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[よしもとばなな『どんぐり姉妹』刊行記念特集]

波 2010年12月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2010/11/27

発売日 2010/11/27
JANコード 4910068231208
定価 105円(税込)

[よしもとばなな『どんぐり姉妹』刊行記念特集]
【インタビュー】よしもとばなな/あらかじめ壊れている風景のよさ
角田光代/生きていくのに必要なものは何?

[佐藤友哉『333のテッペン』刊行記念 特別“前篇”小説]
佐藤友哉/333のゼンペン

藤野千夜『ネバーランド』
津村記久子/優しい場所を守ること

宮内勝典『魔王の愛』
森 達也/人類の矛盾と苦悩

紫野貴李『前夜の航跡』
ペリー荻野/「救い」と「導き」に二度、泣いた

石野晶『月のさなぎ』
小谷真理/通過地点にたちどまって、月の祝福をうけること。

藤原緋沙子『坂ものがたり』
細谷正充/坂を上らなければ、行けない場所

宮木あや子『ガラシャ』
三浦天紗子/秘する愛の物語として再生されたガラシャ史話

唯野未歩子『きみと澄むこと』
【インタビュー】唯野未歩子/それでも、「愛こそすべて」

阿辻哲次『戦後日本漢字史』(新潮選書)
笹原宏之/溢れ出る漢字への思い

柳瀬尚紀『日本語ほど面白いものはない―邑智小学校六年一組 特別授業―』
村上陽一郎/人が育つことの原点

辻野晃一郎『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』
白石一文/日本へのかすかな希望

萩野正昭『電子書籍奮戦記』
津野海太郎/こういう男が日本にいてくれてよかった

安部結貴『HIV マリコの場合』
河合香織/「絶望」の果てに掴んだ「生きる場所」

フジモトマサル『終電車ならとっくに行ってしまった』
ミムラ/「ここではないどこか」へ出立を促される日

アリス・マンロー『小説のように』(新潮クレスト・ブックス)
湯本香樹実/短篇小説に流れる長い時間

田辺聖子『薔薇の雨』(新潮文庫)
千野帽子/読書の寄り道

渡部昇一『知的余生の方法』(新潮新書)
渡部昇一/人生後半を充実させていく秘訣

コラム
三橋曉の海外エンタ三つ巴
とんぼの本編集部通信

連載
【新連載】阿部和重/幼少の帝国 成熟を拒否する日本人
片山杜秀/未完のファシズム 第3回
蓮池 薫/拉致と決断 第8回
吉川 潮/【対談】寿限無の言い分 立川志の輔(後篇)
小林朋道/ヒト、動物に会う 第7回
山折哲雄/長谷川伸と日本人 第12回
佐木隆三/わたしが出会った殺人者たち 第7回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第9回
三田 完/モーニングサービス 第4回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は『どんぐり姉妹』刊行のよしもとばななさんです。中島英樹さんデザインの単行本は、本文中に三箇所の観音開きをはさむ大胆なもの。そのページをいっぱいに飾るのが、モードからアート作品まで、幅広く活躍する若手カメラマン鈴木親さんの印象的な風景の数々です。鈴木さんが『どんぐり姉妹』のために撮り下ろしたオリジナル写真展も開催の予定。詳細は新潮社HPなどでお知らせします。
◇愛すべき妊婦の奮闘を描くハートフルな物語『予定日はジミー・ペイジ』(新潮文庫)には、可愛い水彩イラストが十数点収録されています。この絵、実は著者の角田光代さんご自身が手がけたことをご存じですか? このたび、その原画が初公開。その名も『角田光代個展――「予定日はジミー・ペイジ」の原画展』。一二月一〇日(金)から一五日(水)まで、東京・神宮前HB Galleryにて開催。お問い合わせはHB Gallery(03-5474-2325・http://www.hbc.ne.jp)まで。
◇漫画家兼イラストレーターのフジモトマサル氏の最新刊『終電車ならとっくに行ってしまった』は、初の画文集(漫画&エッセイ集)です。漫画の主人公は動物の「なまけもの」。今月号で女優のミムラさんが「ナマケモノぬいぐるみ、作ろうかな」とお書きになっているようにグッズ欲をそそるキャラクターで、小社は「なまけものマグカップ」を製作・販売します(「海」と「宇宙」のデザインで、それぞれ限定二〇〇個)。詳細は、新潮オンラインショップhttp://www.shincho-shop.jp/で。
◇『電子書籍奮戦記』の刊行を記念して、著者の萩野正昭氏と津野海太郎氏とのトークショー『「季刊・本とコンピュータ」の逆襲!』が、一二月四日(土)一五時より、東京・神保町の東京堂書店にて開催予定です。参加費は500円、終了後にはサイン会も行います。詳しくは、東京堂書店(03-3291-5181)まで。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。