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日本列島創生論―地方は国家の希望なり―

石破茂/著

836円(税込)

発売日:2017/04/15

  • 新書
  • 電子書籍あり

これで日本は甦る。初代地方創生相が示すアベノミクスの先の「処方箋」。

お任せ民主主義と決別し、地方から革命を起こさなければ、未来は切り拓けない。金融政策、財政出動のみで日本は甦らないのだ。「補助金と企業誘致の時代は終わった」「観光はA級を目指すべし」「官僚こそ地方で汗を流せ」「里帰りに魅力を付加せよ」――地方と中央、与党と野党、政官財、老若男女の別なく一致できる「創生への道」とは。初代地方創生大臣が具体的なアイディアをもとに示す、可能性と希望に満ちた日本論。

目次
はじめに――革命は地方から起きる
日本はすでに有事/子孫に負債を残すな/人口減少楽観論の間違い/アベノミクスの先にある処方等/地方からの革命を
1 地方創生とは何か
バラマキではない/危機感と日標/二〇六〇年に一億人に/『地方消滅』の衝撃/自治体の努力義務/東京の危険性/東京の衰退
2 補助金と企業誘致の時代は終わった
地方が元気だった時代/企業誘致型の限界/「夢よもう一度」は無理
3 PDCAとKPIを考えよ
PDCAサイクル/点検の重要性/KPIの設定を
4 国は人材とデータで後押しをする
国の役割とは/地方の事情を調べるべき/KKOの弊害/竹下総理の教え/金を有効に使った自治体/意味のある出向を/官僚をコンシェルジュに
5 外資アレルギーから脱却を
海外投資は伸びしろである/ニューヨークで売り込みをした首長たち/超高級ホテルの需要/「よそ者」の視点/USJも「よそ者」でよみがえった/敵視からの脱却を
6 観光はA級を目指すべし
労働生産性を上げるという視点/地方の生産性はまだ伸ばせる/古い「代理店お任せモデル」/インバウンド頼みではいけない/「ななつ星」に乗って/A級グルメを目指す町/地域連携によるプラス効果を/休日の分散化の可能性/民泊はリスクも考慮しながら
7 一次産業に戦略を
一次産業で生産性を上げる/農業特区の意義/林業の持つ可能性/土佐の森・救援隊/里山の発電/水産資源の管理には長期的なメリットがある
8 創生の基点はどこにでも作れる
島留学という発想/森林の美術高校/森のようちえん/中村ブレイス/公民館から変わった「やねだん」
9 「おねだり」に未来は無い
離島が生き残った戦略/建設業界からの意外なリクエスト/給与カットの意味/おねだりでは解決にならない/富山市の取り組み/丸亀町商店街の試み/面倒くさいという前に/総論賛成、各論反対/出生率を上げた高齢者たち
10 官僚は現場で発想せよ
本社の地方移転にインセンティブ/官民手を取り合う体制で/省庁の地方移転/文化庁が京都である必然性/官僚たちの抵抗/反対に大義なし/民間の先駆け・コマツ/マスコミと官僚の共同作業?
11 里帰りにどれだけ魅力を付加するか
男は地元に帰りたい/ニンジン作戦ではダメ/東京圏高齢化危機回避戦略/回避戦略の要旨/CCRCの推進/プラチナタウン/いつかは故郷で/Uターン組が活力をもたらす/「花の都で」は古い/メキシコの漁師
12 「お任せ民主主義」との決別を
素朴な疑問に答える/何もない地方なんてない/「お任せ民主主義」からの脱却/ユーカリが丘のヒント/勝ち組と負け組/首長の選び方/議員削減の問題/持続性をどう担保するのか/面倒くさがる人たちの罪/今が最後のチャンス/個人と地方が自信とストーリーを持つ

書誌情報

読み仮名 ニホンレットウソウセイロンチホウハコッカノキボウナリ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610712-2
C-CODE 0231
整理番号 712
ジャンル 政治・社会
定価 836円
電子書籍 価格 836円
電子書籍 配信開始日 2017/04/21

薀蓄倉庫

KKOには要注意

「KKO」という言葉をご存知でしょうか。
『日本列島創生論―地方は国家の希望なり―』(石破茂・著)によれば、地方の活性化に関係した議論ではよく使われる言葉で、「勘」「経験」「思い込み」の頭文字を取ったものです。自治体の問題点を考える上で、長くそこに住んでいる人が囚われやすい罠をよく表しているのだそうです。
「目立つモニュメントを作れば、話題になって人が集まるのでは」
「地方議員を30年やっている私が言うんだから間違いない」
「町がさびれたのは企業誘致に失敗したからだ」
 発言者に悪意はないにしても、KKOに基づいた戦略では地方は甦らない、客観的データを分析する必要がある、と石破氏は説いています。

掲載:2017年4月25日

担当編集者のひとこと

徹底的な検討の結果

 以前、本書の著者である石破茂氏から、こんな話を聞いたことがあります。要約すると、次のようなことでした。
「あるテーマについて考える場合には、関連の書籍をとにかく片っ端から入手して目を通す。とくに自分と反対の立場、意見の書籍にも目を通した上で、そこに傾聴すべき意見があればもちろん参考にするし、また反論も徹底的に考える。こうした作業を丹念に行なうことによって、自分の考えを固められ、きちんとしたロジックを構成できるようになる」
 確かに石破氏の事務所に行くと、本が膨大に並べられています。こうした徹底的な検討、思考がバックグラウンドにあるからこそ、石破氏は論戦でダントツの強さを示すのだろうと思いました。
『日本列島創生論―地方は国家の希望なり―』の主なテーマは地方創生です。石破氏は初代地方創生担当相をつとめました。徹底的な検討に加えて、大臣として、また自民党幹事長としてとにかく日本全国を飛び回り、様々な人たちと出会った知見も多く盛り込まれています。その説得力は群を抜いています。
 どうでもいいことで常に「政局」ばかりが話題になるのにウンザリしている、日本の未来を真面目に考える方にお勧めします。

2017/04/25

著者プロフィール

石破茂

イシバ・シゲル

1957(昭和32)年生まれ、鳥取県出身。慶應義塾大学法学部卒。1986年衆議院議員に全国最年少で初当選。防衛大臣、農林水産大臣、地方創生・国家戦略特別区域担当大臣などを歴任。著書に『国防』『国難』『日本列島創生論』『政策至上主義』など。

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