われて、それが喧嘩のタネになる」。
 そんな悩めるお父さん方に朗報です。「ほめて育てる」はこの15年ほどに広まった流行に過ぎません。むしろ、父親が厳しいほど意欲のある子どもになるという調査が存在します。自信を持って「ほめない路線」で行くために、ぜひ本書をお役立てください。
掲載:2015年12月25日

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